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【書評】『宿命の子 上・下 安倍晋三政権クロニクル』/船橋洋一・著/文藝春秋/上=2475円、下=2585... 【書評】『宿命の子 上・下 安倍晋三政権クロニクル』/船橋洋一・著/文藝春秋/上=2475円、下=2585円 【評者】関川夏央(作家) 第2次安倍晋三政権は2012年末から2020年夏まで、憲政史上最長7年8か月つづいた。消費税を二回上げても倒れず、任期中五回の国政選挙に勝利した奇跡の政権ともいえる。 森友・加計学園問題、「桜を見る会」など通俗な問題で記憶され、たんに長期におよんだからこそ憎まれもした安倍政権だが、「サミット」では外国首脳に名前と人柄をよく知られた。 その「政策決定過程の舞台裏のドラマ」を掘り起こす「検証ジャーナリズム」を徹底させた結果、上下巻とも600ページ前後の長大な「クロニクル」となった。原稿用紙にして3千枚はある。 この本で、首相の仕事とは何か、政治とは、また外交とは何かが、わかりすぎるほどわかる。ただし読むのには苦労がともなう。「再登場」から始まって全21章とエピ