本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
「Apple Remote」の行く末を考える
技術的に“古い”とみなしたデバイスは、ためらうことなく切り捨ててきたアップル。初代iMacのときフロッピーディスクドライブとシリアルポート(RS-232C)を捨て、NetInfoなどの管理ツールやAppleTalkなどのネットワークプロトコルを捨て、最近では光学ドライブを捨て始めた。PowerPCからIntelへの切り替えには数年を要したように、移行措置が必要なケースもあるが、影響は小さいと見るやアッサリ外してしまうのがアップル流だ。
例外があるとすれば、赤外線通信機器の「Apple Remote」だろう。2008年2月発売のMacBook以降、Macシリーズに標準装備されることはなくなったが、「Apple TV」には今も標準で同梱されている。というより、iOSアプリ「Remote」を除けば唯一無二の入力装置だ。Apple Storeでの取り扱いも継続されていることを併せると、今なお現役の技術だともいえる。
赤外線通信が“古い”ということはない。赤外線通信の標準規格であるIrDAには、最高100Mbpsという高速通信が可能な規格「UFIR」(ultra fast IrDA)や最高1Gbpsの「Giga-IR」規格(関連記事)も存在するし、携帯電話をはじめ多くのデバイスに採用されている。
しかし、指向性が高く不透明なものは透過できないという短所がある。TVなどのAV機器で無指向性リモコン(RFリモコン)が採用されるようになったのは、狙いを定めながらリモコンを操作することを嫌ったためだ。長年の実績ある“枯れた”技術ではあるが、コマンドをやり取りする際の間隔(レイテンシー)が長いため、マウスやタッチパッドなどの入力デバイスには適さない。
先日リリースされたOS X Lionでは、Apple Remoteでの操作を前提としたメディアプレイヤー「Front Row」が廃止された。これで、Apple TVを除けば、赤外線通信を必要とするデバイスはアップル製品から消えたことになる。その意味では、OS X Lionのリリースをもって赤外線通信は“レガシー入り”したと言えるだろう。
Remote | |||
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価格 | 無料 | 作者 | アップル |
バージョン | 2.1.1 | ファイル容量 | 14.8 MB |
カテゴリー | エンターテインメント | ユーザーの評価 | (3.5) |
対応デバイス | iPhone/iPod touch およびiPad互換 |
対応OS | iOS 3.1.2以降 |
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