日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールを141億ドル（約2兆円）で買収すると発表した。日本製鉄にとっては過去最大の買収で、中国勢の台頭や世界的な再編が進む鉄鋼業界での生き残りを目指す。ただ、122年の歴史を持つUSスチールは、米国にとって「強い製造業」を象徴する名門企業だけに、外国企業による買収には反発も広がっている。【町野幸、ワシントン大久保渉】 「今回大きなチャレンジを踏み出すことにした。米国は先進国で最も大きい市場で、さらに成長が見込める。ここに拠点を構えて、新たな時代におけるグローバルネットワークを完成させたい」。日本製鉄の橋本英二社長は19日午前のオンライン記者会見で、買収の狙いをこう語った。

「新たな時代におけるグローバルネットワークを構築し、わが国日本の成長力を取り戻す。そのためにチャレンジをいたすことにした」 国内鉄鋼最大手の日本製鉄は12月18日夜、アメリカの老舗、USスチールを約2兆円で買収すると発表した。翌19日の会見で橋本英二社長は、日本製鉄として過去最大となる買収の意義を力を込めて語った。 100年以上の歴史と国名を冠する名門同士 USスチールは1901年、銀行家のJPモルガンや鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーがかかわる製鉄会社が合併して誕生した、アメリカ産業史を代表する企業。1960年代までは世界最大の鉄鋼会社でもあった。 その後、日本を初めとするアジアメーカーに抜かれて凋落。2022年の粗鋼生産量は世界27位（世界鉄鋼協会）。アメリカの鉄鋼メーカーではニューコア、クリーブランド・クリフス（以下、クリフス）に次ぐ3位である。 一方、日本製鉄の前身である官営八幡製

日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールを141億ドル（約2兆円）で買収すると発表した。日本製鉄にとっては過去最大の買収で、中国勢の台頭や世界的な再編が進む鉄鋼業界での生き残りを目指す。ただ、122年の歴史を持つUSスチールは、米国にとって「強い製造業」を象徴する名門企業だけに、外国企業による買収には反発も広がっている。【町野幸、ワシントン大久保渉】 「今回大きなチャレンジを踏み出すことにした。米国は先進国で最も大きい市場で、さらに成長が見込める。ここに拠点を構えて、新たな時代におけるグローバルネットワークを完成させたい」。日本製鉄の橋本英二社長は19日午前のオンライン記者会見で、買収の狙いをこう語った。 日本製鉄は、USスチールの株主総会や関係当局の承認を得ることなど…

米中が震源地となり、内向きな産業政策が幅をきかせるようになった。国家が前面にせり出し、対立を深める「二つの大地」のはざまを、日本企業はどう生き抜くのか。

トランプ次期米大統領は2日、日本製鉄によるUSスチール買収計画について「私は完全に反対だ」と自身のSNSで表明した。2000年以降、経済発展とともに世界をけん引してきた中国の鉄鋼業にも鈍化の兆しがう

日本製鉄が米鉄鋼大手USスチール=写真=に仕掛ける2兆円の買収劇は世界でプレゼンスを保ちたい日鉄にとって必然だった。鉄鋼業は欧米で育まれたが、その主役は戦後の高度経済成長下の日本、2000年代に急成長を遂げた中国へと移り、今後はインドが担うと期待されている。そうした世界市場の中でも異質なのが米国だ。米国は先進国で例外的に人口増が見込まれる。人口が鉄鋼需要を下支えするほか、売れる鋼材も自動車向け

A committee of top government agency officials has notified President Joe Biden that it has not reached a consensus on whether a sale of US Steel to a Japanese rival poses a national security risk, according to two sources familiar with the matter. The fate of Nippon Steel’s acquisition of US Steel is now in the hands of Biden, who is expected to block it after arguing for months that the company

うち捨てられた建物が時折目につく通りの先に、米鉄鋼大手USスチールのエドガー・トムソン製鉄所が見えてきた。　米東部ペンシルベニア州第2の都市、ピッツバーグから車で約30分ほどの田舎町。建屋には、操業…

