インテルは6日、「Sandy Bridge」のコード名で呼ばれていた新アーキテクチャーCPUを発表した。製品としては、第2世代の「Core i7」「Core i5」「Core i3」プロセッサーの、デスクトップ/ノートパソコン向け25製品と、対応チップセットとなる。
新しいCore i7/i5/i3プロセッサーは、いずれも32nmプロセスで製造され、今までのCore i7/i5/i3(Nehalemアーキテクチャー)を改良した新しいアーキテクチャーのCPUとなっている。第1世代のCore iシリーズでは、グラフィックス機能(GPU)を内蔵するもの、しないものが混在していたのに対して、新しいCore iシリーズはすべてがGPUを内蔵している。また、CPUとGPUが同じ半導体ダイ上に集積されているだけでなく、キャッシュメモリー(LLC、従来の3次キャッシュに当たる)を共有するなど、統合がより進められた。
また、「AVX」(Intel Advanced Vector eXtentions、関連記事)と呼ばれる新しいSIMD演算拡張命令の搭載も、大きな特徴のひとつとなっている。CPUと内蔵GPUの強化により、独立GPUを搭載しなくてもBlu-ray 3Dの再生が可能(Intel InTru 3D)としている。
動作周波数も向上しており、デスクトップパソコン向けのCore i7/i5は、多くが3GHz以上のクロック周波数で動作する。なお、第2世代Core iシリーズのパフォーマンスについてはこちらの記事を参照していただきたい。また、アーキテクチャーの詳細については、別途解説記事を掲載する予定である。
省電力版が独立したラインナップに
デスクトップ向けCPU
デスクトップパソコン向けのCore iシリーズでは、小型パソコンやディスプレー一体型パソコンに適した低電圧版が独立したラインナップとして用意された。パッケージは新たに登場した、1155ピンの「LGA-1155」となっている。
デスクトップ向けCore i7/i5とCore i3の主な違いは、i7/i5が基本的にクアッドコアCPUで自動オーバークロック機能「ターボ・ブースト・テクノロジー」(以下ターボブースト)を備えるのに対して、i3はデュアルコアCPUでターボブーストを搭載しない点にある。また、Core i7とCore i5の主な違いは、ハイパー・スレッディング・テクノロジー対応の有無にある。ただし、後述するように例外もある。
プロセッサーナンバーの末尾に「K」と付くCPUは、クロック倍率のロックが外された、オーバークロック動作に適した製品と位置付けられている。K付きのアンロック製品は内蔵GPUも強化され、内部演算ユニット(EU)が12個の「Intel HD Graphics 3000」を搭載する。それ以外のデスクトップ向けCPUの内蔵GPUは、EUが6個の「Intel HD Graphics 2000」となっている。
一方でK付きアンロック製品とCore i5-2300などは、ビジネスパソコン向けのクライアント管理技術「vProテクノロジー」や、ハードウェア仮想化のパフォーマンスを向上させる「Intel VT for Directed I/O」(VT-d)、セキュリティー機能「トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー」(TXT)といった、ビジネス向け機能には対応しない。Core i3も同様なほか、暗号化処理を高速化する「AES-NI」命令にも対応しない。
主な仕様は以下のとおり。なお価格は、1000個受注時の1個あたりの価格である。
デスクトップ向け 通常電圧版 クアッドコア | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Core i7 | Core i5 | |||||
CPU名 | i7-2600K | i7-2600 | i5-2500K | i5-2500 | i5-2400 | i5-2300 |
物理コア数/論理コア数 | 4/8 | 4/4 | ||||
動作周波数 | 3.4GHz | 3.3GHz | 3.1GHz | 2.8GHz | ||
ターボ・ブースト 最大周波数 | 3.8GHz | 3.7GHz | 3.4GHz | 3.1GHz | ||
LLC | 8MB | 6MB | ||||
メモリー速度 | 1333MHz | |||||
内蔵GPU | HD 3000 | HD 2000 | HD 3000 | HD 2000 | ||
GPU動作周波数 | 1350MHz | 1100MHz | ||||
TDP | 95W | |||||
価格 | $317 | $294 | $216 | $205 | $184 | $177 |
デスクトップ向け 通常電圧版 デュアルコア | ||
---|---|---|
Core i3 | ||
CPU名 | i3-2120 | i3-2100 |
物理コア数/論理コア数 | 2/4 | |
動作周波数 | 3.3GHz | 2.93GHz |
ターボ・ブースト | 非対応 | |
LLC | 3MB | |
メモリー速度 | 1333MHz | |
内蔵GPU | HD 2000 | |
GPU動作周波数 | 1100MHz | |
TDP | 65W | |
価格 | $138 | $117 |
低電圧版のデスクトップ向けCPUは、プロセッサーナンバーが通常電圧版と同じでも、動作周波数は異なる。末尾に「S」が付くものはTDPが65W、「T」と付くものはTDPがさらに低い35~45Wとなっている。なおCore i5-2390Tのみ、i5シリーズでありながら「デュアルコアCPUでハイパー・スレッディング対応」という例外的存在となっている。
デスクトップ向け 低電圧版 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Core i7 | Core i5 | Core i3 | ||||
CPU名 | i7-2600S | i5-2500S | i5-2500T | i5-2400S | i5-2390T | i3-2100T |
物理コア数/論理コア数 | 4/8 | 4/4 | 2/4 | |||
動作周波数 | 2.8GHz | 2.7GHz | 2.3GHz | 2.5GHz | 2.7GHz | 2.5GHz |
ターボ・ブースト 最大周波数 | 3.8GHz | 3.7GHz | 3.3GHz | 3.3GHz | 3.5GHz | 非対応 |
LLC | 8MB | 6MB | 3MB | |||
メモリー速度 | 1333MHz | |||||
内蔵GPU | HD 2000 | |||||
GPU動作周波数 | 1350MHz | 1100MHz | 1250MHz | 1100MHz | ||
TDP | 65W | 45W | 65W | 35W |
この連載の記事
-
第13回
PCパーツ
マザーないけど…… Sandy Bridgeの「Core i3」がデビュー! -
第12回
PCパーツ
不具合によりP67/H67搭載マザーが全ショップで販売停止中 -
第11回
マザーボード
インテル、Intel 6チップセットのエラーを公表 -
第10回
PCパーツ
Sandy Bridge発売日にインテルがイベントを開催 -
第9回
マザーボード
「Sandy Bridge」対応マザーボード一斉発売!【その他編】 -
第8回
マザーボード
「Sandy Bridge」対応マザーボード一斉発売!【Intel編】 -
第7回
マザーボード
「Sandy Bridge」対応マザーボード一斉発売!【Gigabyte編】 -
第6回
デジタル
「Sandy Bridge」対応マザーボード一斉発売!【ASRock編】 -
第5回
マザーボード
「Sandy Bridge」対応マザーボード一斉発売!【ASUSTeK編】 -
第4回
PCパーツ
自作ユーザー集結! インテル新CPUが深夜に販売解禁! -
第3回
自作PC
ついに登場! 新型Core i7/i5シリーズの価格をチェック - この連載の一覧へ