聖火リレー
平壌では滞りなく済んだようですが、まあ当たり前と言えば当たり前ですね。この聖火リレーへの対応でその国の民主化の度合いが分かります。もちろん当の中国はこれで実態を世界に晒してしまったわけですが。
こうなるとベルリンを遙かに凌駕した国威発揚のオリンピックになるのでしょう。しかし、競技よりも、何が起きるかの方が皆の関心事になってきています。そっちのオリンピックの方が国際的に認知されるかも知れません。
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平壌では滞りなく済んだようですが、まあ当たり前と言えば当たり前ですね。この聖火リレーへの対応でその国の民主化の度合いが分かります。もちろん当の中国はこれで実態を世界に晒してしまったわけですが。
こうなるとベルリンを遙かに凌駕した国威発揚のオリンピックになるのでしょう。しかし、競技よりも、何が起きるかの方が皆の関心事になってきています。そっちのオリンピックの方が国際的に認知されるかも知れません。
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この一つ前の「小銃」で「憲法のない国でも軍隊はあり、軍隊はないけれど憲法があるという国は寡聞にして知りません」と書いたところ、「アイスランドやコスタリカなど27カ国は軍隊がない」とのご指摘を受けました。
確かに一寸言葉足らずでしたが、この場合の「軍隊」は、外国の侵略に対して対抗する任務を持ち武装した公的機関という意味です。アイスランドやコスタリカのそれにあたる機関が、もし外国から攻めてきた場合にどの程度役目を果たせるのかは分かりませんが、ともかくその努力はすることになるわけで、警察しかなければ警察がその役目にあたるのでしょう。この見方からすれば自衛隊は立派な軍隊です。もっと小さな国で、特殊な理由で全くそういうものがない国というのがあったとしても、少なくとも一般論にはならないでしょう。
「自衛隊は軍隊である」という言い方には現役の自衛官やOBの方から反論されることも多く、確かに法的不備(通常の軍隊なら法律で「これはしてはいけない」となっているのに、自衛隊の場合は「これはして良い」という範囲しかできないことや、軍法会議がないことなど)等、他国の軍隊と異なる点も少なくありません。しかし、それでも自衛隊は軍隊です。それを変にごまかすから自衛隊の内部にも、政治にも歪みができるのだと思います。
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予備自衛官は年間5日の訓練参加が義務づけられています。私たち語学や衛生などの技能予備の場合は独自の訓練もありますが、射撃はかならずやります。医官や薬剤官の場合は将校ですからピストルですが、私たち下士官は小銃の射撃で、普段使うのは64式という古い型のもの。この銃は精巧にできていて、下手でもよく当たるのですが、最大の欠点は精巧すぎて壊れやすいということ。つまり狙撃銃としては有効でも突撃銃には使えないということです。突撃銃で使うのは旧ソ連のAK47が非常に使いやすいと聞いたことがありますが、多少制度が悪くても頑丈で、乱暴に使ってもともかく前に弾が飛べば良いということが要求されます。
今順次64式からの置き換えが進んでいる新式の89式小銃は大分改良されて軽くなり使いやすくなっているようですが、私たちはまだ訓練のとき「こういうのがあります」とさわらせてもらうか、市街戦訓練(といっても初歩の初歩ですが)のとき持たせてもらう程度です(このあたりの状況は他の方面隊ではそれぞれ違うと思いますが)。
しかし、いずれにしても小銃から大砲、ミサイルまで、軍隊の使う武器というのは敵を制圧するために使うもので、もちろん軍隊は敵と戦って勝つのが目的です。当たり前の話です。敵が攻めてきたときに見守っているために軍隊を(もちろん自衛隊も含め)持っているわけではなく、また、警察のように法律の適用される地域でその法秩序を守るために使うものでもありません(治安出動のときは別ですが)。
憲法のない国でも軍隊はあり、軍隊はないけれど憲法があるという国は寡聞にして知りません。また、それが自由主義国家であれ共産主義国家であれ、軍人は国家のために命を捧げるから尊敬されるのであり、それ故他国の軍人も敬意をもって遇されるのだと思います。したがって、これは憲法云々で決められるものではなく、それ以前の常識、大森勝久さんの言葉を借りれば「法」ということだと思います。もしそれが憲法判断で9条に違反するとかいうことになるなら、それは今の憲法が間違っているだけのことで、解釈を変えるか条文を変えれば良いだけの話です。
逆に言えば、左翼の皆さんが「9条を守ろう」と言ってくれればくれるほど、その現実との乖離は明確になり、世論は「それなら変えればいいじゃないか」となるでしょう。保守系の皆さんもそろそろ「憲法を変えなければ何もできない」という呪縛を解く努力をすべきだと思います。
今年は5月3日に愛媛の日本会議の憲法講演会でお話しします。もともと法律は専門外ですし、憲法のことでお話しするのは初めてですが、憲法記念日を機会にこのあたりのことをもう一度整理してみたいと思っています。
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長野でどうなるか知らないが、そもそも聖火がこんなに世界中で妨害されるオリンピックというのは聞いたことがない。それに対する中国政府のコメントも唖然とするようなものだ。中国政府や共産党の宣伝する「南京大虐殺30万人」というのがどういう意味か、さすがにこれで皆分かったのではないか。
この際、一般の競技は外国に移して、中国で「人権侵害のオリンピック」でもやったらいいのではないか。チベット、東トルキスタン(新彊ウイグル)の独立運動弾圧から反体制派への弾圧、台湾への恫喝、もちろん脱北者の人権侵害や強制送還など。どれを金メダルにしたら良いか、難しいところだが。
あるいは、新しい競技として「聖火リレー」というのはどうだろう。聖火を持ったランナーと守る側に対して攻撃側は聖火を消すか奪い取る競技である。守る側は必ずブルーのユニフォームを着るということで。
冗談はさておき、チベットの問題もそうだが、聖火の問題も含め、共産党の中国は腐敗が進んだ以外は昔とほとんど変わっていないということだけは認識が深まったと言えるだろう。それにどう対処するかはこちらの問題である。
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イラク派遣の航空自衛隊の空輸活動は憲法違反だが原告の控訴を棄却するという名古屋高裁の妙な判決が出た。こんなことが憲法違反なら、それは憲法の方が間違っているということの証明である。同盟国との間で軍事的協力をしあうというのは当たり前のことである。もちろん、言われたからすべてやるべきではなく、どの国も自国の都合で協力できることはするということになるのは当然だが、個別の判断は政府が行うことで、議論は国会ですべきことだ。私はイラク派遣が100%正しかったとは思わないが、少なくともそれが違憲だ合憲だという議論に価することだとは思わない。
今回の判決は現行憲法、特に9条が完全に時代遅れになっていること(独立回復の時点ですでに時代遅れだったのではあるが)の証拠と言えるだろう。
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※以下は昨日(4月15日)発信した調査会NEWS 618号に書いたものです。
日本テレビの衛星放送「日テレNEWS24」に13日、蓮池薫さんの兄である蓮池透さんが出演して「環境が整えば北朝鮮に行って拉致問題の真相を問いただしたい」と語りました。
透さんの発言を要約すれば、拉致問題は膠着状態にある。制裁は効いていない。制裁を続けるだけでは事態が打開できないので、北朝鮮の動きに応じて解除するなどして話し合いをするべきではないかといったようなことでしょうか。
「制裁を続けるだけでは進展しない」という点に限っては私も意見は同じです。私も可能であれば北朝鮮に乗り込みたいと思いますし、電波だろうがビラだろうがファックスだろうが、北朝鮮の中に手を突っ込めることはなんでもすべきと思います。塹壕に入っているだけでは負けることはなくても勝つことはできません。その点、私の意見は家族会や救う会の方針とは多少異なるかも知れません。
