蒼い髪の乙女
主に「マリア様がみてる」と「リリカルなのは」の二次創作を書いています。「マリア様がみてる」はオリキャラが出たり、マイナーカプだったりします。「リリカルなのは」はなのは×はやてで書いています。なのはさんがはやてちゃんLOVEです!
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~春~ プロローグ
蒼い髪のマリア~春~のプロローグです。
更新停止状態でしたが、続編を書くキッカケを頂いたので。
お目汚しになるかもしれませんが、よろしければ読んでみてください。
マリア様の庭に集う咲いたばかりの初々しい白百合たち。
新しく始まる学園生活に想いを募らせ、楽しみで仕方ないという色を浮かべている。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
真新しい制服に身を包む彼女らとすれ違うたびに、「ごきげんよう」と声をかけられる。
私もその度に「ごきげんよう」と返すけど、ちゃんと笑えているだろうか。
リリアンで迎える2度目の春。
紅薔薇の蕾・水瀬マリアは2年生になった。
蒼い髪のマリア~春~
プロローグ
入学式当日。
新入生の講堂への誘導を終えた後、薔薇の館に忘れ物があるからと取ってきてちょうだいとお姉さまに頼まれた。
まだ時間に余裕があるから大丈夫だとは言っていたけど、早いほうが良いだろうと考えて早歩きで薔薇の館へ向かっていた――途中。
「あら?」
よくゴロンタが出現する場所にあるベンチに、見覚えのない子が座っている。
今日はまだ一般生徒の登校日ではないし、山百合会の役員というわけでもない。
ということは、答えは1択。新入生ということになるのだけど……。
「気持ちよさそうに眠ってるわね…」
新入生らしき少女は、すーすーと小さな寝息をたてながらぐっすりと眠っている。
ぽかぽかとした心地よい温かさと、ベンチを覆う木の陰が彼女を眠りの園へと導いたのだろうか。
髪を撫でる程度の柔らかな風が、二つに分けられた髪の房を微かに揺らす。
「ほら、起きて。早く講堂に行かないと入学式が始まってしまうわよ」
小さい子供のような可愛らしい寝顔。
それを見ていると起こすのが可哀そうになるけど、山百合会の役員としてそうも言ってられない。
「早く起きなさい。入学式に遅刻なんてしたくないでしょう?」
「うーん……あと、1時間」
「……せめて、1分と言いなさい」
彼女の肩を優しく叩いて起こすと、本気なのかギャグなのか分からない返事が返ってきた。
私は彼女を起こすために、もう一度肩を叩く。
「うーん……あれ? どうして私こんなところにいるんだろう……たしか入学式の前に少し散歩しようと思って……それから……………あ」
彼女の目が大きく開き、そして。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁ---------!!!」
まるで恐竜の赤ちゃんみたいな大声で叫び出した。
「どどどどどどどどどど、どうしよ!? にゅ、入学式に遅刻しちゃう!?」
きっともの凄く慌ててるのね。喋り方が工事現場のドリルみたい。
しかも、私の存在には気付いていないみたで、どうしよう、どうしよう、って何度も同じ言葉を呟いている。
このまま彼女が落ち着くまで待っていてもいいのだけど、そんなに時間の余裕はない。
私の用事もまだ済んでいないことだし、そろそろ助け舟を出してあげましょう。
「ちょっと、あなた。少し、落ち着きなさい」
「どうしよう、どうしよう…え?」
声をかけると、彼女は驚いた表情で私を見た。
「落ち着いたかしら?」
「あ、えっと…はい」
人がいるとは思っていなかったんだろう。
恥ずかしそうに、頬を紅く染めている。
「まだ入学式が始まるまで時間があるから、すぐに講堂に向かいなさい。場所が分からないなら送ってあげるけど」
「えっ! えっと、だ、大丈夫です」
「そう、なら一人で行けるわね?」
「あ、…はい!」
あぁ、良かった。もし、彼女が講堂の場所を知らなかったら、用事が終わるまで待ってもらわないといけなかったわ。
「じゃあ、私はそろそろ行くわね」
「あ! す、すいません。ご迷惑をおかけしました!」
「いいのよ。あなたはまだ1年生なんだから……あら?」
ふと、偶然にも彼女のタイが目に入った。
微妙にだけど、少しだけ左に歪んでいる。
「ちょっと待って」
「……え?」
「タイを直してあげる」
今思うと、どうして私はそんな言葉を口にしたのかしら?
