街中を歩いていて「あれ? ここにあったCD屋がなくなってる!?」と気付き、よく考えると生活圏内にレコード/CDショップがなくなっている驚愕の事実に驚かされる、という人も多い今日この頃。
主流が音楽配信サービスに移行している現在、音楽を聴いている人の多くは「MP3」や「AAC」といったファイルを音源としているはず。だが、よりいい音で聴きたいというユーザーもいるだろう。
そんな中で今、PCオーディオが盛り上がっている。CDを超える音質のハイレゾ音源の配信がスタートし、PCで高品位な音楽を楽しむためのハードウェア環境も整いはじめた。最近ではDSD形式での配信まで始まっている。
だが、多くの人にとってはよくわからない世界の話。そこで、今回は初心者にも優しいPCオーディオの基本をQ&A形式で解説していくことにする。この特集を読んで春休みに準備をすれば、4月から始まる新生活に合わせて最先端のPCオーディオを楽しめるようになるはずだ。
疑問1 FLACって何? MP3と何が違うの?
回答 不可逆圧縮と可逆圧縮の違いなどファイル形式が異なる
MP3とFLACは、ともに音楽をデジタルデータとしてPCで保存や再生するための音声ファイル形式である。MP3は古くから普及してきたもので、音楽再生ソフトは当たり前のように対応している。
音楽ファイル形式というと、AAC(Advanced Audio Coding)やWMA(Windows Media Audio)などもよく知られている。これらに共通する特徴は、音声ファイルを不可逆圧縮でコンパクトに保存していることにある。
不可逆圧縮とは、文字通り圧縮前のデータと圧縮後に展開したデータが完全には一致しないが、圧縮したデータのサイズは小さくできる方式のこと。転送レートが極端に低くなければ聴感上の大きな差は気付きにくいものの、音楽情報に欠落が出てしまう。メリットは少ないメモリーにたくさん音楽を保存できること、データ量が小さいのでダウンロード時間が少なくて済むことなどだ。
一方で、FLACは可逆圧縮――圧縮されたファイルをデコードすると、完全にオリジナルデータが復元できる方式でファイルを保存する。情報の欠落がないので音質を重視する人に人気が高い。ただし、圧縮しても元に比べて1/2程度にしかならず圧縮率は低い。
可逆圧縮はロスレス(Lossless)圧縮とも呼ばれ、WMAにも可逆圧縮方式のものがある(WMA Lossless)。ほかにも、Apple LosslessやDTS-HDマスターオーディオなどいくつかの方式があるが、FLACはオープンソースとして開発されており、使用料がかからないことから、高音質で音楽配信をするサイトに採用され、普及が進んでいる。
最近では、ソニーのウォークマンでもFLACの再生に対応したモデルが発売されるなど、携帯プレーヤーで再生が可能なものも増えてきている。
疑問2 音楽CDの音源をFLACにできる?
回答 対応ソフトを使えば可能
PCで音楽CD(CD-DA)のリッピングを行なう場合、まずはデータをそのまま取り出す。つまり非圧縮の「リニアPCMデータ」だ。これを非圧縮のまま保存したいならば、「WAV」形式や「AIFF」形式で保存すればいい。
そして「 MediaMonky」などのCDリッピング機能を持ったFLAC対応ソフトでは、FLAC形式での保存も可能だ。
iTunesでFLACへの変換はできないが、WAVやAIFF形式であればリッピング時のエンコード方式として指定が可能。環境設定の読み込み設定から選択できる。
リニアPCMやロスレス圧縮を使えば、携帯プレーヤーのメモリーに貯められる曲数は減ってしまうが、音質という点ではCDとまったく同じ品質になる。
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