アドビはFlashの未来を本気でゲームに賭けたようだ。アドビ システムズは、12月4日、ゲーム開発ツール群「Adobe Game Developer Tools」を発表した。パフォーマンスチューニングツールの「Adobe Scout」、C/C++のクロスコンパイラ「Flash C++ Compiler」、「Adobe Gaming SDK」などからなり、製品名に「Flash」の文字こそないものの、Flashゲームに特化した開発ツール群となっている。
Adobe Scoutは、Flashコンテンツのパフォーマンスチューニングツール。2011年に「Monocle」というコードネームで紹介されていたもので、Game Developer Toolsの投入に合わせて正式版としてリリースされた。ActionScriptだけでなく、Flash PlayerやAIR内部の動作状況をモニタリングでき、Flashコンテンツを実際に再生しながら、タイムラインに沿ってボトルネックとなっている処理を細かく洗い出せる「開発者待望のツール」(アドビ システムズのアンディ・ホール氏)。
Flash C++ Compilerは、C/C++で開発されたアプリケーションをFlash Player向けにクロスコンパイルするツール。「デスクトップ用のゲームなど、過去のゲーム資産をWeb経由で配信できるようになる」(ホール氏)。PC向けのFlash Playerだけでなく、Adobe AIRを介してAndroidやiOSのアプリへも変換可能。実際にコンパイルされた「Epic Citadel」のデモが公開されている。
Adobe Gaming SDKは、ゲーム開発に必要なフレームワーク、サンプルコードなどをまとめたパッケージ。Game Developer Toolsはこれら3製品と既存製品の「Flash Builder」「Flash Professional」で構成される。単体での販売はせず、Creative Cloudのメンバー向けに提供する(一部は無償メンバーでも利用可能)。
アドビはもともと「ゲームとビデオにFlashの強みがある」と主張してきたが(関連記事)、Game Developer Toolsの投入によってその姿勢がより鮮明になった。