(感想)Steins;Gate -シュタインズ・ゲート- 第23話「境界面上のシュタインズゲート」
第23話「境界面上のシュタインズゲート」
未来の五十七億人には興味はない。だが・・・行ってくる。
確定した過去を変えずに、結果を変えろ。最初のお前を騙せ、世界を、騙せ。
![Steins;Gate-シュタインズ・ゲート-23話の感想3](https://blog-imgs-49-origin.fc2.com/a/n/i/aniponda/steins23-3.jpg)
・岡部倫太郎 宮野真守
・牧瀬紅莉栖 今井麻美
・椎名まゆり 花澤香菜
・橋田 至 関 智一
・阿万音鈴羽 田村ゆかり
・中鉢博士 小形 満
・アナウンサー 小林かつのり
・案内放送 榊原奈緒子
【スタッフ】
・脚本 花田十輝
・絵コンテ おざわかずひら
・演出 おざわかずひら
・作画監督 稲吉智重・稲吉朝子
【オープニング・エンディングテーマ】
・OP:『Hacking to the Gate』(歌:いとうかなこ)
・ED:『スカイクラッドの観測者』(歌:いとうかなこ)
【あらすじ】
ラジ館の屋上に現れた鈴羽によると、この世界線の未来では、第3次世界大戦が
勃発し、多くの人々が犠牲になるという。それを回避するためには、2010年7月
28日に死んだ牧瀬紅莉栖の命を救い、アトラクタフィールドの干渉を受けない
唯一の世界線“シュタインズゲート”を目指さなければならない。岡部は鈴羽
に協力することを決め、タイムマシンで2010年7月28日のラジ館へ跳んだ...
"命の主張と無意味の証明"
OPの曲が2番目の歌詞へと変わりましたね。いよいよステージが最後へと
進んだことを表しているのかなぁと思ったりして味わうように歌詞を聞い
ていましたが、本編をこれまで見てきたままに歌を聞いているとやっぱり
頭によぎるものがありますよね。
"命の主張と無意味の証明"。一体どれだけ岡部は命の主張に対してそれを
守るために足掻き、そしてその足掻きが世界線という時間の中で無意味で
あるのかを不本意に証明してきてしまっていたのでしょうか。
結果的にまゆりは助けられたかも知れません。が、絶対忘れてはいけない、
紅莉栖という存在。結局、"ラボメン"がすべて揃っているそんな状況を望
んでいた彼からすれば、綺麗事を言わないならばそれは"無意味"だったと
いうことにやはり最終的になってしまうのではないでしょうか。
"『無限』と信じた愛も、空の彼方も"
"僕達に示された仮想の自由"
"無限の愛"とはよく聞くフレーズかもしれませんが、そんなのは幻想です。
仮想の自由でしかない。そもそも形がない愛、それを具体的に示せるのは
愛を具体化する二人の人間が居る時だけ。その二人だって、いつかは朽ちる。
なんて、ちょっと堅苦しいというか、哲学的?な書き方ですが、そんなに
深く考えずとも、"無限・永遠の愛"なんて綺麗事の結晶みたいな言葉ですよ。
今までの辛い足掻きをしてきた岡部に綺麗事は最早、必要はありませんから。
"無限"なんてものは、人が想像しきれなくてたどり着いた行き止まりに過ぎ
ないとじぶんは思っています。"無限"は、最後は想像を凌駕した0へと収束
していく、0という答え行き止まりにぶつかる。終わりがない、という終末
へとたどり着いてしまっているわけですよね。
岡部の"愛"だって、時間を超え、世界線を超え、続いているかも知れない。
だが紅莉栖の方では"無"というラインになってしまっている。世界線が移動
した今、あの"愛"は、岡部には酷ですが、すでに終末へと辿り着いて・・・。
"『有限』それは無慈悲に、時を刻み"
"明日さえも否定する選択へ"
上で言った通り、じぶんは"無限"も所詮は人間が仮想し切れなかった限界で
あり"有限"だと思っているわけですが。その有限は無慈悲に時を刻んでいく。
"無限の愛"という有限は、正に時が無慈悲に刻まれることよって生じてきま
すよね。岡部と紅莉栖のあの瞬間も有限の時間軸の上に刻まれた通過点・・・。
その"無限の愛"という名の"有限の愛"を刻んだ世界線にすら既にいない二人。
まさにこの悲劇感が所詮はじぶんの想像なわけですが、やはり今までのエピ
ソードを見てきた上では、そんな無情感がどうしても頭を過ぎってしまいます。
そして話はもとに戻り、歌詞では"有限"は明日さえも否定する選択をへと・・・
繋がりますよね。これはまゆりの死亡のタイムリミットなんかが思い出され
ます。タイムリミットという正に"有限"は、明日のまゆりの命の存在を否定
する選択を迫ってきます。他にも考えられることは沢山ありますがさすがに
もう止めておきましょう・・・汗
"いくつもの輝ける日々、仲間との約束"
"無かった事にはしてはいけない"
堅苦しい、まるで哲学?みたいだったじぶんの妄想から離れ、もう少し本編
に拠った話に。"いくつもの輝ける日々"、"仲間との約束"。これはあのラボ
で過ごした仲間たちとのドタバタな日々と、そして"約束"は―。
