社会の「閉塞感」は現代と共通…カルト対策「不十分なままだ」　松本サリン事件29年（2023年6月28日掲載）｜信濃毎日新聞デジタル　信州・長野県のニュースサイト

社会の「閉塞感」は現代と共通…カルト対策「不十分なままだ」　松本サリン事件29年（2023年6月28日掲載）｜信濃毎日新聞デジタル　信州・長野県のニュースサイト

明治生命寮跡地に造られた「田町児童遊園」。西側にはサリンが噴霧された駐車場がある＝２７日午前９時...概要を表示 明治生命寮跡地に造られた「田町児童遊園」。西側にはサリンが噴霧された駐車場がある＝２７日午前９時４４分、松本市北深志 ■オウムの残響㊥　痕跡薄れる現場と支部道場跡 松本市北深志の閑静な住宅街。車の往来も少なく、穏やかな時間が流れる。１９９４年６月２７日夜、オウム真理教幹部ら実行犯が猛毒の神経ガス「サリン」を噴霧し、死者８人、重軽症者約６００人を出した松本サリン事件の現場とは思えない。今月上旬から何度も足を運んだが、事件を伝える目立った痕跡は見当たらなかった。 当時の様子を知ろうと、周辺の家々を訪ねた。「ずっと前のことだから」。住民の口は重かったが、生々しい記憶を語ってくれる人もいた。 現場近くに住む女性（７７）は、うたた寝をしているとサイレンの音が聞こえたため外に出た。犠牲者３人を出した開智ハイツに救急隊員が駆けつけ、「戸を開けろ、開けろ」と叫びながらドアをたたいて回っていた。「あの光景は