お姉さまではないけど、この時は本当に自然に。人に会ったら「ごきげんよう」と挨拶をするくらいの自然さで、過去、お姉さまが私にそうしたように、今は私が下級生のタイを綺麗に直してあげている。
タイを直し終えると、私は
「身だしなみはいつもきちんとね。マリア様がいつも見ていたっしゃるわよ……もちろん居眠りもね」
と彼女に伝えて、薔薇の館へ急いだ。
少しの間だったけど、なんだか楽しかった。
まるで、手のかかる妹の世話をしたような……。自然と顔に笑みがこぼれる。
「マユ、お姉ちゃんは高校2年生になったよ」
もうこの世にはいないたった一人の私の妹。
口からこぼれた小さな独り言は、風と一緒に遠くへ消え去った。
更新停止状態でしたが、続編を書くキッカケを頂いたので。
お目汚しになるかもしれませんが、よろしければ読んでみてください。
マリア様の庭に集う咲いたばかりの初々しい白百合たち。
新しく始まる学園生活に想いを募らせ、楽しみで仕方ないという色を浮かべている。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
真新しい制服に身を包む彼女らとすれ違うたびに、「ごきげんよう」と声をかけられる。
私もその度に「ごきげんよう」と返すけど、ちゃんと笑えているだろうか。
リリアンで迎える2度目の春。
紅薔薇の蕾・水瀬マリアは2年生になった。
蒼い髪のマリア~春~
プロローグ
入学式当日。
新入生の講堂への誘導を終えた後、薔薇の館に忘れ物があるからと取ってきてちょうだいとお姉さまに頼まれた。
まだ時間に余裕があるから大丈夫だとは言っていたけど、早いほうが良いだろうと考えて早歩きで薔薇の館へ向かっていた――途中。
「あら?」
よくゴロンタが出現する場所にあるベンチに、見覚えのない子が座っている。
今日はまだ一般生徒の登校日ではないし、山百合会の役員というわけでもない。
ということは、答えは1択。新入生ということになるのだけど……。
「気持ちよさそうに眠ってるわね…」
新入生らしき少女は、すーすーと小さな寝息をたてながらぐっすりと眠っている。
ぽかぽかとした心地よい温かさと、ベンチを覆う木の陰が彼女を眠りの園へと導いたのだろうか。
髪を撫でる程度の柔らかな風が、二つに分けられた髪の房を微かに揺らす。
「ほら、起きて。早く講堂に行かないと入学式が始まってしまうわよ」
小さい子供のような可愛らしい寝顔。
それを見ていると起こすのが可哀そうになるけど、山百合会の役員としてそうも言ってられない。
「早く起きなさい。入学式に遅刻なんてしたくないでしょう?」
「うーん……あと、1時間」
「……せめて、1分と言いなさい」
彼女の肩を優しく叩いて起こすと、本気なのかギャグなのか分からない返事が返ってきた。
私は彼女を起こすために、もう一度肩を叩く。
「うーん……あれ? どうして私こんなところにいるんだろう……たしか入学式の前に少し散歩しようと思って……それから……………あ」
彼女の目が大きく開き、そして。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁ---------!!!」
まるで恐竜の赤ちゃんみたいな大声で叫び出した。
「どどどどどどどどどど、どうしよ!? にゅ、入学式に遅刻しちゃう!?」
きっともの凄く慌ててるのね。喋り方が工事現場のドリルみたい。
しかも、私の存在には気付いていないみたで、どうしよう、どうしよう、って何度も同じ言葉を呟いている。
このまま彼女が落ち着くまで待っていてもいいのだけど、そんなに時間の余裕はない。
私の用事もまだ済んでいないことだし、そろそろ助け舟を出してあげましょう。
「ちょっと、あなた。少し、落ち着きなさい」
「どうしよう、どうしよう…え?」
声をかけると、彼女は驚いた表情で私を見た。
「落ち着いたかしら?」
「あ、えっと…はい」
人がいるとは思っていなかったんだろう。
恥ずかしそうに、頬を紅く染めている。
「まだ入学式が始まるまで時間があるから、すぐに講堂に向かいなさい。場所が分からないなら送ってあげるけど」
「えっ! えっと、だ、大丈夫です」
「そう、なら一人で行けるわね?」
「あ、…はい!」
あぁ、良かった。もし、彼女が講堂の場所を知らなかったら、用事が終わるまで待ってもらわないといけなかったわ。
「じゃあ、私はそろそろ行くわね」
「あ! す、すいません。ご迷惑をおかけしました!」
「いいのよ。あなたはまだ1年生なんだから……あら?」
ふと、偶然にも彼女のタイが目に入った。
微妙にだけど、少しだけ左に歪んでいる。
「ちょっと待って」
「……え?」
「タイを直してあげる」
今思うと、どうして私はそんな言葉を口にしたのかしら?
お姉さまではないけど、この時は本当に自然に。人に会ったら「ごきげんよう」と挨拶をするくらいの自然さで、過去、お姉さまが私にそうしたように、今は私が下級生のタイを綺麗に直してあげている。
タイを直し終えると、私は
「身だしなみはいつもきちんとね。マリア様がいつも見ていたっしゃるわよ……もちろん居眠りもね」
と彼女に伝えて、薔薇の館へ急いだ。
少しの間だったけど、なんだか楽しかった。
まるで、手のかかる妹の世話をしたような……。自然と顔に笑みがこぼれる。
「マユ、お姉ちゃんは高校2年生になったよ」
もうこの世にはいないたった一人の私の妹。
口からこぼれた小さな独り言は、風と一緒に遠くへ消え去った。
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