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無事生還~そらくん(あに茶)

本日、山形県から無事にそらくん(あに茶)を連れて帰ってくることができました

Sora

8月17日(月)一通のメールが届きました
M浦さんからだ~久しぶり~ぃなんてワクワクしながら読み始めると、
次第に心臓がバクバクして顔がこわばっていくのが分かりました。

『実は残念なお知らせをしなくてはなりません。
 一昨日早朝、帰省先の山形の実家から、
そらが行方不明になってしまいました。
 
前日夜まではいたので、夜中の間に外へ行ってしまったようです。
 
滞在中戸締りには気をつけていたのですが、
 
ブラインドがかかっている窓が10センチ程開いてしまっているのに、
 
帰宅準備等でバタバタしていて皆気がつきませんでした。
 
早朝4時に出発しようとして、居ないことに気付き探したところ
 
庭近くで発見したのですが逃げられてしまいました。
 出発を1日ずらして近所を探し回り、近所の方にも声を掛け、
 ポスターを貼ってきましたが見つからず、両親に託して泣く泣く自宅に帰ってきました。
 その後両親も町内会への声掛けや、交番への届け出、
保健所への連絡などしてくれています。
 
私も主人も精神的に参っていて、でも仕事には行かなくてはなりません。
 
見つかり次第、迎えに行く予定です。
 
近所の方々は動物好きの方が多く、見かけたら教えてくれるはずですが、
 
そらの性格上、人見知りで臆病なので、日中出てくるかどうか...
 事故にでも遭ってたらと思うと気が気でないです。
 生涯大事にする約束で譲っていただいたのに、本当に申し訳ございません。
 この暑さですし、一刻も早く見つかってくれる事を願っています。
 またご連絡します。本当に申し訳ございません。
                                    M浦 』


読み終えるやいなやすぐに電話をして詳しい話を聞き、
とりあえず初動捜査方法を伝えて、報告を待つことにしました。
すぐにでも行きたかったのですが、ちょうど子猫ラッシュの真っ只中。
家には20匹以上の仔猫たちがいて、とても家を空けられる状況ではありませんでした。

1週間後、M浦さんのご主人だけ山形県に赴き、ポスター貼りをしに行きました。
翌日、脱走したご実家から1km離れた場所での目撃情報(甥っ子より)がありましたが、
それ以外は何の手がかりもなくただただ事故に遭っていないことを祈るばかりでした。

毎日、そら(あに茶)くんと未だ行方不明のロック(ゾロ)を思い出し、
ふたりがそれぞれ見知らぬ土地で、どんなに不安で怖い思いをしているのだろうと考えると、
何もできない自分が腹ただしくもあり、また胸が痛くなって涙が浮かんでいました。

猫の捜査は目撃情報だけが頼りです。肉眼での捜査、呼びかけでの応答は不可能です。
自分から帰ってくることはまずないといっていいでしょう。
とにかく諦めないで人間の方から探してあげなければみつけることはできません。

9月に入り、M浦さんからの連絡はありません。
週を追うごとに保護猫の数も減ってきたこともあり、
1度現地に行きたいという思いが日増しに強くなっていきました。
以前お世話になった猫探偵さんに連絡を取り、
探偵さんのスケジュールの確認をし、9月中旬の連休明けに
捜査依頼をお願いする方向で調整し、M浦さんにも話をして協力してもらうことに。

9月16日(月)、探偵を依頼して捜査を始める話をした数時間後、
ご実家からそらくん(あに茶)が見つかったという連絡が入りました。
ご実家から200mくらい離れたお宅から目撃情報が入り、
すぐにご実家のご両親が現地へ行き、直接見て確認したそうです。
手からごはんも食べたので、捕まえようと抱っこしたけど逃げられてしまったそうです。

話を聞いて私の気持ちはすぐに決まっていました。
M浦さんは週末に行きますと言っていましたが、それでは遅いと思いました。
5日間経ったら、また移動してしまうかもしれない…。
こちらの「今夜、山形に行きます」という言葉に驚かれていましたが、
半ば強引に行くことを決めました。
「困る」と言われても絶対行くという意思は固まっていました。
すぐにご実家のご両親に連絡を取ってもらいました。
仕事の調整と相方に猫のことを頼んで、深夜0時30分、山形へ車を走らせました。

ハンドルを握りながら、「どうか移動しないで」と涙がにじみつつ祈り、
反対車線を時折見ては、「帰りは絶対にそらを連れて通る」と誓い、
平日の深夜ということもあり、東北道は車もまばら。
栃木県を抜ける頃、雨が降り出しましたが100km超でガンガン走って行きました。
5時間後、早朝5時30分、現地に到着しました。
車を降りて、目撃情報のあった付近を探索して、ご両親と約束の時間まで待ちました。

