三浦しをん

光/三浦 しをん
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美浜島で暮らす中学生の信之は同級生の間で目立つ美花とセックスすることばかりを考えていた。信之より年下の輔は父親洋一から毎日のように暴力を受けていた。輔は信之を慕っていたが、信之は輔が嫌いだった。

あ る日、津波が美浜島をおそう。生き残ったのは、裏山の神社にいた信之と美花と輔。そして、灯台守のじいさんと船で沖へ出ていた輔の父親洋一とバンガローの 客だけだった。信之は美花を助けるためにある行動に出る。みんなが離れ離れになり、それぞれの生活を送るが、20年後・・・・・・・・・・・・・



自然の脅威を感じる。一瞬の津波で家族や町の人たち全部を失ってしまうのだ。暗いときはわからなかったのが、泥にまみれた死体に光が差してきたときを想像するだけで、ぞっとした。

この先、どのような人生を送ったかは、詳しく描かれていないが、美浜島でのことを封印し、心を閉ざして生きてきたに違いない。


信之は結婚をして子供もいる。それでも今でも美花を思っているとは!

美花は自分の体を使ってのし上がった。男の利用するほどのしたたかさが身についたのか。

輔は、今でも信之の周りをちょろちょろと動いている。信之と関わることを喜んでいる。

20年後、交わることがなければ、それぞれの生活を送っていけただろうか。

信之の妻は打算的。いくら頼る人がなく、生活のためとはいえ、秘密を知ってしまってからでも、この先、何もなかったように夫婦生活を送れるのか。

ここまで痛めつけられたことがないから、わからないが、暴力には暴力で返すしかないのか。休息の時は来ないのだろうか。

光という題名にも関わらす、光の差し込まないなんとも暗い内容であった。

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