3Dプリンターで「印刷」できる極薄のLED照明が登場した 写真=Rohinni
大手家電メーカーは、画面が反りかえった液晶テレビやスマートフォンの開発競争を続けている。実用性はともかく、市場へのインパクトでは残念ながら「印刷できるLED照明」に劣ると言わざるをえない。
米アイダホ州のスタートアップ、ロヒンニ(Rohinni)が、3Dプリンターで印刷できる、ぺらぺらに薄くて、ぐにゃりと曲げられるLED照明「ライトペーパー」(LightPaper)を開発している。
赤血球サイズの極小ダイオードを混ぜたプリント用の「インク」を作り、導電層に印刷する仕組み。電気を通せばダイオードが発光し、極薄サイズのLED照明になる。要は従来からあるフレキシブル有機ELディスプレイと同様の仕組みだが、3Dプリンターによって技術を汎用化するのが同社の狙いだ。
フレキシブルディスプレイの市場規模は2020年に世界3200億円を超えると期待される一方、技術上の特性から画面の大型化が難しく、市場の形成に時間がかかるという課題もあった。
ロヒンニは大手メーカーのように家電製品の大量生産、あるいは電子看板の大型受注といった「完成品」を狙うのではなく、開発途上の技術を開放することでプラットフォーム形成を狙っている。
同社ニック・スムートCMOは米メディア・ファストカンパニーからの取材に答え、「ライトペーパーは、私たちもどんな使い道があるか分からない『光のプラットフォーム』だ」と話している。
ライトペーパーの新たなアプローチは、自社開発のテレビやスマホに頼りきりの家電メーカーの限界をたやすく超え、ディスプレイの歴史を塗り替えてしまう可能性をはらんでいる。
なお同記事によれば、現状ではまだダイオードを均等に印刷する仕組みが出来ていないが、技術的課題を解決するための新たな試作品を数ヵ月以内をめどに開発するということだ。
