『「ムスリム同胞団：スエズ運河のほとりで生まれたイスラム復興運動」（4）』

『「ムスリム同胞団：スエズ運河のほとりで生まれたイスラム復興運動」（4）』

「建設者」 ナセルに掛けた夢を失った人々が回帰したのがイスラムであった。社会主義もナセリズムもイス...概要を表示 「建設者」 ナセルに掛けた夢を失った人々が回帰したのがイスラムであった。社会主義もナセリズムもイスラエルの前に完敗した。残されていたのは借り物のイデオロギーではなく、自らの伝統に根ざした思想のみであった。ムスリム同胞団が息を吹き返した。1967年の戦争の敗北でナセリズムの熱気は去り、1970年にナセルが世を去った。後継者となったサダトは、左翼勢力の力と均衡させるために同胞団に活動の再開を許した。同胞団にとっての冬の時代が終わった。 バンナーの時代と同じように、同胞団は社会の各分野に影響力を浸透させた。その活動が目立ったのは医師会、弁護士会、技術者の組織、薬剤師会、科学者の組織、報道者の会などの専門家の組織である。いずれも政治的に活発な組織である。1980年代には、組織の評議員などを数多く同胞団のメンバーが占めるようになった。そして同胞団は議会選挙に進出した。 大統領に権力の集中するエジプト