ブラザーズ ・ブラジャー
佐原ひかり 河出書房新社 2021年6月
父の再婚で新しい母・瞳子さんと弟・晴彦と暮らすことになった、高校一年生のちぐさ。
ある日、晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇する。
「ファッション! ふつうにおしゃれでやってるんだよ! 」
「うそ! いったいブラのどこがおしゃれだっていうのよ」
「どこって……。デザインとか、形とか、おしゃれじゃん……。刺繍だって、すげえし……」
戸惑いながらも晴彦を「理解」しようとするちぐさだったが、ある言葉で傷つけてしまい――。
弟とか、男の子とか、関係ない。ただ目の前の「あなた」に向き合いたい!
ちぐさは意を決して――! ?
父の再婚で新しい母・瞳子さんと中学生の弟・晴彦と暮らすことになった、高校一年生のちぐさ。
ブラジャーが好きだという晴彦に戸惑いながらも理解したように振る舞う。
しかし、ある時、傷つけてしまう。
新しい家族の話の他に
恋人 との関係、守られていることがうれしい反面、強い側の彼の立場の言葉がこわい時がある。
友だちとの関係、本心を言わず、飲み込んでいる。
傷つけないから、傷つけないでと祈る。
そんなちぐさの感情が細やかに描かれていた。
〈私も晴彦も、お互い信じられないことだらけだ。これから幾度となく、わけわかんない、と目を向き合うに違いない。でもわかろうがわかるまいが、ただ、それらを知っていくだけなんだと思う。そんな予感に、すこし痺れた。〉
ちぐさと晴彦、新しい関係が作れそうな予感!
好きなことを貫こうとする晴彦は強い子だと思った。
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