刀語 第十二話(最終話)「炎刀・銃」 | 無限回廊幻想記譚 旧館 -アニメ・映画感想-

刀語 第十二話(最終話)「炎刀・銃」

左右田右衛門左衛門の放った炎刀・銃による銃弾を浴びて倒れる尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督・奇策士とがめ。
驚く鑢七花に、右衛門左衛門はとがめの真の名が容赦姫であると語る。
全てを否定する否定姫と対立していたとがめの名前が容赦姫。否定姫がとがめは全てを受け入れると言ったように、名前も全てを容赦する訳ですね。

「姫様と奇策士の対立の物語が、このような終結を向かえたのは、全てお前のせいだ……
 虚刀流」

凶弾を浴びることになってしまったとがめ。
流石のとがめであっても銃弾まではどうしようもない。しかもとがめは自分の体がどれほど弱いかこれまで散々語っていますから。
七花のせいだと言うのは、彼が完了形変体刀であったから、という事か。

右衛門左衛門は情けを掛け、わざと急所を外す事で即座の絶命は避けた。
とがめの最後の言葉を聞いてやれ、と告げて立ち去っていく。
とがめを抱きかかえる七花。
必死にとがめに呼びかけた七花に、意識を取り戻したとがめは自ら銃弾を受けたことで炎刀・銃の特性を理解する。
奇策で今後の策を練るというとがめだが、自らが死にかけている状況において結果を覆すように策を思いつくはずもない。
「私たちの負けだ。
 ま、私が死ぬだけで、そなたが死ななかったのだから、良しとするか」

七花はとがめを医者に連れて行こうとするが、とがめは自分が助からない事を悟っていた。
七花に「ちぇりお」を気合いをいれるためのかけ声として日本中に流行らせてくれと頼むが、自分にはそんな事1人ではできない拒む。
この状況下において「ちぇりお」について語り出すか……とても死に際に交わす会話とは思えない。

とがめがいなければ何もできないと弱気を口にする七花に、とがめは自分の教えられる事は全て教えており、もはや自分の奇策など必要としないと口にする。
とがめにはやらなければならない事があるという七花に、とがめはこの1年で七花に「どう生きるべきなのか」を教えられたと語る。
とがめの最終目的は刀集めではなく、その先にある。それを成せていないまま。

数え切れないほどの事をしてくれたというとがめ。
「そなたのおかげで楽しかった。
 そなたのおかげで嬉しかった。
 そなたのおかげで笑って、喜んで、はしゃいで……
 まるで自分が自分でないようだった。
 そなたのおかげでの私は……
 変われるのではないかとさえ、思えた」
「とがめ」
「だけど、結局、私は……変われなかったのだ」
七花を所有する資格など無い存在であると自らを卑下するとがめに、自分を腹心とするのではなかったのか、地図を作製するのでは無かったのか、互いが必要ではなかったのか、と訴えかける。
「あれは全部! 嘘だったのか!?」
「全部……嘘だった
刀集めの旅が終われば、これまでと同じように七花を殺すつもりだったというとがめ。
とがめは何もかもが奇策のための道具として考えていたと告白する。
もちろん本気で殺すつもりがあったのかどうかは定かではない。それは七花を解き放とうという想いから来た台詞かもしれないし、そうでないかもしれないし。

それはとがめの心も気持ちも情けも、全てが利用できるものとしか映らない。
計算尽くでしか生きる事のできない人間。
七花を信頼した自分自身さえも、奇策のための駒として見てしまう。
許す事のできない父の敵である虚刀流を、七花であるから許そうと思ったその心さえ、とがめの中では駒として見て、計算してしまう。
「だったら、あんたにとって感情ってなんなんだよ!
 俺が得た、俺がこの一年で得た喜怒哀楽ってなんだったんだよ。
 あんたから教えられたこの感情は一体なんなんだ」
「駒だ。
 喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、全て私の駒だ。
 制御する必要のない、取るに足りない代物だ」
「それなら、そうだとしたらどうしてそんな嘘つく必要があったんだよ。
 俺はあんたが死ねと言ったら、何時でも死ぬのに」
「言葉は嘘でも、気持ちは……嘘では、ない。
 そんな風に思っている事をあそこで言うのが一番良いと、そう考えただけだ。
 それが叶わぬ事と知っていても」
「結局、一番傷ついているのはあんたじゃないか」
「そうだよ。
 そうでなければ、奇策など練られない」
「だったら、あんたの人生っていったい何のためにあったんだよ。
 あんたにだって幸せになる権利はあっただろうが」
とがめの生き様を哀しみ、バカじゃないのかと告げる七花に、とがめはそれを肯定しながらも幸せだと答える。
道半ばで死んだからこそ、七花を殺さずに済んだ。全てを止める事ができるのだと。
「虚刀流七代目当主・鑢七花……最後の命令だ。
 私の事は忘れて、これまでの何もかもを忘れて……
 好きなように生きろ。
 そなたとの契約は、私の死を持って終了とする。
 そなたはもう、私に惚れずとも良い」