ご両親に詳しいお話を聞いた後、現地に案内してもらいました。
午前中は雨が降っていたので、付近の住民の方々を訪ね話を聞きまわりました。
総合して、ここ1、2日くらいにこの場所に辿り着いたであろうこと、
前日ご両親からごはんを手からもらって食べたというあたりから、
この付近で餌場は確定していないであろうと推測されました。
きっとまたごはんを求めて同じ場所にくる!となぜか確固たる確信がありました。
天気予報では昼過ぎには雨があがるということだったので、
雨があがり次第、確実に保護するため捕獲器を仕掛けることに。
昼頃、空が明るくなり雨があがり始めました。
すぐにそらくんが通った場所に複数台捕獲器をしかけて、待ちました。
約3時間後、捕獲器をチェックしに行こうと現場に向うと、
ご両親が駆け寄ってきて、「そらがカゴにかかった!」「ほんとですか
急いで行くと捕獲器の中で「出せ~出せ~」と恐怖で鳴いているそらくんが…
近所の方も集まって状況を説明したり、喜んだり、声をかけてくれましたが、
あまりに嬉しくて周りの声もよく聞こえなくって、ただ涙だけが溢れてきました。

帰りはそらくんが乗っているので安全運転
反対車線を時折見ては、今思うと結構無謀な運転してたな~と怖くもなり、
でも後部座席で鳴いているそらくんを確認し、何度も胸が熱くなりました。
出発から6時間後の22時すぎ。首都高速を抜けると見慣れた工業地帯が広がってきました。
24時間前は山形県に行こうとしていた私がいた場所に、
今はそらくんと一緒に戻ってくることができました。
寝ていないせいか…本当に本当に長い1日でした。

M浦さんの家に着いたそらくんは、出発してから車の中でずっと鳴き通しだったのに、
ケージから出すとピタッと鳴きやみ、1ヶ月ぶりの我が家にほっとしたのかM浦さんにスリスリ。
机の脚や椅子にもスリスリ。しっぽを立てて部屋の中を歩いていました。
「そら、やせちゃったね」とスカスカになった首輪をみて、M浦さんは愛おしそうに撫でていました。

~あとがき~
脱走した飼主さんは、
「まさか、うちの子が」「今まで大丈夫だったのに」
みなさんそう言います。
猫が外に出たがるのは、外の動きや音に興味が湧くからです。
そして外の怖さを知らないからです。
狩猟本能は猫が生まれ持った本能です。
動くものを見る、追うというのは猫の備わった本能なのです。
その本能をちゃんと家の中で満たしてあげれば、済むことなのです。
外に出ないからストレスなのではなく、本能を満たしてあげないからストレスなのです。

私たちは日々の活動のなかで、
外で生きる猫たちがどんなに過酷な状況にあるかを痛感しています。
だからこそ、もう2度と野良に戻したくないという思いで保護活動をしています。
どうか今一度、お願い致します。

完全室内飼い(ベランダ、庭も不可)を守ってください。
 玄関の開け閉めは気をつけてください。わずかな隙間でも開けっ放しはしないでください。
 網戸のない窓はわずかな隙間でも開けっ放しはしないでください。
 網戸は必ず固定して動かないようにしてください。
旅行、帰省先には連れて行かないでください。
 猫は犬と違います。知らないところに連れていかれても嬉しくありません。
 長時間の移動だけでも、大きなストレスになります。
 旅行・帰省時には、ペットホテル、動物病院に預けるか
 ペットシッターや知人(親類)にお世話をお願いするなどして、
 なるべく環境を変えないようにしてあげてください。
・病院に行くときは必ず丈夫なキャリーバックにいれて、
 洗濯ネットに入れたり、胴輪しリードをつけたりして、
 2重の対策をお願いします。

「うちの子は、臆病だから大丈夫。」これは大きな間違いです。

譲渡時等にも再三お願いしていることです。
どうか必ず守ってください。
猫が脱走するとみんなに心労・迷惑がかかります。
猫自身も怖くて不安な思いをします。飼主さんも辛い思いをします。
周りの方にも心配をかけます。
簡単に見つかると思わないでください。
そして簡単に見つかったと思わないでください。
捜索に携わるご自身、ご家族、知人も大変な時間と労力を使うのですから。
脱走対策は、人間が気をつけるしかありません。
どうか今一度、玄関、窓や網戸の確認をお願い致します。
お子様や高齢の方のいるお宅は特に注意してください。
どうかどうかよろしくお願い致します。

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