この記事は以下の記事の続きです。合わせてご覧ください。
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今回はApple Musicの対抗馬を考えてみよう。
前回書いたような料金設定のハードルの低さで、本命はLINE MUSICではないかと私は考えている。日本ではSpotifyのような広告型無料プランには、コンテンツ提供側の抵抗が根強い。そこで、LINE MUSICには「学割」や「時間制」といった料金設定が設けられている。これは実質的な月額料金の値下げだ。
ただ、LINE MUSICは、あくまでもLINEユーザーに向けたサービスで、Apple Musicに対する直接の競合とは考えられない。また、機能面で言ってもレコメンド機能がない。曲の紹介は事実上、ユーザー間でのシェアに任されている。
この点で、Apple Musicと真っ向から競合するのは、Apple Musicのサービスイン直前に始まった「AWA」、そしてもっと以前からサービスしている「レコチョクBEST」と「KKBOX」だろう。それらを個別に見ていこう。
レコメンド制度が高いAWA
AWAはエイベックスデジタルが楽曲の調達、サイバーエージェントがアプリケーション開発を担当するサービス。エイベックスはLINE MUSICにもジョイントベンチャーとして参加しているが、AWAはLINE MUSICとサービスの方向性が違うという判断なのだろう。
力が入っているのはレコメンド機能で、特に秀逸なのが関連曲を再生する「ラジオ」機能だ。その選曲の的確さと適切な振り幅は、すでに定評のあるApple Musicに負けていない。起点となる曲から、延々とつながってゆく音楽の旅が続けられる。
レコメンドの一環として、プレイリストを作って、ほかのユーザーに向けて公開して共有するという機能もある。これは拡散する手段が限られるところに課題はありそうだが、AWAならではの機能でもある。
サービス自体はまだ開発途上で、現時点ではPCでの再生や、オフライン再生に対応していないが、このうちオフライン再生は8月24日に提供予定。PC再生の対応も準備中ということになっている。
サービスインは2015年5月27日。最初に登録したユーザーのトライアル期間もそろそろ終わる頃で、実際にどれくらいのユーザーが課金に応じるのかも注目したいところ。料金は“プレミアム”が月額1080円、オンデマンド再生のできない“ライト”が月額360円。利用開始から90日はトライアル期間としてプレミアムの全機能が使える。
(次ページでは、「日本では知名度の低い、アジア最大のサービス」)