6月9日、パシフィコ横浜にて、Webアプリなどの開発者向けイベント「Google Developer Day2009」が開催された。
基調講演では、先日アメリカで発表され注目を浴びた新メッセージングプラットフォーム「Google Wave」のデモや、日本で“オープンソーシャル”を活用する代表企業としてmixiの笠原健治代表取締役社長も登場し、熱気に包まれた。その模様を速報でお伝えする。
図1 開会の挨拶を行なうグーグルジャパンの辻野社長。日本の開発者への期待を語る
Webの制約がHTML5によって克服されつつある
図2 グーグルのシニアプロダクトマネージャーの及川卓也氏。これまでWebの課題であった、グラフィックス処理、ロケーション情報の活用、ストレージの制約、処理スピードの問題が、HTML5やChromeなどにより克服されつつあるとアピール
GoogleによるWebのイノベーションは進行中だ。特に目を引いたのは、Flashなどのプラグインを使用せず、HTMLとJavaScriptだけでインタラクティブな3DCGコンテンツを表示させたり、動画をコントロールするデモンストレーションだった。
図3 日本初公開となる、Flashを利用しない動画デモンストレーション。実際にタスクマネージャでFlash Playerが動作していないことを確認していた
そのほか、Webブラウザー上で2つ以上のアプリがスレッド管理されながら動作するデモも行なわれ、リッチクライアントへとさらに進化するPC＆Webの未来像が垣間見えた。
日本語版アンドロイド携帯登場による
モバイルコミュニケーションの進化
もうひとつ、直前に迫ったAndroid OS搭載の携帯電話も大きなトピックスだ。NTTドコモから執行役員プロダクト部長の永田清人氏も駆けつけ、期待を語った。
図4 アジアパシフィックAndroid担当のTom moss氏。既に11ヵ国で展開しているAndroidケータイの成果を示しながら、日本語で開発への参加を呼びかけた
図5 NTTドコモ永田氏。既存の携帯市場の成長が鈍化する中、スマートフォンの需要は伸びていることに期待を込める
日本における「オープンソーシャル」
2009年の動きとしてもう1つ押さえておくべき流れが“オープンソーシャル”だ。
図6 Webサイト同士をソーシャルグラフで結ぶオープンソーシャル。その活用が進み、Webサイトがリーチできる登録ユーザーは増加している
日本における最大のSNSサービス“mixi”がどのようにオープンソーシャルを採用しようとしているか、その一部が代表取締役社長笠原氏から説明された。
図7 mixiの笠原社長
笠原氏は、既にmixi platfomを発表しているmixiの強みとして、そのソーシャルグラフを活用し、「マーケティングコストがかからない」ことを強調する。マイミク同士がアプリを広めてくれること、そして、既にPCよりもアクセスが多いモバイル版も同時に展開していることが特徴的だと語った。
話題のWaveも日本初お目見え
先月サンフランシスコで行なわれたプライベートイベント「Google I/O 2009」で発表され、拍手喝采を浴びたGoogle Waveも本邦初公開となり、既に日本語によるメッセージのやり取りにも対応している様子が確認できた。
図8 及川氏が入力した日本語メッセージも難なく表示され、リアルタイムで自動翻訳される
いわゆる郵便を電子化した従来のeメールは、現在のWebテクノロジーから考えるとメッセージングに最適なツールとは言えなくなっている。Google Waveはリアルタイムにテキスト・画像・アプリを介したコミュニケーションを取ることができる、新世代のメッセージングプラットフォームを目指したもの。これも、HTML5のメリットを活用したキラーアプリになる予感を覚えた。
2時間にわたる基調講演では、このほかにも魅力的な発表がてんこ盛りであったが、詳細は追ってレポートする。
図9 サプライズとして用意されたのは、開発用Androidケータイの事前登録者全員へのプレゼント。プレス関係者にも提供されるかが個人的には気になるところだが、結果は後ほど……
