2025-09-19

羊飼い鼻歌

以下は谷崎潤一郎「瘋癲老人日記」から引用だが、今も昔も色ボケ爺いの心は変わらないと見える。ここでの爺いは、息子の嫁に執着し、その足の型をとって自分墓石に刻もうと目論んでいる。

「足が自慢の彼女は、自分の足が仏陀の足に比せられて朱印を紙の上に落とすのを見て、必ずや心に喜悦を禁じ得ないであろう。予はその時の彼女の喜ぶ顔が見たかった。「気狂い沙汰だわ」と、口では云うに決っているが、心ではどんなに喜ぶであろうか。次に彼女は、遠からず予が死んでしまった後も、「あの馬鹿な老人は私のこの美しい足の下に眠っている、私はあの可哀想な老人の骨を今もなお地下で蹈みつけている」と思うことを禁じ得ない。」

新潮文庫「鍵・瘋癲老人日記」より 可読性を上げるため、適宜カタカナひらがなに改変

  • 予ハ怒リノアマリ怒号スル所デアッタガ、動脈ガ破裂スルノヲ恐ラテ辛ウジテ堪エタ

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