まゆりや紅莉栖はもちろん、犠牲にしてきた鈴羽や萌郁、ルカにフェイリス
たちの思いだって約束に違いありません。犠牲にする変わりに、まゆりを、
全てを救ってみせるという・・・。
"無かったことにしてはいけない"、それは、単に言葉で交わされた約束だけ
ではなく、"犠牲になっている彼女たちの思い"ということも当然、含まれて
いるのだと思いますね。
"そのために時を欺く。残された仕掛けに"
"もう迷いはない孤独の観測者"
そして最後の歌詞。様々な犠牲からの約束を無かったことにしないために彼は、
"時を欺く"。有限の無慈悲な存在を欺いてやろうとしているわけです。残された
有限に刻まれし仕掛けに挑み、その定められた有限の収束を覆そうとしている・・・。
"もう迷いはない"、まゆりが死ねば、牧瀬紅莉栖は助かる。でも、まゆりが助
かれば、牧瀬紅莉栖が死ぬ。どうすればいい・・・、そんな迷いも、もはやする
必要はない。ただ、仲間のために、大切な人のために、"時"という存在に挑む。
"孤独の観測者"・・・観測者は、未来の岡部からのDメールで言われていた通り、
今の岡部倫太郎のこと。"観測"は、時間の流れの中で刻まれている条件である
牧瀬紅莉栖の死を観測する者だから。
ですがグッとくるのはやはり"孤独の"という言葉。周りにはまゆりやダルに、
鈴羽もいる。それでもやはり、今までの経験を共有しているわけではない、
思い出をすべて共有しているわけではない存在ですよね。今の、いや元の
世界線へと戻ってきてはいても、やはり"孤独"であることには変わりない・・・。
最初のお前を騙せ、世界を騙せ。
![Steins;Gate-シュタインズ・ゲート-23話の感想4](https://blog-imgs-49-origin.fc2.com/a/n/i/aniponda/steins23-4.jpg)
そんな、本編を見た後に歌詞を聞けば色々と頭の中の妄想という世界が広
がってしまったじぶんですが、本編ラスト。このシーンは本当に鳥肌モノ
でしたね。
"最初のお前を騙せ、世界を騙せ"とは、上の歌詞での話のラスト、時を欺く
孤独の観測者につながっているので改めては綴りませんが、すごくゾクゾク
とした展開。そしてかっこ良さ。陳腐な言葉しか出ませんがこれが素直な感想。
果たして、次回どう動き、そして有限の中でどう抗い、世界を騙しきるのか。
いよいよラスト、見るこちらとしても気合を入れ、覚悟?しないといけませんね。
次回に期待です。
※以下、余談
おまけ的にふと思ったことを綴りますが・・・。ムービーでDメールを送ってきた
岡部は15年後の岡部。ですが、正確には今の岡部の15年後ではありません
よね。何しろ、Dメールを送っているのだから、ダイバージェンスは変動しています。
と、いうことは15年後にまだ第三次世界大戦と抗っている彼の元に牧瀬紅莉栖
はいないということに・・・。何しろ、第三次世界大戦の鍵が牧瀬紅莉栖だから・・・。
つまり何が言いたいかというと、あの岡部は、結局、辛い記憶しかないという・・・
紅莉栖を助け、再び声を掛けることは出来なかったということに・・・って想像です
が、もしそうだとするならば、いよいよ見ているこっちまで辛い気持ちになって
来る、そんな作品・物語なのだなぁと思いますよね・・・
<過去記事>
・第01話 「始まりと終わりのプロローグ」
・第02話 「時間跳躍のパラノイア」
・第03話 「並列過程のパラノイア」
・第04話 「空理彷徨のランデヴー」
・第05話 「電荷衝突のランデヴー」
・第06話 「蝶翼のダイバージェンス」
・第07話 「断層のダイバージェンス」
・第08話 「夢幻のホメオスタシス」
・第09話 「幻相のホメオスタシス」
・第10話 「相生のホメオスタシス」
・第11話 「時空境界のドグマ」
・第12話 「静止限界のドグマ」
・第13話 「形而上のネクローシス」
・第14話 「形而下のネクローシス」
・第15話 「亡環上のネクローシス」
・第16話 「不可逆のネクローシス」
・第17話 「虚像歪曲のコンプレックス」
・第18話 「自己相似のアンドロギュノス」
・第19話 「無限連鎖のアポトーシス」
・第20話 「怨嗟断絶のアポトーシス」
・第21話 「因果律のメルト」
・第22話 「存在了解のメルト」
でわまた。。。
↓よろしければ拍手など一押しの応援をお願い致します。
- 関連記事
-
- (感想)Steins;Gate -シュタインズ・ゲート- 第24話(最終話)「終わりと始まりのプロローグ」
- (感想)Steins;Gate -シュタインズ・ゲート- 第23話「境界面上のシュタインズゲート」
- (感想)Steins;Gate -シュタインズ・ゲート- 第22話「存在了解のメルト」
| Steins;Gate-シュタインズ・ゲート- | 23:59 | comments:0 | trackbacks:34 | TOP↑