霞が関の国家公務員3人に1人が過労死の危険感じ4,000人が過労死ラインで働く | すくらむ

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 私たちの仲間、霞国公(霞が関国家公務員労働組合共闘会議)が、霞が関で働く中央省庁の職員(管理職除く)を対象に実施した「残業実態アンケート」の結果を、7月1日に発表しました。


 アンケートは今年3月に実施し、3,572人から回答を得ました。以下、霞国公が発表したアンケート結果の要旨を紹介します。今回で17回目となる残業実態アンケートです。(byノックオン)


 ■4,000人が過労死の危険ライン


 霞が関における残業の実態は依然として深刻です。過労死の危険ラインとされる月平均の残業「80時間以上」が8.9%(昨年9.3%)にのぼります。霞が関で働く一般職員(約4万5千人)の8.9%=約4,000人が過労死危険ラインで働いていると推計されます。


 事実「80時間以上」の残業があったと答えた職員のうち、18.1%が「現在、過労死の危険を感じている」、33.8%が「過去に過労死の危険を感じた」と回答。あわせて、51.9%が過労死の危険を感じているのです。


 回答者全体では、過労死の危険を「過去に感じた」31.0%(昨年30.1%)、「現在感じている」4.1%(昨年4.3%)。両者を合わせて35.1%(34.4%)=「3人に1人が過労死の危険を感じた」と回答しています。過労死の危険を「現在感じている」4.1%は、25人に1人以上が過労死と直面する過酷な労働環境に置かれていることを示しています。これは、月平均の残業「100時間以上」が4.5%(昨年4.3%)にのぼっていることと対応しているといえます。年齢階層別では、とくに、30歳代が4.5%、40歳代が4.3%と高くなっており、当局・管理職の適切な指導・対応が強く求められます。


 これら過労死危険ラインで働く職員の年間総労働時間は、3,000時間を超えています。国家公務員の労働時間は法律で週40時間(2009年4月からは38時間45分)と定められいます。しかし、法定外労働時間を労使間で協定する権利を奪われているため、無制限に時間外労働を強いられる結果となっています。


 回答者全体の月平均残業時間は36.3時間。昨年の37.7時間と比べて1.4時間の減少となっていますが依然として高水準で、若年層ほど長時間残業となっています。省庁別では厚生労働省の厚生部門が71時間で最長。次いで同省の労働部門が66時間、経済産業省が50時間と続きます。


 ■「定員不足」が残業の大きな要因


 「残業になる要因(2項目選択)」をみると、「業務量が多いため(定員不足)」が64.1%(昨年64.2%)と最も多く、次いで「国会対応のため」が24.2%(昨年22.7%)となっています。業務量に見合う職員が十分に配置されていないことが、霞が関の長時間労働の最も大きな要因となっていることが明らかとなっています。


 ■75%に残業代未払い、

  霞が関全体で年間91億円の不払い残業


 以上のような過酷な残業に対して、残業手当の支給実態をみると、「不払いがある」割合は74.9%(昨年69.8%)となっています。残業実績に対する支給割合をみると、「20%未満」が5.6%、「20%以上40%未満」が10.2%、「40%以上60%未満」が19.9%となっており、これら「60%未満しか支払われていない」者は全体で35.7%(昨年30.9%)と、昨年より高い割合になっており、依然として不払い残業が多いのが実態です。


 残業や休日出勤に対する手当の全額支給は当然のことであり、国家公務員給与法第25条では、「この法律の規定に違反して給与を支払い、若しくはその支払いを拒み、又はこれらの行為を故意に容認した者は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する」とあります。このような違法状態は直ちに改められなければなりません。


 この数字をもとにした、霞国公の試算では、霞が関に働く国家公務員の不払い残業代の総額は、年間約91億円にのぼります。残業を、人事院の指針である年間360時間に納めるためには、約1,500人以上の職員が不足していることになります。


 ■帰宅時間 1割近くが「午前様」


 こうした残業によって、職員の家庭生活の状況もまた厳しいものとなっています。


 日々の平均退庁時間は、21時以降が29.8%(昨年30.0%)、このうち23時以降は8.2%(昨年8.6%)。職員の通勤時間の平均は約60分ですから、職員の3割は帰宅時間が22時以降となり、1割近くが毎日24時を過ぎての帰宅ということになります。また、2.0%(昨年2.4%)が24時以降までの深夜残業を強いられています。


 ■30代、40代の4割が家族と夕食を一緒に食べられない


 平日の夕食を家族と一緒に1週間のうち何回とれるかについてみると、「毎日」は11.9%(昨年11.0%)と低く、「まったくない」とする割合が25.6%(昨年25.4%)となっています。これは、日々の退庁時間が22時以降になる職員が2割いることからみてもうなずけます。また、同居者がいる職員について、育児をふくめ家庭生活の責任が大きいと思われる世代の30歳代、40歳代の約4割が、平日の家族との夕食が「まったくない」ということは、極めて大きな問題です。


 人事院の調査によれば、国家公務員の死亡原因のうち、「自殺」が「病死」に次いで第2位となっています。また、国家公務員の1カ月以上の長期病休者のうち、63%が「心の病」となっています。「霞が関不夜城」とも言われる「長時間残業」を解消しなければ、「自殺」や「心の病」の問題を改善していくことは困難といえるでしょう。