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団塊の世代の大量定年を控えた昨今、第二の人生を文筆の世界で開花させたいと望む人は少なくない。現実... 団塊の世代の大量定年を控えた昨今、第二の人生を文筆の世界で開花させたいと望む人は少なくない。現実には10代、20代の受賞者がもてはやされる風潮だが、その中でこの数年、熟年受賞者ばかり輩出する珍しい新人賞がある。松本清張賞だ。 第13回の今年も59歳の広川純『一応の推定』(文芸春秋)が射止めた。人生経験の厚みが生かされた「社会派推理」として評価したい。 大阪の初老の工場経営者が駅で轢死(れきし)する冒頭から、清張の「点と線」を思わせる緊迫感がある。3000万円の保険を掛けていた男の死は、事故か自殺か。 定年直前の保険調査員が置かれるのは、実に切ない立場だ。遺族は保険金で難病の孫を救おうとし、彼が自殺の状況証拠をつかめば、保険金は支払われない。 わずかな手がかりをたどり真実を追うひたむきさから、地道に仕事と向き合う調査員の良心が伝わる。社会の片隅で生きる人々の哀苦が、関西の冬の情景のなかににじ
2006/07/12 リンク