ただ、違うのは、「制裁を続けるだけでは進展しない」ので、「制裁以外のこともやる」か、「制裁をやめる」かの違いでしょう。蓮池さんは「制裁は効いていない。かえって末端が困っている」と言っていましたが、何か根拠があるのでしょうか。かえって、蓮池薫さんの兄がテレビで「制裁に効果はない。やめるべきだ」と言ったということは、北朝鮮への制裁が効果を上げていることの証拠だと思うのですが。
「労働新聞」などでも日本への攻撃の中でたびたび「経済制裁」の話が出てきます。総聯の国会前座り込みや申し入れなどもありました。20年前ならともかく、もはや実組織人員は5万人を切ったとも言われる朝鮮総聯にとって、工作活動ならともかく、日本の世論に逆らって大衆運動をやるのは楽なことではありません。経済制裁に効果がないならこんなことをする必要はありません。
また、蓮池透さんの条件が整えば北朝鮮に行きたいという発言ですが、すでに家族会の役員でもなく、副代表を辞任する前から家族会の活動にほとんど参加していない透さんが被害者家族の代表として行けるはずもありません。「真相を明らかに」と言っても、「どうなっているのか」と聞いて「実はこういうことです」と話でもすると思っているのでしょうか。北朝鮮がそういう相手かどうかは薫さんに聞いてみるといいでしょう。
もちろん、日本は北朝鮮や中国とは異なり民主主義の国ですから、透さん自身の思っていることをどんどん発言することは認められるべきですが、透さんが拉致問題の解決に役割を果たせるのは、薫さんに北朝鮮で見たことをもっと話させることではないかと思います。
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先日映画「氷雪の門」のことを書きましたが、この映画も民社党時代上映運動に携わった作品です。日本人妻の問題を扱った劇映画で、配役は沖田浩之、坂上味和、藤巻潤、萩尾みどり他。昭和60年の作品ですからもう四半世紀前です。「氷雪の門」で主役の二木てるみが沖田浩之の母親(帰国した日本人妻)役。特別出演で永末英一代議士(後に中央執行委員長)も出てきます。
今回、たまたまご案内をいただいて都内で行われた上映会に行ってきたのですが、観ていて「あのころからこういう問題になぜもっとしっかり取り組んでこなかったのだろうか」という思いにさいなまれました。民社党はこの「鳥よ翼をかして」「氷雪の門」の他にも樺太残留韓国人の問題を描いたセミ・ドキュメンタリー「忘却の海峡」や難病問題をテーマにした映画の上映活動を、主に青年組織を中心としてやっていたのですが、残念ながらそこ止まりで、それを本当の意味での政治へつなげていくことができませんでした。
昭和55年1月、阿部雅美さん(現産経デジタル社長)のスクープで拉致問題を知りながら、自分が実際に被害者救出のために動き始めたのは17年後であったという事実は、どうやっても消すことはできません。しかもこの「鳥よ翼をかして」などの上映運動もやっていたのですから、拉致ではなくても北朝鮮の問題にもっと目を向けて行動することはできたはずなであり、そうすれば当然拉致問題にも繋がっていったでしょう。自分一人がそうしたところでどうなることでもないのは分かっていますが、この思いは拉致問題が解決を見て、北朝鮮の人権問題が改善されたとしても死ぬまで持ち続けることになるでしょう。
なお、ご参考まで、以下は昭和61年2月21日の衆議院予算委員会で民社党の岡田正勝衆議院議員(広島3区)が安倍晋太郎外務大臣と行った質疑です。今とはずいぶん日朝関係も日本の中の見方も違いますが、当時、この質問は日本人妻問題の国会質疑の中でも非常に注目されたものです。岡田議員は一昨年亡くなられましたが、この問題には最後まで何とかしなければという思いを持ち続けておられたと聞いています。
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104-衆-予算委員会-14号 昭和61年02月21日
○岡田(正)委員 ありがとうございました。まあそう言わざるを得ないと思いますが、事ほどさように問題は複雑怪奇でございます。どうぞひとつ国民の納得できるような立派な案が一日も早く成立をして、国民の皆さんに褒めてもらえるような結果を生み出したいものと私も考えておりますので、せっかくの御努力をお願いをいたします。どうぞ官房長官、結構ですから。ありがとうございました。
ちょっと資料を配ってください。これから北朝鮮にいらっしゃいます日本人妻の里帰りの問題につきまして質問をさしていただきたいと思うのであります。
ただいまお手元に三部資料をお配りしたのでありますが、そのうちのこのたくさん枚数がある「世にも不思議な物語り」というやつは、実は不肖岡田正勝がつくった歌でございます。これは大変人道的な問題であり、しかも二十七年間もほったらかしになっておるような問題でありますので、この問題を理解してもらうのに、これを一見していただけば数字も歴史もすべてがわかるようにと念願をして書いたものでございます。二十七年三カ月前の昭和三十四年十二月十四日に新潟港を船出をいたしまして北鮮に行かれたきり、今日までただの一人も里帰りをしていないという六千六百七十九人の日本人並びに日本人妻、この問題について、これから政府にお尋ねをしたいのであります。
この問題は、昭和三十四年八月十三日のカルカッタ協定に始まっておりまして、この協定というのは、在日北鮮人の人たちが当時北鮮に帰りたい、祖国に帰りたいという願望を持っておりましたが、当時も今も国交がありませんので、そのことを人道問題としてとらえた当時の藤山愛一郎外務大臣がこれを閣議でお取り上げになりまして、閣議決定によって、人道問題だからひとつ送り帰してあげようではないかということになりました。それによって弾みがついて、両国の赤十字の間で帰還協定の締結に至り、帰還業務が始まったのでありまして、三十四年十二月十四日から五十九年七月二十五日までの間、第百八十七次船までで九万三千三百四十人の人が北鮮に行かれました。そのうち日本国籍の人は六千六百七十九名であり、そのうち当時の日本人妻は千八百三十一名でございました。だがしかし、二十七年三カ月、ただの一人も今日まで里帰りをしません。
それでは、国交がないから全然行き来ができないのであろうか。そうであるならば納得がいきますが、その歌の中にも、資料に書いてありますが、北鮮から日本に来られてまた北鮮に帰っていくという人たちが、これが年間約二百名づつ、今日まで三千八百十二名の人が行き来をしております。そして、日本にいらっしゃる在日の北鮮人の方々が祖国に訪問をしたいというので、祖国に行って帰ってこられる人、これが年間約三千人を超えております。それで、その合計は二万九千九百九十名に至っております。日本人であって、北鮮に用事があって行って日本にまた帰ってくる、こういう人だけでも一年間に八百八十九名という状態であります。でありますのに、それだけ自由に往来をしておるのにかかわらず、日本人妻は一人も帰ってこない。一人も里帰りがない。これは一体どういう現象なんでしょうか。だからこそ私が今お手元に配ってある「世にも不思議な物語り」と言いたくなるのであります。こういうことが現実にこの世界で起こっておるのであります。
さらに、今お渡しをいたしました資料の中に三枚つづりのこういう手紙があります。これは最近の手紙であります。これを全部読んだら時間がありませんから、その一枚はぐって二枚目の真ん中の丸印をしてあるところをごらんいただきたいと思いますが、本当に涙なくしては読むことができません。いかに生活に困窮しておるかということがよくわかります。
この国ではまだまだ生活が大変で、私も年をとり、主人が今では寝たり起きたりの状態です。子供たちがよく頑張ってくれるのでどうやら暮らしていますが、お姉さんには想像もできないことと思います。自分が選んだ道なので、だれにも言えない立場ですが、年をとるほど肉親が恋しくて涙に暮れる日が一日や二日ではありません。
姉さんからのお便りを受け取り、姉さんにしか泣き事を言える人がいないのですが、皆さんの着古した物を送ってくださいませんか。高価なものは何も要りません。子供たちも孫も八人皆大きくなったのに人並みに着せられず、胸の痛いことがしばしばあります。と書いてあります。