日本製鉄によるUSスチールの買収計画が正念場を迎えている。米当局による計画の審査期限が23日にも迫るなか、先行きを左右するのは「2人の大統領」だ。バイデン米大統領はなお阻止する意向と伝えられ、トランプ次期米大統領も反対を表明した。計画成立を目指す日鉄だが、買収を巡る大統領権限は強大だ。買収計画を安全保障の観点から審査している対米外国投資委員会（CFIUS）は、複数の省庁で構成される。審査は23

日本製鉄による買収計画を巡り、USスチールのCEO（最高経営責任者）は「中国はこの取引が失敗することを望んでいる。そうさせてはならない」とニューヨーク・タイムズに寄稿しました。 アメリカ鉄鋼大手「USスティール」のデビット・ブリットCEOは22日、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、この買収は「アメリカの製造業の未来にとって極めて重要な機会だ。アメリカは正しい決断を下さなければならない」と主張しました。 そのうえで、この取引が「事実上、アメリカの鉄鋼産業を維持できる唯一の選択肢だ。この取引を阻止することは、ピッツバーグが鉄鋼の街であった100年以上の歴史に終止符を打つことになる」と買収阻止の動きに警鐘を鳴らしました。 また、日本製鉄による買収は「我々の最も強力な同盟国の一つとの関係を深めることによって、アメリカの世界的な地位を強化し、中国の露骨で野放図な市場操作に対抗することを

日本製鉄が18日、米鉄鋼大手USスチールを約2兆円で買収することを決めた。人口減少で国内需要が減るなか、世界全体で「粗鋼生産能力1億トン」を掲げて規模の拡大を目指す日鉄が、有力市場を確実に取り込む大…

日本製鉄が進める米鉄鋼大手USスチールの買収が逆風にさらされている。リストラの不安を訴える労働組合だけでなく、11月の米大統領選挙で返り咲きを目指すトランプ前大統領や、バイデン大統領も相次ぎ反対姿勢を鮮明に。これほど反発を招くのはなぜか。やはり、現代でも鉄は「国家の魂」なのだろうか。（岸本拓也）

日本製鉄による米鉄鋼大手ＵＳスチールの買収案をめぐり、計画に賛成する人たちの集会が１２日、米東部ペンシルベニア州で開かれた。米政府による審査は大詰め。バイデン大統領が買収を阻止するとも報じられるなか…

日本製鉄がアメリカのシンボル企業ともいえる鉄鋼大手ＵＳスチールの買収に名乗りを上げた。買収総額は１４１億ドル（約２兆１千億円）。提案は４月に開かれたＵＳスチールの臨時株主総会で、賛成多数で承認された。今後は米当局の審査に移る。 トランプ氏皮肉「日本よ。おめでとう」日鉄買収受け しかし全米鉄鋼労働組合（ＵＳＷ）は日本製鉄による買収に反対したままだ。アメリカ大統領選を１１月に控え現職のバイデン大統領や、返り咲きを狙うトランプ前大統領も労組寄りの立場を示し、先行きに暗雲が漂う。総会で承認された日、ＵＳスチール本社がある米東部ペンシルベニア州ピッツバーグを歩くと、地元住民からは予想外の反応が返ってきた。（共同通信ニューヨーク支局　杉山順平） ▽「米国」を冠する伝統企業 ピッツバーグはペンシルベニア州南西部に位置し、米東海岸のニューヨーク・マンハッタンから直線で約４００キロ、車で約６時間強、飛行機な

日本製鉄によるUSスチール買収計画について、計画に反対する全米鉄鋼労働組合（USW）のトップがインタビューに応じた。デビッド・マッコール会長は、日本製鉄がUSスチールの持続的な成功を確約しているという保証は受けていないと語った。 これは9日、ロイターとのインタビューで語ったもの。 全米鉄鋼労働組合（USW）　デビッド・マッコール会長 「確かに日本製鉄と話し合いをしてきたが、事業が長期的に持続可能であるという保証を得られるようなことは何もなかった。これが私たちの最大の懸念だ。われわれの組合員の将来の生計がどうなるのか、そしてこの国で必要な製品を生産し続けられるかという点で持続可能性が保たれるかが最大の課題だ」 日本製鉄の買収計画を巡っては、現職のバイデン大統領とトランプ次期大統領の双方が反対の姿勢を示している。 計画を審査している対米外国投資委員会（CFIUS）は今月下旬にも審査結果を示す予