7月7日から9日まで、東京ビッグサイトで「電子出版EXPO」が開催されている。
今回熱かったのは電子書籍の“周辺分野”。フォント、OCR技術、フォーマットなどだ。「え? 電子ブックリーダーとかじゃないの?」そうなのだ。もちろん電子ブックリーダーや電子ブックストアもあるが、今回はそれも数点に限られている。
「GALAXY Tab」「GALAPAGOS」などのブックリーダーは半年前にリリースラッシュを迎え、主要なところはほぼ出揃った感がある。ブームの火付け役となったiPadを含め、あとはコンテンツ待ちという状態だ。その中で記者の胸を熱くしたブースを紹介したい。
ついに登場したパナソニックの電子ブックリーダー
まずはパナソニックの電子ブックリーダー「UT-PB1」(参考出展)。解像度は600×1024ドット、画面サイズは7型と大型で、動作はもたつきもなく読みやすかった。OSはAndroid 2.2を搭載、フォーマットはXMDF形式に対応。EPUBも対応予定で、今夏発売の予定だ。
面白いのが「チラ読み」として、試し読み可能な書籍があらかじめ600冊程度インストールされていること。電子ブックストアには楽天市場を採用しており、楽天IDで電子書籍が購入できるようになる。Amazonに対抗できる主軸になるか期待したい。
次はNECの2画面タブレット「LifeTouch W」。今年6月に教育機関などに法人向けとして発売したもの。電子書籍上にペンツールで書き込みができる、動画が埋めこめる、ページが見開きで読めるなど、2画面でしか実現できない機能が目を引いた。一般ユーザー向けには「LifeTouch NOTE」が発売されているが、ぜひLifeTouch Wにもご登場願いたい。
これはすごい!! KYBERの“人力OCR”
ここから周辺系に移る。まずはオーリッドの「KYBER」(カイバー)というクラウド系Webサービスだ。Evernoteと同じタイプのメモサービス。依頼をかけると中国にいる約2000人のスタッフがOCRのチェックにあたり、高精度なデータを送ってくれるという、まさに“人力OCR”サービスが売りだ。1枚あたり50円、最速で10分以内で納品される。
その人力システムがすごいのだ。ノートや名刺の写真といった画像メモを元にOCRの依頼をかけると、中国の中央センターがまず元になる画像データを形態素解析にかける。画像は漢字/ひらがな/数字など100個余りのパーツに分割され、校正担当者にメールされる。担当者はバラバラになったパーツのOCR結果が正しいかをチェックして返信し、中央センターがそれを最終チェックをして、ユーザーに納品するという流れだ。
校正担当者は一般のWebユーザー。中国現地法人がWebを通じて契約し、「数字が読める」「英語が読める」などそれぞれの能力に応じた仕事が割り振られることになる。ギャランティはFacebookポイントの形で支払われる。電子出版とはやや離れるが、アナログをデジタルに変換するシステムの1つとして非常におもしろい。
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