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「枠売り」からの脱皮——ヤフー、17年目の事業転換

2013年11月19日 11時00分更新

文●小橋川誠己/Web Professional編集部

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「いままでのヤフーは、決まったときに決まったものを広告主に提供するだけ。これからは、広告主がほしいときに、ほしいお客様を一緒に見つける、パートナーとしてお手伝いしたい」。

マーケティングソリューションカンパニー マーケティングイノベーション室長 友澤大輔氏

 ヤフーが11月15日に開催した事業戦略説明会で、マーケティングソリューションカンパニー マーケティングイノベーション室長の友澤大輔氏はこう宣言した。ヤフーといえば、ポータルサイトの膨大な集客力をベースに、ディスプレイ広告の枠を販売する「媒体社」だが、今後は、総合的なデジタルマーケティング支援企業への脱皮を図って行くという。

 同社が発表したマーケティングソリューション事業の新戦略は、(1)プライベートDMP(Data Management Platform)の開発、(2)プレミアムDSP(Demand Side Platform)の開始、(3)ビデオ広告事業への参入、(4)データ分析コンサルティング事業の開始、の4つ。最新のアドテクノロジーを持つ国内外の企業との提携と、ヤフーが持つビッグデータを活用した新事業の創出が柱だ。

 (1)では、リアルタイムデータ収集技術を持つ米ブライトタグ社に資本参加。スマートフォンアプリやPOSシステムなどからデータを収集、管理するシステムを共同開発し、広告主の持つ顧客データとヤフーのユーザーデータを結びつけて、広告のターゲティングや顧客分析に活用できるようにする。

 (2)では、米ヤフーのプラットフォームを採用、Yahoo! JAPAN以外のメディアにも出稿できるメディア横断の広告出稿サービスを2014年1月から開始する。プライベートDMPのデータをもとに出稿計画を立てたり、Yahoo! JAPAN内のサービスに出稿できるのが強み。ヤフーのコンサルタントによる運用提案やカスタマイズといったサポートも提供するという。

 (3)では、「Yahoo! JAPANの映像化を進める」(ディスプレイ広告ユニット ユニットマネージャーの高田 徹氏)。ニュースなどのサービスで動画コンテンツを拡充するほか、Ustream Asiaと提携。2014年度末までに動画コンテンツを現在の10倍に増やす。米ビデオロジーと共同で、マルチスクリーンへの動画配信や効果測定が可能な配信プラットフォームを構築、「YouTubeに対抗する」という。

 (4)では、データ分析事業を展開するブレインパッドと合弁会社を設立し、来春以降、データサイエンティストによるコンサルティング事業を展開するという。

 こうした取り組みで、「従来の広告中心から、広告を含むデジタルマーケティング支援へと事業の軸足を移す」(高田氏)。ヤフーは201X年代に「営業利益2倍」の目標を掲げている。マーケティングソリューション事業はそのうち7割を担うだけに、新戦略の成否が目標達成の鍵を握りそうだ。

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