着る物にも不自由をしている様子がこの行間を
通してしみじみとうかがえるのでありますが、さて、向こうに行かれた日本人妻のほとんどの方がそういうことで困っていらっしゃるのではないかと私は大変心配をしておるのであります。
そこで、郵政大臣にお尋ねをいたします。
まず、郵便物の関係でありますが、これは手紙とか荷物ですね。これが確実に本人の手に届くという手段がないものでしょうか。この点について、実は五十三年の十月十八日に逓信委員会で我が党の青山丘という議員が、当時の服部大臣に質問をいたしております。そういう関係もありまして、もう既にあれから随分の日にちがたっておりますので、大いに検討すると約束されておりますので、どう検討されたのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○佐藤国務大臣 私も岡田先生と同じように、昭和三十年代に地方の県会議員をしておりまして、北朝鮮にお帰りになるということで私の大分県でそういう方々のお世話をいたしました。久しぶりに先生のお話を聞きまして、その当時の思い出がよみがえってまいります。
北朝鮮に対するところの郵便物についての心温かい御配慮の質問がございましたのでお答え申し上げます。一応、今の原則だけ申し上げまして、それから現況について申し上げます。
北朝鮮は、万国郵便連合にやはり加盟してございまして、その万国郵便条約に基づいて郵便物の交換を行っております。しかし、直行便がございませんので、航空郵便物は中国及びソ連を経由して、それから船便の郵便物はソ連経由でもって送達をいたしてございます。そして現在、不着の事故が多いということはございません。さらに、万一不着の場合においては、御本人が請求をしまして、そして私の方がお世話いたしまして相手国に調査請求をする、こういう手段もございます。さらに、配達の事実を差出人に通知する方法として受取通知という制度も国際的にございます。
こういう原則に立ちまして、昨年一年間の東京国際郵便局の調査をいたしました。その結果、発送した四万四千通のうち、調査請求が出されたのは三通のみでございました。そこで直ちに調査しました結果、配達済みという返答が返ってございます。
こういうようなことでございますので、さらに細部につきましてもしも御質問がございますれば、政府委員に細部を説明させます。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。
五十三年の十月からいろいろと長年月をかけていただきまして努力をしていただいた結果が、今非常に成果が上がっておる。東京だけのことを考えても、四万四千通のうち三通が着いてないということであった、それも後で本人の請求があって調べたら全部届いておったということであって安心をしておる、こういうことでございますから、非常に安心をした次第でございます。今後もぜひひとつ、弱い立場に立っておる人たちでございますから、十分に目を光らせていただきまして援護をお願いしたいと思う次第でございます。
続いて郵政大臣にお尋ねいたしますが、このお金を送る保証ですね。これはちょっと郵政大臣、見てください。郵政大臣のところへ今差し上げました分、それをごらんになっていただきますとわかりますように、それはごく最近の例でございますが、今北朝鮮の方からどうなりこうなりやってくる手紙の中では、ほとんどが生活の苦労を訴えて、とにかく日本円というのは非常に強いのでお金を送ってくださいませんかということの訴えが非常に多いのです。この二、三年の傾向です。それより前は古いシーツを送ってくれとかハンカチでもいいというようなことを書いて、随分貧相な要求でありましたが、このごろはお金を要求してくるようになりました。そこでそのうちの一例でありますが、今お手元にありますように、これは大阪市にあります朝銀の大阪信用組合というところを通しまして二万円のお金を送りました。二万円、ここに書いてあるとおりです。ところが何と、手数料、電信料その他で五千七百円も取られるのですね。手数料的なものを五千七百円、二万円で。これは送る家族にとってはなかなか大変なんです。御承知だと思いますが、もう二十七年もたっているのですから、当時二十歳の人が行っておったとしても四十七歳ですよ、日本人妻は。こちらへいらっしゃるお父さん、お母さんというのはもちろん七十、八十ですよ。そしてほとんどいい生活をなさっていらっしゃらない人が多いのです。中には老人ホームに入っています。そういう人たちがお小遣いをこつこつとためて、もう二万円の金を送るのでも大変なんですね。それがこんな大きな手数料を取られるというのでびっくり仰天をした。
いま一つは、その金目も大きいのでありますが、送った金が本当に着いたのかいなと、全然これがナシのつぶてでわからぬのです。だから、どこかで消えてなくなっておるのか届いておるのかわからないのです。その点を何とかひとつ送金の保証をしてもらえないだろうかという訴えがありますが、どうお答えになりますか。
○佐藤国務大臣 非常にこれは大切なことでございますので、郵務局長に具体的に答弁させていただきます。お願いします。
○高橋(幸)政府委員 お答え申し上げます。
現在北朝鮮におきまして郵便で送れない物品、これは先ほども大臣答弁もございましたように、北朝鮮もUPU、万国郵便連合に加盟しておりますので、その万国郵便連合の条約によりまして、各国で独自にその政策によって決めるということになっております。それで、郵便で送れない物品を各国が定めました場合には、それぞれの国に通報するという形になっておりまして、私どもに届いておる通報によりますと、北鮮におきましては、郵便物に通貨、お金でございます、それから宝石などの貴重品、これを入れてはならない、私ども郵便禁制品と申しておりますが、そういう取り扱いになっております。したがいまして、今の制度でまいりますと、北朝鮮に住んでおられる方に対しまして郵便物を差し出す際に、通貨あるいは宝石を入れますと向こうのいわば法令違反ということで、私ども取り扱えないという建前になっております。
なお、どういう物品を郵便で送れないものとするかというのは、先ほど申し上げましたように、各国それぞれの独自の政策で決めるということでございますので、私どもの立場といたしまして、この問題につきましては非常に慎重な態度をとらざるを得ないということでございます。
○岡田(正)委員 そうすると、重ねてお尋ねしますが、郵便物では、今のような通貨とかあるいは宝石とか貴重品は入れてはいけませんよ、こういって各国が独自にその品目を決めることができる。北鮮はその中に通貨が入っておるから送ることはできません。これは非常に明快でよくわかりました。ありがとうございます。
だが、そこで、今私が大臣にお見せしました大阪市内にあります朝銀大阪信用組合というようなところを通して送るんなら、これは北鮮は構わないのですか。
○高橋(幸)政府委員 お答えいたします。
私が申し上げましたのは郵便による送達でございまして、それを銀行あるいはその他の金融機関による為替、振替、そういう手段によってどういうふうな取り扱いになっておるか、郵政省の所管でございませんので私の立場から御返事できません。申しわけございません。
○岡田(正)委員 それは大変失礼をいたしました。
それでは外務大臣、大変失礼ですが、担当の窓口といたしまして、留守家族の皆さんが大変困っておる問題の一つに今の送金の保証、どうやれば送れるのか、どうやれば着いたということが明確になるんだろうかというのが、乏しい金でありますけれども、それだけに血のにじむような金ですから、どうすればいいのかということをぜひひとつ調査を促進してもらいたいと思います。
それから、大蔵大臣いらっしゃいますので、金融機関はもう大臣の管轄でございますので、この問題について、今大変な手数料、これは手数料は
まけろ、まけぬというようなことでおさまってしまいますが、しかし、これが届いたか届かぬかということを調べるという方法は大蔵省としてはないものでしょうか。
○行天政府委員 お答え申し上げます。