「ふざけんなよ!
 あんたといる事が、俺の好きな事だったのに!
 俺はあんたが、ホントに好きだったのに!」

「七花……」
「これからどうすれば良いんだよ、あんたがいなきゃ、俺は何にもできないよ」
「本当に可愛い奴だ。
 なぁ、七花。
 私は自分勝手で、自己中心的で、復讐のこと以外は何も考える事ができず、
 死ななければ治らないようなバカで、そなたを散々道具扱いした、
 酷い死んで当然の女だけど……
 それでも、私は……そなたに……惚れても良いか?

七花の答えを聞く事なく、とがめは息を引き取る。
声にならない答えを返す七花は、とがめの手を握りしめる。
七花を確かに愛した心、心とはまったく別に自分自身を徹底して冷静に、冷徹に見つめ続け、考え、彼女を動かしてきた頭。
とがめは旅の道中、ずっとその相反する二つのものに苦しんでいたのかもしれないが、その事をおくびにも出そうとはしなかったのだろう。
だからこそ死を迎えた事で七花を殺さなければならないという考えからようやく解放されて、素直に七花に対する想いを向ける事ができるようになった。
ようやく冷酷に計算を続ける自分自身から解放されたという事だろう。
もちろんそんなとがめの想いを七花は受け入れて……

12本全ての完成形変体刀を集めた否定姫は尾張幕府将軍・家鳴匡綱との謁見が遂に叶い、同じく匡綱との謁見を目的としていたとがめに勝利したと笑う。
重大な話があるという否定姫は人払いを告げるも、匡綱は後ろに控える者達は古くから尾張幕府に仕える者達であり、自分と一心同体で絶対の信頼がものであるという。
自らの力で得たのではなく、与えられた者を自分の力と誤解している愚鈍なる将軍。そんな相手でも将軍という立場であるが故に、否定姫もとがめも近づく事すらできなかったわけだ。

否定姫は四季崎記紀の正体が刀鍛冶ではなく、占術師である事、そして彼の目的は歴史の改竄にある事を語る。
数千年前に一族の初代が、今より百年ほど後に外国より攻撃を浴びてこの国が滅びるという予言をした事により、否定姫の一族は歴史を変えるために動いてきたのだという。

そこに右衛門左衛門が七花が尾張城へと単身乗り込んできた事を報告すると、否定姫はこの事も四季崎記紀の計画のうちである事に気付く。
「我々はこれで、おしまいです」
否定姫のこの言葉を真に理解できていない時点でこの将軍は終わっている。
正体不明の侵入者をどうとも思っていない匡綱の考えを否定姫は否定する。
とがめの言いつけを破り乗り込んできた七花は感情を失ったかのように戦い続ける。たった1人で襲い来る彼を迎え撃つ城内の兵士達は誰1人として七花を止める事は敵わない。彼を止める事のできるとがめは刀集めの道中に命を落としてしまった、と嘯く否定姫は七花が乱心したのだと語る。
「しかし大御所様。
 これは私たちにとって最悪ではありながら、同時に幸運かもしれません」
「どうして」
「彼こそが四季崎記紀の目論見を、私たちの悲願を達成するための最後の鍵だからです。
 つまり完了形変体刀の……」
家鳴将軍家の世を盤石とし、千年の繁栄を約束する儀式のようなものだという。
ここから否定姫が幾度となく口に出す「私たちの悲願」と言う言い回し。
否定姫は一度として家鳴家のためなどとは口にしていないけど、家鳴将軍家千年の繁栄という言葉を口にした事で、この将軍なら「家鳴将軍家の悲願」と思いこむだろうという考えがあっての事なんだろう。相手がとがめならもちろんそんな言い回しにダマされることなど無かったでしょうけど。

否定姫は家鳴将軍家御側人十一人衆と右衛門左衛門を使って七花と相対させる。
右衛門左衛門は七花がとがめの復讐のためにやってきたと考え、相生忍法口移しで七花に否定姫と共に天守閣で待っている事を告げる。
「違うよ、俺はとがめの仇を討ちにきたんじゃない。
 死にに来たんだ……
 ……はぁ~、面倒だ」

感情を失ったように吐息する七花。
とがめの死に対する怒りや絶望などが、七花を完了形変体刀として完全なものに仕上げたのだろう。元々虚刀流は心を捨てる事を教えとしていたわけだし、この状態こそが本来あるべき姿といえるか。

