（17）『芽むしり仔撃ち』をむしって撃って - キッチンに入るな

（17）『芽むしり仔撃ち』をむしって撃って - キッチンに入るな

［…前回から続く］ ■ 「『芽むしり仔撃ち』裁判」（1980）は、たいへん読みにくい。 読みにくいのを解き...概要を表示 ［…前回から続く］ ■ 「『芽むしり仔撃ち』裁判」（1980）は、たいへん読みにくい。 読みにくいのを解きほぐそうと首をひねりしがみついているうちに何がどう書かれているのかが少しずつわかってくる、その過程じたいに面白さがある――そういう過程を面白いと感じる読者にだけ面白い――種類の作品だと言うほかないように思う。 ということは、ここまでを読んで「おれも『芽むしり仔撃ち』好きだよ」そして「「『芽むしり仔撃ち』裁判」なんて作品があったのか、読んでみるかな」とその気になった人にとって、わたしがこれから書いていく長い紹介と少しの感想は、この中篇の面白さを大いに奪うことになるかもしれない。というか、そうなるように書くつもりでいる。 『大江健三郎全小説6』で「『芽むしり仔撃ち』裁判」を読もうという人は、先にそちらを手に取ったほうがいいのでは、とここに書いておく。 読みにくさはまず、ごく最初の部分で示さ

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