通常、コルレス関係にございます銀行の間で送金をいたしますときに、まず、送金をなさいますときには銀行が確かにそういうお金を依頼者から受け取ったというのは当然写しがお手元に渡るわけでございます。ただ先方に、支払い先が確かにそのお金を受け取ったかどうかということは、果たしてその銀行を経由して直ちに確認できるかどうか、ちょっと私、現時点ではお答え申し上げられないので申しわけございませんが、これは早速調査いたしまして後ほどお答え申し上げたいと思います。それでよろしゅうございますか。申しわけございません。
○岡田(正)委員 それでは、それはひとつ研究をお願いいたしたいと思いますが、これは本当に切実な話ですから、大蔵、外務両省におきまして、本当に前向きにひとつ何とか前進ができるよう調査と促進をお願いいたしたいと思うのです。また、その結果を後ほどで結構でありますからお教えいただきたいと思います。
さて、そこで、今お手元に配付をいたしました三つ目の資料、向こうからの非常に短い便りでございますが、北鮮の中で実は新しい動きが出ているのですね。これは日本政府の御努力、それから留守家族の皆さん方の「鳥よ翼をかして」などというような大型の映画等による、日本語、英語等による世論の喚起、そして地方自治体等におきます千六百を超えるいわゆる里帰り促進の決議、これは三千三百二十五のうちの千六百何ぼですから約半分ですよね。これだけの熱意、そして国会においては実は我が党の永末副委員長が一番最初に発言をしまして以来、私がきょうやることで四十五回目です。これはむなしい質問であったかもわかりませんが、しかしその積み重ねがやがて相手の方にも聞こえておるのでありましょう。
これはごらんのとおり、こういう実にうれしい話が載っておるのであります。「私達にもうれしいお話があります。この度日本人の女性達が故郷に一度、日本へ行って来る様な調べがありました。それでみなさんの住所を調べて行きました。どうかこんな様なお話があって調べる時には責任を持つと言って下さい。責任ない人達は行く事が出来ない様です。」ちょっと日本語が怪しくなっておるところがあります。要するに、あなたは日本へもし帰るとしたら日本で受け入れてくれる者がおるのか、それがなければだめだよというようなことがあるらしいので、もし調査があった場合は、よろしい私のところに、家にひとつ引き受けましょう、日本滞在中は引き受けましょうというようなことを言ってください、それをおれは知らぬよなんて言わないでくださいという訴えの手紙です。新しい、本当に最近の動きです。
もう一通来ておるのでありますが、「北鮮の母より昨年の十一月の末に出した便りが届きました。日本の親兄妹の住所を書いて出すようにと役場から来たそうです。」と書いてあります。これは確かに今までなかった動きでありまして、これはいいチャンスではないか、里帰りを実現させるのにもってこいのチャンスではないかと私は思うのであります。
そこで外務大臣に、そして御列席の大臣の皆さん方にも御協力をお願いしたいのでありますが、今まで昭和五十六年の七月十七日の閣議で奥野前法務大臣が、これは見るに見かわた、もう一方的な日本のリップサービスばかりで一人も里帰りがないなんていうのは異常だよ、これは里帰りを実現するようにみんなで力を合わせてやろうじゃないかと御提案になった。当時外務大臣は出張中であったので、宮澤官房長官が外相代理としてそのまとめをしたのは、金日成首相が五十五年にAA研の代表に言った言葉のとおり、相互主義でこの問題はひとつ促進をしていこうではありませんかと締めくくったのであります。だが、しかし、残念ながら閣議決定ではないのです。
それで私は、この際、こういう二十七年三カ月たっても一歩も前進をしないこの問題を取り扱うのに、この昭和三十四年に帰還船が十二月に第一船が出るに至った、カルカッタ協定を結ぶに至った原動力は何かといったら、当時の閣議決定だったのです。国交はないけれども人道問題じゃないか、これは帰りたいと言う人は帰してあげようじゃないかという閣議決定があったから動き始めたのです。カルカッタ協定もできたのです。ということになると、問題の発端は閣議決定だったわけです。閣議決定はそれほど重たいものです。例えばGNPの一%の問題でも、一たん閣議で決定したら、今日に至るまで一%、一%と言って、ほかのことは知らぬのかというぐらいにみんな言うでしょう。これほど閣議の決定は重いんですよ。だから、閣議の中で雑談が出たというのではなくて、この問題を促進させるために、こんな新しい動きが出ているのですから、日本の毅然とした態度を閣議決定でお示しをいただけませんか。ひとつ外務大臣、お答えをいただきたいと思うのです。
○安倍国務大臣 岡田委員のたび重なる北朝鮮における日本人妻の里帰り問題についての熱心な御質問に対して、非常に私も感銘を受けております。
我々も、北朝鮮における日本人妻の方たちが相当苦労しておられるということについてはいろいろの資料で承知をいたしておりますし、この里帰りのために努力をしていかなければならぬ、こういう思いでございます。
ただ、御承知のように、日本と北朝鮮の場合は国交がないわけですから、政府間のルートを通じて行うということはできない。そういうことで日本赤十字社にお願いをしまして、赤十字が中心になって、北朝鮮に対してしばしば国際会議のときとかその他を通じまして訴え続けておるわけでございますし、同時に、政府としても何らかの形で努力をしたい、こういうことで、例えば国会議員が、日朝議員連盟の方たちが北朝鮮を訪問される際には、この問題を取り上げていただくようにお願いもいたしておりますし、また、先般日ソ外相会議が行われました際も、シェワルナゼ外相が日本からソ連に帰られる途中で北朝鮮にお寄りになるということを聞いたものですから、私からシェワルナゼさんにぜひともひとつ北朝鮮政府に伝えてもらいたい、これは多くの日本人妻が今向こうにおられてなかなか里帰りができない、外交ルートで我々残念ながら話ができないので、どうかひとつ日本政府としての気持ちを、そしてこちらに残っておられる家族の皆さんの気持ちをぜひともひとつ北朝鮮政府に伝えていただいて、里帰りの道を北朝鮮側で開いてもらいたいということをぜひひとつ伝えていただきたいということを、シェワルナゼさんにお願いをいたした次第でございます。恐らくシェワルナゼ外相も、外相会談の私の正式な要請でございましたからお伝えをいただいたものであろう、こういうふうに思っております。
最近、南北の対話も進んできておりますし、緊張も緩和する方向に時代が動いておるわけでございますので、状況としては私はいい方向になりつつあるのじゃないか。今いろいろと最近の情勢についてお話しいただきました。大変喜ばしいグッドニュースだ、こういうふうに思っておるわけでございますが、問題は北朝鮮側の態度であろう、政府の態度であろうと思います。北朝鮮側が日本人妻を里帰りさせるという方向を決めていただければこれはもう何もほかには問題はないわけでございまして、政府としても、国交はありませんけれども、確かに先般の御質問等も踏まえまして、窓口を実は外務省で北東アジア課に設置をいたしましたり、こういう場合の受け入れ態勢等についてはいろいろとお世話ができる、こういうふうに思っておりますし、お世話をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
閣議決定というのがどういう形の閣議決定というのか。今、さらにこれを進めるためにいろいろと政府が努力をしていく、いろいろのルートを通じまして努力をしていくということは、これはもう我々としては毫末もその基本姿勢は変わっておりませんが、閣議で決めるということはどういう
ことを決めていくのか。そういうことが必要である、閣議決定が必要な事態になれば、これはもう大切な人道問題でございますからもちろんしなければならない、こういうふうに思っております。ちゅうちょはせずに、しなければならないと思っておりますが、この辺のところはこれからの北朝鮮側の姿勢を見ながら我が方として対応を決めてまいりたい、こういうふうに思います。