家鳴将軍家御側人十一人衆が完成形変体刀を手に七花の前に次々と立ちはだかる。
・般若丸=「絶刀・鉋」
・鬼宿不埒=「斬刀・鈍」
・巴暁=「千刀・釼」
・浮義待秋=「薄刀・針」
・伊賀甲斐路=「賊刀・鎧」
・真庭孑々=「双刀・鎚」
・胡乱=「悪刀・鐚」
・灰賀欧=「微刀・釵」(日和号)
・墨ヶ丘黒母=「王刀・鋸」
・皿場工舎=「誠刀・銓」
・呂桐番外=「毒刀・鍍」
かつては苦戦した悉くを一瞬のうちに刀を破壊し、使い手を葬っていく。
それは刀集めの時には刀を破壊できないという条件付けがあった事、そしてそれらの使い手に対して何らかの感情移入があった事が、今回の戦いには一切作用していないので、相手になるべくもない。元々の実力に違いがある人物などもいたようだけど。
唯一、皿場工舎だけが殺されていないのは、手にしたのが誠刀・銓という戦いようのない刀だったのもあるのだろうな。

・左右田右衛門左衛門=「炎刀・銃」
最後の刀を携えた右衛門左衛門が現れる。
右衛門左衛門と共に七花を待ちかまえていた否定姫は、右衛門左衛門に七花を殺害するように命じる。
七花を殺してしまえば四季崎記紀の目論見は潰える事となってしまう。
「ひょっとしたらあんたはまだ気付いてないかもしれないけど、私ってとーっても否定的な人間なのよ。
 四季崎の悲願を達成したいのと同じぐらいに、その悲願がくじけるところを見てみたいのよ。
 あんたならそのどちらかを必ず見せてくれると信じているわぁ」
右衛門左衛門は否定姫の意思ではなく、四季崎の思惑により七花との戦いが今回のようになった事を「不面白」と不満を口にする。
右衛門左衛門は自分の恩人とも言える否定姫のためだけにしか戦うつもりは毛頭ないのですね。元々がプライドの高い人物だと鳳凰も語っていたので、意にそぐわない相手の意思に踊らされるのは我慢ならないのだろう。それでも戦うのは、それが否定姫の意思でもあるからなんでしょうけど。

誰かのために何かをする事など、人間にも刀にも無理であるととがめの死によって考えるようになった七花。
最後まで自分の事だけを考えていたとがめは、七花に自由に生きろと言ってこの世から去った。
「でも仕方ねぇんだよ。
 俺はそういうとがめの事が好きになったんだから……
 虚刀流七代目当主・鑢七花……」

七花は構えをとりながらとがめの事を思い返す。

想い出の中のとがめの号令と共に、七花は右衛門左衛門に攻撃を仕掛ける。
「とがめのそういうところが好きだったんだから、俺も自分のために戦ってきたんだろうぜ」
「なら! お前は何のために乗り込んできた!?」
「……死ぬためだ。
 とがめは俺に生きろと言ったけど、俺はもうそんな命令に従う必要はないからな!
 俺を殺せるのはあんたを他にいないと考えてるぜ。
 とがめを殺したあんたしか
右衛門左衛門の刀をたたき壊す七花。
死にに来たとは言っても、ただ自殺のように簡単に殺されるつもりもないのですね。
殺されても構わないという想いなのか、命を捨てつつも目的を果たしにやってきたのか。
「不笑。これが四季崎の目論見通りなのだとしたら、確かに滑稽なものだ!」
右衛門左衛門は炎刀・銃に持ち替えて七花に撃ち続けるが、七花は高速の動きで交わし続ける。
「死にに来たというのなら、是非もない。
 悔いを残して死んでいけ。
 お前は何と言って死ぬのかな?」
炎刀・銃による攻撃をかいくぐって攻撃した七花に驚く右衛門左衛門だが、七花は最初から全てを交わす事を諦め、攻撃を受けながらも彼へと迫っていた。
自分自身を守れ、というとがめの命令も守る必要がなくなったことにより、自らの命すらも惜しまなくなっていた。
「……お前、死ぬ気か」
「そう言っただろうが」
刀の破壊を許され、自ら傷つく事も恐れなくなった事で真に発揮された七花の実力を前に、右衛門左衛門は忍法断罪円での決着を挑む。
互いの肉体を傷付け合いながらも一歩も引くことなく激しい攻撃を繰り出し続ける両者。
七花は胸を裂かれ、まぶたを切り裂かれながらも踏み込んで、遂に右衛門左衛門に七花八裂・改を叩き込んだ。
これまでは刀を壊さないように気をつけながら戦い、自分も傷つかないように配慮して戦っていたから、どうしても力をセーブしなければならなかったけど、刀集めが終わっているので刀を壊す事も気に止めず、端っから死ぬつもりだから傷を負う事も恐れず攻撃してくる。元々虚刀流は刀なのだから、傷つく事を恐れたりする事は考慮しないものだったのだろう。

