誰もが毎日見ているはずなのに、いくら近付いてもその実態が見えてこない――クラウドコンピューティングはこんな風に形容されることもある。マイクロソフトが今秋リリース予定の「Windows Azure」は、ついにそのベールを脱いで実態を見せた。
マイクロソフトは14日、都内で「[Future Technology Days]Windows Azureセミナー with David Chappell」を開催した。近日、世界的に正式サービスが開始されるWindows Azureについての公式セミナーで、ソフトウェア開発コンサルティング会社である米チャペル&アソシエーツ社代表のデビット・チャペル氏を招いて行なわれた。
セミナーは三部構成で、最初にチャペル氏による基調講演。続いて、2つの開発者向けセッションが行なわれた。基調講演のタイトルは「Microsoft Windows Azure Platform概要」で、Windows Azureを(クリエイターにとって)分かりやすく説明するもの。チャペル氏は、現在コンサルタントとして活動しており、要所を押さえながら多くの人が誤解している点への注意喚起などを織り交ぜた解説を行なった。
Azureとは、マイクロソフトによるホスティングサービス?
……ではない!
Windows Azureとは、マイクロソフトが開発中のクラウドプラットフォームである。これを提供するために同社は、米国シカゴ、EU圏のアイルランド・ダブリン、アジアではシンガポールにデータセンターを構築中だ。Windows Azureは、サービスとして提供されるOS(オペレーティングシステム)の名前であり、クラウドプラットフォームの名前でもある(ただし同社では「当面、OS単体での提供は予定していない」と表明している)。
チャペル氏の説明によれば、サービスを実行する環境は「Windows Azure Platform」(旧称「Azure Services Platform」)と呼ばれる。これは「Windows Azure」「SQL Azure Database」「.NET Services」の3つのサービスで構成されるが、その中心となるのが「Windows Azure」である。
Windows Azureそのものも、3層で構成されてるという。ハードウェアをまとめて仮想化する「ファブリック」。プログラムを実行する「コンピューティング」サービス。そして、データを格納する「ストレージ」サービスだ。
(次ページ、「Windows Azureを構成する三要素の解説」に続く)