○岡田(正)委員 安倍外務大臣のときにこの問題に大変深い関心をお示しをいただきまして、五十八年でありましたか、北東アジア課をもって窓口とする、それで今も懸命に頑張っていただいていることには心から感謝をしております。感謝をしておりますが、今大臣の善言葉によりますと、さあ、閣議決定とはいいますが、国交はありませんし、問題は、北鮮が帰すよと言えばもうそれで窓口はあるのですからいつでも受け入れます、そういう状態なんですが、閣議決定が要るんでしょうかねというような、ちょっと迷ったような御発言でございます。
実は安倍外務大臣のそのお答えを聞きながら、私はだんだんちょっと怒りが出てきよるんですよ、怒りが。しかし、ここは日本の国会の予算委員会だから、下手に感情を表に出してはいかぬぞと思ってぐっと抑えながら私は今発言をしているのですが、それならば大臣、これはどうなんですか。国交がないのに、韓国と昭和四十年に国交を正常化したから、北鮮の方から来ることも、どうぞおいでなさい。何も国交がない、向こうの政府と何も接触がないはずの日本政府が、北京の大使館という政府機関を使って渡航証明書を出して、毎年毎年二百人からの人が来ているじゃないですか。なぜ日本だけがそんな一方的なサービスをしなければならぬのですか。なぜ北朝鮮にそれを求めないのですか。それが相互主義ですか。ゼロですよ。我が日本は毎年二百人近くの人を北鮮から受け入れておるじゃないですか。そして在日の、日本にいらっしゃる北鮮系の皆さんが国へ墓参りに行きたい、お父さんやお母さんに会いたい、病気だから帰らしてくれという人道的な問題については年間三千人を超す人を、文句なしに、渡航証明書一枚をもって、一回限りではありますが、旅券を発行しておるじゃありませんか。毎年三千人ですよ。そして、我が日本人妻は一人も帰らない、ゼロですよ。こんな一方的な外交の姿勢があっていいんですか。私は情けないよ、本当に。こんな相手の国の顔色ばかり見て。
それはなるほど、北鮮との間にも一年間に約五億ドルを超す貿易があります。そういう御商売をなさっている人については、政府が毅然とした態度を示すことによって一時は影響が出るかもしれない、しかしながら、そういう商売のことよりは、わずか五億ドルほどの商売よりは、千八百名を超す日本人妻の安否すらわからない。今までわかったのは十四名しかわからぬじゃないですか。五十六年に九名、五十七年に五名、合わせて十四名。そのうち一人はもう死にました。何年前に死んだ、十二年前に死にましたと書いてあるだけ。あとの人は元気です、元気です、元気です、電報よりもっと短い。そんな安否調査しか来てない。ほとんどわからぬに等しいじゃないですか。日本の国籍を持った人間が外国におって、その安否すらもわからない、里帰りもできないという状態にあるのに、相手の国の人間だけはどんどん毎年二百人も受け入れて、日本におる北鮮の人は毎年三千人も墓参りに行かしておいて、我が日本人妻だけはなぜそれが例外なんですか。それは政府は関係がないからとどうして言えるのですか。北京の大使館は外務省じゃないのですか、あれは。あれは某国の機関ですか。日本大使館じゃありませんか。政府がタッチしておるじゃないですか。受け入れておるじゃないですか。そんなことをやっておるのになぜ閣議の決定ができぬのですか。閣議の決定というのは人道問題は扱っちゃならぬという何か規則があるのですか。情けないよ、私は。もう一遍返事をしてください。
○安倍国務大臣 いや、これは人道問題です。閣議の決定であるとかないとかいうのは別にして、日本としましては、その北朝鮮が北朝鮮における日本人妻を帰すということになれば、それは日本政府としてもできるだけの便宜を計らいます。これは当然のことなんですよ、それは今までだって皆やっているわけですから。ですから、そういう点について我々は何もちゅうちょをいたしませんし、そういうことで閣議の決定が必要なら閣議の決定もしますけれども、閣議の決定をしなくとも、向こうの、里帰りを求めてこられれば、日本政府としては、これは人道問題ですから、挙げて政府も関与して受け入れ態勢はつくりますよ、できるわけですから。
ただ問題は、やはり北朝鮮が帰すか帰さぬかという問題にかかっておるものですから、これは政府として北朝鮮政府と正式に残念ながら国交がないですから話し合いができないということで、赤十字を通じまして、政府としても赤十字を通じまして全力を挙げて今日までやってきておるし、赤十字はそれなりの努力は続けてきておるわけでございます。残念ながら大きな成果が今まで上がっておりません。しかし私は、赤十字は非常に熱心にやってきていると思います。相手があるわけですから、一生懸命やってきておりますし、その他国会の皆さんとかいろいろな外交その他の間接的なルートを通じまして我々としては全力を挙げておるわけで、いつでも日本政府としては受け入れる姿勢はこれは明らかでありまずし、これはしなければならぬということは当然のことだと思っております。
問題はやはり、先ほど申し上げましたように北朝鮮が踏み切ってもらわなければできないわけですから。今、お話によりますとそういう方向が徐々に出てきておるということでございますから、これに対しては我々としては非常に歓迎をしたい、こういうふうに思っておるわけであります。
○岡田(正)委員 私は、今の外務大臣の答弁は甚だもって不満です。甚だ不満。相手があるんだから、当たり前ですよ。しかも、国交がないんだから、政府機関の接触はできぬのだから、それならやめちゃいなさい。北京大使館における取り扱いはあしたからやめなさい。そして、日本におられる北朝鮮の人が毎年三千人も向こうに行くのはやめたらどうですか。何のために法務省は、外務省はそんなサービスをするのですか。相互主義でいきなさいよ。何で日本人だけが、日本国だけがそんなお人よしにならなければいかぬのですか。あの北朝鮮が態度を決めてくれたらいいのですよ、北朝鮮が帰すと言ったら、それは外務省は受け取りますよ、荷物みたいなことを言いなさんな。手荷物じゃないよ。血の通った日本人ですよ。それを帰してくれぬのじゃないですか、今まであらゆる手を尽くしていますよ。この自由往来の会の人たちはほとんど婦人です。その中の池田文子さんなんという会長は、いとこが行っておるというだけで、自分の家の家財を傾け尽くして、あの国連にも、そして国際赤十字にも、そして中国にも、そして韓国にも、そして三十八度線紙一重のところで、そこまで、板門店までも、そして日本国じゅうは沖縄から北海道まで、朝から晩まで、きょうも長崎に行っています。一生懸命になって努力している。だが、相手の国が帰してあげるよと言わなければ外務省はやりようがないじゃないですか、それまであなた、ほっとくのですか。ほっときゃおかぬだろうが、いろいろな日赤等の手を使うでしょうけれども、それは留守家族からいわしたら、ほったらかしにされておると一緒だ。北鮮におるあの気の毒な日本人妻からいったも、日本政府から温かい手が差し伸べられないのと一緒ですよ。手を差し伸べたとは言えないじゃないですか。どうしてそれが言えないのですか。
閣議決定をするのに——私が言っているのは、閣議決定をすれば、これだけ機運が出てきた、北鮮の中でも住所を調べ出したという手紙が二通来た。今チャンスだ。こういうときに、日本の政府が閣議をもって、北鮮におる日本人妻の里帰りを相互主義で一日も早く実現できるようにしてもらいたいということを閣議決定をするのに、だれに遠慮が要るのですか。中曽根さんがいかぬと言うの
ですか。「戦後政治の総決算」だなんて大たんかを切っておって、何だ、これは。どうして閣議決定に持ち込むように努力をすると外務担当大臣は言えないのですか。もう一遍言ってください。
○安倍国務大臣 私は別に岡田さんと気持ちはちっとも変わってませんよ。それは向こうの方が帰して——向こうが方針を決めなければならないんですから。そのために政府は正式なルートがないわけですから。外交ルートがないわけです。しかしそれでも、これは人道問題ですから、あらゆる手を使ってやっていることは事実なんです。それはもうお認めいただけると思います。今もやっていますよ。ですからこれは、政府間で直接話ができないときは北京政府も使いますし、あるいはまたソ連にも要請をしまして、あらゆる角度からやっておるわけです。ですからあとは、やはり北朝鮮政府にそういう気持ちになっていただいて、あくまでも人道主義ということで里帰りをひとつ向こうで許していただきたいということは、これはもう日本政府としてはここでもはっきり、神聖な国会の場ですから私ははっきり申し上げます。ですから、これは政府の正式な見解として、北朝鮮政府にはそれはあくまでも人道主義の問題としてお願いをしたい、こういうふうに思うわけです。
