となり町戦争
三崎亜記 集英社 2005年1月
- となり町戦争/三崎 亜記
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となり町、森見町との戦争が始まる。舞阪町に住む北原は広報紙でそれを知るが、戦争の兆候は見えな かった。それでも、広報紙の人の動き欄に戦死者の人数があるのを見つける。そんなある日、北原は、舞阪町役場から、偵察業務の従事者の任命書についての通知 が届く・・・・・・・・
戦争をひとつの事業として扱っている。そこがこわい。となり町と戦争することは、みんなの代表である議会で決めたこ と。情報に公開制度にのっとって開示されているから、戦争に至る過程に不透明があるという指摘にはならないというのだ。なぜ戦争をするのかさえ、はっきりしないのに、お役所が決めたことだから、実行するという。町 民はそれに従うしかないのか。
今も世界のどこかで行なわれている戦争。しかし、日本の私たちにとっては普通の日常が続いている。となり町で起こった戦争も同じではないか。戦争が起こって、身近なところで銃声が聞こえるわけではなく、危険が迫っているわけでもなくても、戦死者は増え続ける。しかし、他人事に過ぎないのだ。
見えないことはなかったこと。それは現実逃避とも責任転嫁とも違うのだ。誰もが自分が中心で世界が動いている。見えないことはなかったこととして何事もなく終わっていってしまう。
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