PCオーディオがいま注目されている
「音楽を聞くデバイス」としてのパソコンが、いま大きく注目されている。
普段は高級機器しか扱わないようなオーディオ雑誌でも「PCオーディオ」の特集企画が組まれるなど、これまで利便性やデータの保管場所としてしか捉えられなかったパソコンが、純粋に音楽を鑑賞するソース機として再認識されているのだ。
「パソコンの音が悪い」という常識はすでに「過去のもの」になっている。アナタのパソコンに保存されている(これからする)音源は、高級オーディオ機器で再生した、CDの音よりもさらにいいものになりうる。
長くなるので、ここでは省略するが、どんなCDプレーヤーでも読み取り時には大なり小なりのエラーが発生している。パソコンにロスレスや非圧縮で保存したデータは読み取りエラーとは無縁で、適切な取り出し方さえすれば、新しい地平が見えてくるのである。
CDを上回る音をパソコンが奏でる可能性
背景にはiPodの普及によって、パソコンの中に相当量の音楽コンテンツが蓄積されたことが大きいだろう。その動きはまず最初にヘッドホンで起きた。iPodの音をより高音質に聴くために、カナル型ヘッドホンのブームが起きたが、その流れを継承する形で、高級ヘッドホンのブームは続き、現在でも一定の地位を得ている。
最近になって顕著になって来たのが、ハイエンドのオーディオ機器とiPodやパソコンを組み合わせるという動きだ。DLNAやUSB、iPod用トランスポートという機器で高音質なD/Aコンバーター(DAC)をつなぎ、高音質なオーディオ環境を手に入れるのだ。せっかくたまった音源だから、最高の音で聴きたい。そんなニーズが生まれるのも当然だろう。
音楽コンテンツの配布方法も、CDからネット配信へと移行しつつあり、現行CDを上回る24bit/96kHz音源の配信サービスが海外を中心に盛り上がりを見せている。まだまだ一部のマニア向けのサービスという雰囲気もあるが、PCオーディオ普及の追い風になっているのは確かだ。
PCオーディオの醍醐味は、始める敷居は低いが、やる気になればかなりの高みに登れる峰であること。音にこだわるマニア層はその峰を目指すが、ハイキング程度に、手軽にいい音を楽しみたいという層でもPCオーディオは楽しめる。