同時にまた、今そういうことで何か閣議決定というものが決定的である、それは確かに一%問題とかなんとか国政上の問題については、閣議決定というのは非常に重きをなしておりますが、これでもって、ただそれでは直ちに道が開かれるかということになりますと、それは私は必ずしもそういうものじゃないだろう、こういうふうに思います。しかし我々は、この国会を通じても申し上げておりますし、日本政府の正式な見解としては、北朝鮮にはっきりわかるように、あくまでも人道上の問題としてできるだけ早く、これだけの国内的な世論も盛り上がっておるわけですし、ひとつできるだけ早く道を開いてくださいということは言い続けておるわけですし、この姿勢は毫末も変わってないわけで、私は岡田さんの気持ちとちっとも変わってないと思います。
何か我々は消極的であるとかなんとかということでなくて、ただ国交がないというところに、我々は残念ながら正式な政府の交渉ができないという、非常に残念な今の気持ちは持っておりますけれども、しかしそれは、あらゆる手を使って人道上の問題として要請をし続けておりますし、今後ともこれは要請をしたい、これは政府としての正式な見解であります。
○岡田(正)委員 くどいようでありますが、私は、二十七年三カ月かけてきたこのいわゆる悲願とも言うべき問題の解決に、外務省は日赤を通しいろんな運動をやってくれています、窓口もつくってくれました。だがしかし、事態は一歩も進展しません。しかるにかかわらず、北鮮からはどんどん人を受け入れ、日本におられる北鮮の人はどんどん祖国往来を許しておいて、我が日本の政府が我が日本人の権利を守る、我が日本人の生命財産の保護をするということを、何ら手を差し伸べられないままほったらかしになっている。私はこのことを、国交がないから閣議決定したってそれはスカタンみたいなものだとおっしゃるのかもわからぬが、日本は今世界の超大国の中に入りましたよ。日本が閣議でどういう態度決定をしたかということは、大きな世界のニュースになっていきますよ。安倍さんお一人が言っていることよりは、閣議で決定をしたげな、はあ、そんな問題があるんか、世にも不思議なことがあるんだなということを全世界に教えたらいいじゃないですか。それだけのことをやる。銭は一銭もかからぬのよ。お金は一銭も要らぬのですよ。その閣議決定がなぜできぬのですか。もう一回、性根を据えて返事をしてください。
○安倍国務大臣 政府の姿勢というものは閣議決定のいかんを問わず、この問題、閣議決定というまあ我々が言っています。そういう中に入るのかどうか、これは検討してみなければならないと思いますが、政府の正式な姿勢というもの、態度、方針というものははっきりしておるわけで、これは内外を通じて明快であると思います。あくまでも人道上の問題として我々は努力をしておりますし、これは努力しなければならぬ責任があるわけですから、国境を超えた問題ですから、国交とかそういうものを超えた問題ですから、それは我々としてははっきりしておるわけでありますし、この気持ちは今後ともあらゆる機会を通じまして、またあらゆるルートを通じましてやっていかなければならない、北朝鮮に対して示していかなければならない、こういうことはもうはっきりいたしておるわけであります。
閣議決定についてそれが、私自身も今初めて承ったわけですけれども、この辺については、これが促進という一つの方向になればこれは十分検討しなければならぬ、こういうふうに思います。何も閣議決定をしないとかいけないとか、そういうことを言っているわけじゃなくて、そういうことによって何らかこれが人道上の問題として前進するということならば、これは何もそういうことに私はちゅうちよしているわけではない、検討させていただきます。
○岡田(正)委員 くどいようでありますが、もう一回お尋ねをします。
これは人道上の問題として政府の態度ははっきりしております、ともかく一日も早く帰してもらいたい、問題は北鮮の出方一つである、ここまではわかりました。これは今まで言い続けてきたことです。だが、それで進展をしないから、何をアクションにしたらいいのかと考えた結果、国連にも訴え、国際赤十字にも訴え、そして向こうの赤十字にも訴え、北京政府にも訴え、ソ連にも訴え、ありとあらゆる手を使っても進展をしないとなれば、日本の政府は、閣議としてこの人道の問題をほってはおけません、日本人妻の問題はほってはおけない、日本人の問題だ。それを守るのは政府として当たり前のことだ、誠意を持って対処してもらいたいということを、相手から返事があるかどうかは別問題として、全世界の百六十の国に知らしめることというのは、私は非常に有効な手段である。閣議決定をするのに何にも障害がないはずである。閣議の中でその問題を取り上げて提案しなければならぬ立場にある外務大臣が今のように、言葉は悪いがへっぴり腰じゃ、いつまでたったって閣議決定はできぬのじゃないかと私は心配しているんです。次の総理・総裁をねらう人でしょう、あなたは。そんな軟弱な態度でこの日本が背負えますか。もう一遍、ひとつ返事ください。
○安倍国務大臣 何もへっぴり腰じゃありませんよ。この問題については、我々も腰を据えてやっているわけですから。これは今いろいろの動きもありますし、やはり政府としての努力はそれなりにやっているわけですから。いろいろなルートを通じてだけじゃありません。いろいろとこれからの状況等を踏まえてこれはやらなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでありますし、私はこれからその問題が、今の里帰りの問題も可能性としていい方向に行くのではないか、こういうふうに思っております。その間に何か我々政府としてやるべきことがあれば、それは十分検討をしましてやらしていただきたい、こういうふうに思います。
○岡田(正)委員 外務大臣、私はもう本当に怒ったですよ。それが外国におる我が日本国胞を守るべき立場にある政府の責任者の答弁ですか。私は情けない。もっと前向きな、私と同じ考えを持っていろんなら、口だけじゃなくて腹から持っていろんなら、総理を動かして閣議の決定に持ち込みたい、私もあなたと同じ考えだ、努力をしてみるというぐらいのことを言ったって罰は当たらぬでしょうが。罰は当たらぬでしょう。何でそれぐらいのことが言えぬのですか。
私は、この日本人妻の問題でもっと質問をしたいんだけれども、あなたのような同じところへとまっておる、一つのところをぐるぐる回っておるような答弁しかしないような人は、私は残念でかないません。まあひとつ、これ以上申し上げませんから、私と同じ考えであるんなら、ぜひとも閣議決定に持ち込めるよう、それが世界の世論を動
かす一番大きな原動力になるんだと私は信じておりますので、ぜひひとつせっかくの御努力をお願いをします。これは本当に本当に頼むよ、安倍さん。泣いて頼む。六千六百の日本人がどうなっているかわからぬのに、相手がどう出るか、それによってしか手が打てぬという、そんなことは私は情けない。本当に情けない。頼む、安倍さん。頼むよ。日本を背負って立つような人じゃないですか。考えていただきたいと思います。この問題はそれ以上申し上げません。
次に、今申し上げたように金日成さんが、御承知のように五十五年の九月、AA研の自民党の皆さんに対して、それはもう北鮮におる日本人妻が日本に行くのも、日本におる留守家族が朝鮮に来るのも結構な話だ、それは実現をすることがいい、具体的なことはひとつ事務当局と話し合っていただきたいと言われて、早くも六年たちました。せっかくそれほど金日成さんがいいことを言ってくれたのに、六年、事態は発展しません。しかも、言われた言葉の中に、お互いに相互主義でいきましょうやと言われている。であるのに、我が日本だけがリップサービスをして、一人の日本人妻も帰らぬということが情けない。だから、相互主義でひとつ問題の解決を急いでいただきたいと思います。これは安倍さん、失礼な言葉になりましたが、ぜひお願いします。留守家族の立場に立ってお願いします。
それから次は、日本人妻の留守家族の人が向こうへ行きたいのです。現在、日本人が向こうへ行ってこっちへ帰ってくるのが、五十九年だけで八百八十九人いらっしゃったといいます。留守家族の人が向こうへ行かしてもらえるのでしょうか。ところが、渡航趣意書を出しなさいというので、渡航趣意書というのを、これがありますね、こういう簡単な文書があります。この渡航趣意書を出せというから出せば、受け入れがない、相手から招聘がないから行かれぬと言うのですよ。ほかの日本人は、堂々と北鮮に行ったり帰ったりできるのに、日本人妻の関係者の諸君は行こうにも行くことができない。もう甚だしく一方的じゃないですか。こういう問題もぜひひとつ解決をしてやっていただきたい。そして、向こうに行きたい、会いたい、会いたいと考えておる留守家族の人がもし向こうに行った場合、こんなことはこの席上では適当でないかもしれませんが、世界を騒がしたラングーン事件、日本海のアベックの拉致事件、こういう問題が灰色の霧のように疑いがこもっておるところであります。もし、会いには行ったが帰ってこれなんだ、どこへ行った、国交がないからわからぬ、消えた、そんなことにならぬように、会いに行けたら必ず帰れる保障がほしい、こう言っておるのであります。これも相互主義です。この点については、外務大臣いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 先ほどの里帰りの問題につきましては、私も先ほどから申し上げたとおり、岡田さんと同じ気持ちです。政府としまして何ができるか、これからひとつベストを尽くして、これからできるものについて検討をさせていただきたいと思います。
これは具体的に旅券等の問題ですから、私、お答えができませんけれども、しかし、全体的にはやはり北朝鮮側も今の日本の立場、里帰りそして家族の北朝鮮への受け入れというものに対しては、入道的な立場から配慮してもらいたいと思いますし、そういう点でいろいろこれからも努力をしなければならぬ、こういうふうに考えております。これまで確かに今のような事態が個々の問題で起こっておるということは、私はそれなりに想像はできるわけでございまして、大変残念ながらそういう状況であろうと思いますが、この事態の改善のためにできるだけ努力は重ねてまいりたいと思います。
○岡田(正)委員 これは最後の質問になりますが、これは大臣のところから出た書類です。今大臣のところにお手渡しをいたしましたが、外務省の北東アジア課が窓口になっておりますので、課長さんが大変苦労いたしまして、六十年、昨年の四月にこういう文書を出しました。
その文書の中を簡単に要約をいたしますと、外務省といたしましては、日本人妻の人たちが安否が判明をして通信が確保された段階で、さらに双方が再会、会いたいなという希望があれば、その実現に向けて努力してまいりたいと思います、したがって、添付の用紙にそれぞれ各項目に記入をして御返事をいただきたいと出した。千六百八十の家族に出した。ところが、返ってきたのは九十余通である。寂しいことですと、こう課長さんは言っておる。なるほど寂しいことです。千六百八十人近くおって、なぜ九十通しか返ってこぬのだろう。
これは第一ここに書いてあるように、「安否が判明し、」いっても、安否がわからぬのですよ。どうするのですか、これを。そして「通信が確保された」、通信が確保されてないのですよ。そして、両方が会いたいといっても、片方死んでおるのやら生きておるのやらわからぬのに、双方が会いたいからって、どこでその合意を、あんたも会いたいか、あんたも会いたいか言って、日本海の真ん中で両方へ電話がけるのですか。やりようがないじゃないですか。
こういうような調査をするときに——本当にありがたいと思うのですよ。思うのですが、なぜ、日本人妻自由往来実現運動の会というものがあって、それが毎月毎月なけなしの金を出し合って運動をしておる団体があるのに、その家族が全家族加入しておるのに、なぜ北東アジア課は、外務省は、こういう調査をしたいと思うがどうだろうか、こういうのを出そうと思うがどうだろうかというぐらいの相談はあってもいいじゃないですか。まことに私は親切味がないと思うのですよ。やったことはいいのです。私は感謝します。だがしかし、抜けちゃおりませんか、肝心なことが。何でそれを、全家族を掌握しておる日本人妻の里帰り実現の会に協力を要請しないのですか。そしてその人たちと話し合って、こういうことなら答えてくれるからというので、同じ封筒じゃ外務省の権威が落ちるというなら別の封筒でもいいから、外務省からこういう調査が行くが速やかに返事を出していただきたいと、なぜその会を動かすようなことを考えぬのですか。
もっと親身になって考えてくださいよ。ただ窓口を設けた、ただ一年に一回こういうことをしたというだけじゃだめですよ。もっと親身になってやってください。日本人が、六千六百人が生きているか死んでいるかわからぬのです。こんなことをほっておいていいのですか。私はそれを要望いたしまして、言葉がきつうございました、水もこぼしました、まことに済みません。だけどしかし、私は本当に怒ったのです。それだけは理解してください。よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○安倍国務大臣 今いろいろな御意見等も踏まえまして、外務省としましても北東アジア課が連絡をいたすために、外務省でそのために責任を持たしたわけでありますから、御意見等を踏まえて、十分ひとつ実情に即した努力をこれから重ねていきたい。よく指示をしておきます。
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最近ふと思ったのですが、北朝鮮というのは「楽をしてもうけるためにはどんな苦労も厭わない国」ではないでしょうか。
工作活動に使うヒト、モノ、カネ、どれもまともに使えば北朝鮮はこんなにひどい状態になってはいないはずです。もちろん、どんな国でも工作活動はしないわけにはいきませんが、バランスを崩すとかならず一般社会にしわ寄せが来ます。しかし、硬直した共産主義国家ではその方針を変えることはできません。
中国も膨大な人的物的資源を工作活動に使っている国ですし、秘密結社の類が非常に好きなお国柄です。それでも中国というのは近代以後、外国との戦争に勝ったことはありません(だから今「今度は勝つぞ」と思っているのかも知れませんが)。北朝鮮にはそのいびつさがある意味喜劇的に現れているように思えます。
まあ、そういってしまうと国民にろくに飯もくに食わせられない小国の工作活動に翻弄されている私たちの方も情けなくなってはくるのですが。
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本日(4月4日付)の調査会NEWS 615号に書いたものです。
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報道によれば、韓国の金泰栄合同参謀本部議長の発言に反発、北朝鮮は昨日(3日)南北対話の中断と軍事境界線(休戦ライン)の通過遮断を発表、さらに「軍事的報復を行う」とまで表明しました。
問題の発言とは3月26日、国会の人事聴聞会で金議長が発言したもので、「北朝鮮が小型の核兵器を開発し、韓国を攻撃してきた場合にはどう対応するのか」という質問に、「北朝鮮が核を保管していると思われる地域を確認して攻撃を行う」と答えたものです。
北朝鮮は金議長が「黙って核兵器が爆発するのを受け入れる」とでも言えば納得したのでしょうか。こういう対応になるのは、実は金議長の発言が問題なのではなく、北朝鮮側(少なくともその一部)に、交流を断絶せざるを得ない理由があるからです。
金大中・盧武鉉政権10年の太陽政策の最大の成果とは、北朝鮮の、特に支配階層をワイロ漬けにしてしまったことです。大きくは韓国政府が公然非公然に北朝鮮に提供したカネ、小さくは北朝鮮に進出する企業、出かけていった個人が現地の担当者に渡すカネまで様々ですが、対南窓口である統一戦線部など、おそらくこの「蜜の味」から逃れることはできないでしょう。
しかし、その一方でこの恩恵にあまりあずかっていないところもあります。金正日の最大の支持基盤である軍などはその最たるもので、それどころか南北交流が進めば、緊張緩和となり、それは自らの権益を間違いなく侵害することになります。
また、北朝鮮の中には開放に対する恐怖感が存在します。これまでの歴史を見ても対話を進めているときには裏で何らかの工作活動を強化したり、挑発を行ったりしていますが、夜郎自大的な振る舞いの裏腹にある自信のなさが、この行動につながるのだと思います。
今、北朝鮮軍が作戦行動をしたとしても朝鮮戦争当時のような全面侵攻はできません。部分的に黄海での海軍の衝突とか、休戦ライン付近での小競り合いはあっても、全面戦のできる能力は朝鮮人民軍にはなく、期待するのは失うものを持ってしまった韓国が、それをわずかでも失う恐怖感から言うことを聞いてくれることしかないでしょう。
一方チベットの問題で神経過敏になっている中国は、北朝鮮に軍事挑発の兆候が見られれば、北朝鮮に軍事介入して傀儡政権を作ろうとする可能性もあります。58年前と異なり北朝鮮は国際的な支援は一切受けられません。韓国はどう対応するか分かりませんが、ブッシュ政権はさらにテロ支援国家指定解除から遠ざかり、日本も制裁を解除する理由はなくなりました(まあ、ミサイルが怖いから解除しようというのであれば別ですが)。
日本にとっては今が絶好のチャンスです。東アジア全体をリードして、拉致問題を解決し、北朝鮮の人々を圧政から解放できる好機を逃すべきではないと思います。与野党とも今の国会の状況には頭を痛めているのですから、この際気分転換も含めて、例えば福田総理と小沢代表が会談して「金平一氏(ポーランド大使、金正日の異母弟で長く事実上幽閉されてきた)を日本としては支持したい」とか、メッセージを出してみたらどうでしょう。
いずれにしても、少し色々な意味で動きが見えてきました。私たちもこのチャンスを逃さないようにしたいものです。
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靖国の映画の上映が中止になったということで騒ぎになり、総理大臣までコメントしていますが、上映中止といえば私が思い出すのは「樺太1945夏−氷雪の門」という映画です。終戦後、ソ連軍によって蹂躙される樺太で真岡郵便局の電話交換手たちが最後までその職場を守り、自決していくという映画でした。今でもときどき上映されることがありますが、二木てるみや岡田可愛他、結構豪華なキャストの映画で、作りもしっかりしたものでしたが、劇場上映はごく一部にとどまったと記憶しています。ソ連からの圧力がはたらいたようです。
民社党にいた当時、この映画の上映運動をやったことがあり、党本部には購入した16ミリフィルムがありました。今は破棄されてしまったと思いますが、残しておけばよかったと悔やまれます。もしどこかに残っていたら一度上映会でもしようと思いますが。
今回のことは左翼にとっては絶好の材料でしょうが、おそらくそういう人の中には「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択、というよりその存在自体を否定しようとした人もいると思います。表現の自由を守れと言うなら自分と立場の違う勢力の表現も守らなければいけないと思います。
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もう1日過ぎてしまいましたが昨日4月1日付「調査会NEWS」 614号に書いたものです。
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質問「我が国の国民が拉致されて救出を待っているときに、我が国の政府が自分でできる、主体的にできるということを、いつまでに、どのように、何をするのか、具体的にお答えいただきたい」
答弁 「先方も政府で、彼らのこの領土の中においてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに、実は生きておりました、全員返しますと言うまで粘り強く交渉をすることが我々の今の方針でございます」
細田官房長官(当時)はこのように答えました。要は拉致されたらあとは煮て食おうと焼いて食おうと北朝鮮の勝手という話ですーーーーーー。
というのはエイプリルフールの冗談で、本当は官房長官は
「拉致は重大な主権侵害でありますから、断固として国民を取り返すのが政府の使命であります。そのために政府としては拉致被害者の所在確認、救出のためあらゆる手段をもって取り組んでおり、絶対に実現することをお約束申し上げます。これは単に日本人拉致被害者を取り返すだけでなく、世界でも最も人権の蹂躙されている地域である北朝鮮において、そこに住む人々により人間らしい生活が営めるようにするためにも寄与するものであると考えます。政府としてはアジアにおける主導的国家として、国家主権及び普遍的人権を守るために努力をして参る所存です」
と答えました。と、言いたいところですが、前に上げたのが事実で、平成17年6月、参議院内閣委員会における本当の答弁です。後の方がエイプリルフールの作り話です。
ついでに言えば、質問をしているのは民主党の森ゆうこ参議院議員なのですが、森議員及び民主党も、この答弁をその後問題にするわけではありませんでした。政府の姿勢はこの後安倍政権になり、今は福田政権ですが、基本的には変わっていません。
今、国会はガソリン税暫定税率の問題で延々と時間を浪費(としか思えない)していますが、ものには優先順位があるのではないでしょうか。拉致でなくても、例えばチベットでは多数のチベット人が虐殺されており、それをしている中国政府に多額の経済支援をしてきたのは我が国なのです。民主党も問題にするならそちらをすべきではないでしょうか。
見ていると、1年のうち364日(今年は閏年だから365日)がエイプリルフールのようにすら見えてきます。それならせめて今日一日でも真面目な議論をしてもらいたいのですが。多くのまともな国会議員は与野党を含め、このままで良いとは誰も思っていないのですから。
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戦史というのは実に面白いものです。面白いだけではなく、様々なことに教訓になります。
私が最初に戦史に興味を持つようになったきっかけは、民社党の本部に勤務していた当時からです。民社党は昭和60年頃から相次いで選挙に負け初め、約10年その状態が続いて平成6年に解党に至ったのですが、その理由を考えているうちに、大東亜戦争で負けていく状況と非常に良く似たところがあることに気づきました。
選挙というのは一種の戦闘のようなもので、勝った負けたの結果が出ます。そして個別の選挙における戦術と、総選挙や参議院の通常選挙における戦略の関係など、戦史から学べるものは沢山あったのですが、それに気づく前に解党してしまったため、実際の場では活かせませんでした。
その後あまり勉強はしていなかったのですが、5年前、一応臨時雇いとはいえ軍人のはしくれになったので、少しは勉強しないとと思い、ぼつぼつと本を読んでいます。
先日は日本ディベート研究協会の公開講座・戦史研究会に行ってきました。同協会の北岡俊明代表とは20年近いおつきあいで、この公開講座はハワイ真珠湾作戦、ミッドウェー海戦、ガダルカナル戦、ノモンハン戦などについて、その作戦の是非などをディベートによって検証するものです。戦史は書く人の立場によって全く違う内容になりますので、知らないで本を読むと極めて偏った見方になりがちです。その意味で、ディベートを通して考えるのは極めて意義があると思います。
今回印象的だったのはガダルカナル島作戦で、川口支隊があと少しのところまでいっていたという北岡代表のコメントでした。ガダルカナル島作戦というと、日本軍が一方的に負けたということになっていますが、そうばかりではなかったようです。そんなことを知ると見方が大きく変わってきます。今日本では戦史をやっている人はごく一部に限られていますので、逆に言えば学問的分析や経験の発掘という意味では手つかずに近い宝庫のようなところであると言えるでしょう。
なお、ディベート研究協会の公開講座・戦史研究会は次回4月26日(土)、浜松町の港区商工会館で行われます。関心のある方は下記のホームページをご覧下さい。
http://www.japandebate.com/
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