完了形変体刀「虚刀・鑢」の前に炎刀・銃が破壊され、遂に完成形変体刀十二本全てが破壊された。
瀕死の状態になりながらも、最後まで否定姫の事を想い右衛門左衛門は命を落とす。

状況を理解できずに天守閣にてただ震え続ける匡綱に、自分たちの悲願が達成されつつあると満足げに笑う否定姫。
その言葉に家鳴千年の悲願が達せいされると喜ぶ匡綱だが、そこに七花が現れ右衛門左衛門の血にまみれた面を投げ捨てる。
「右衛門左衛門の散り際の一言だ、心して聞け」
「聞くわよ、なぁに?」
「姫様、あなたのために死ぬ事をお許し下さい」
「最後まで辛気くさい奴よねぇ。
 そんな事言って私が感動するとでも思っているのかしら。
 まぁいいわ、それじゃあさっさと終わりにしましょうか。
 七花く~ん、約束通り私を殺してもいいわよ」
だが七花は否定姫は後1人しか殺す力が残っていないと、相手とせずに匡綱の下へと歩み寄る。
「否定姫、何をぼけっと見ておるのだ」
「いやぁ、ムチャ言わないで下さいな。
 私には戦闘力はありませんし、それに……
 あなたが殺されなきゃ話が終わらないじゃないですか
「なんだと!?」
無論、家鳴千年の繁栄など真っ赤な嘘でしかない。
尾張幕府の崩壊こそが、四季崎記紀の目論見。
正確には別の幕府であるが、その幕府は四季崎記紀の完成形変体刀の作製によって阻止されたが、その代わりに似ている尾張幕府という存在ができてしまった。
それが飛弾鷹比等の語った間違った歴史で、だからこそ尾張幕府を潰そうとして、でも失敗してしまったわけですが。そこに虚刀流が出てきたのは、この間違った世界を作ったのも四季崎記紀だから、邪魔される訳にはいかなかったからなのだろうか。
「私の目的は貴方を殺す事です。
 それが今やっと……成就されようとしています」

七花の目的もまた彼のせいで人生を棒に振る事になったとがめのために彼を殺す事。
もちろんとがめの目的もまた刀を集めた上で、将軍にお目通りして彼を殺す事にあったのだろう。2人とも同じ目的を持ち、そしておそらくは違いの目的に気付きながらも、その理由の違いと自分が成すという想いから対立するしかなかったのか。

とがめに否定姫と会ったら礼を言うように告げられていた七花。
「一つだけ聞いて良いか?」
「なんなりと」
「あんた、本当はとがめの事好きだったんじゃねぇの?」
「あの不愉快の女ね……嫌いじゃなく……
 なくもなかったわ」

「……そっか」
否定姫の答えに満足した七花は匡綱に向かって構えをとる。
否定姫が素直でないのは、彼女が否定姫だからとして。とがめの方も否定姫の事は嫌いじゃないとか言ってたから、お互いに相手の事は認め合っていたという事でしょう。
必死に命乞いをする匡綱は、天下を七花に差し出そうとする。
「いるかそんなもん!!
 ちぇぇぇぇりおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

その一撃は城を崩壊させた。
天下なんかに興味があるわけがないよな。
権力にすがっている彼は、誰もがそれを欲していると思い込んでいたのでしょうが・・・

エンディングでは七花が刀集めで戦った各所が描かれる。
凍空こなゆきは出雲国三途神社で元気に暮らしているようで、怪力があるので力仕事で大活躍みたいだね。
汽口慚愧はちゃんと門下生ができたのですね。

日本を旅する七花が茶屋で団子を食べながら休んでいたところに、右衛門左衛門の遺品である面を頭につけた否定姫が発見する。
髪の毛を切ってすっかり町娘風です。似合いすぎだ。
「着いてきてくれと頼んだ覚えはないぞ」
「私は頼まれなきゃ動かないような冷血な人間じゃないからねぇ」
「着いて来るなと頼んだ憶えならある」
とがめを失った七花はこんどは否定姫と旅をする事になったのですね。まさかの組み合わせですが、なんか肩の荷が下りたからか、否定姫も更に明るい性格になってるな。
歴史の改竄を目的とした否定姫だが、歴史の改竄は成功せず、匡綱の息子が九代将軍となったに過ぎなかった。
想定外の異なる幕府、飛弾鷹比等、そして容赦姫の存在によって、四季崎記紀は負けて、彼らの歴史改竄は失敗に終わった。
歴史の改竄は夢物語だという七花は、容赦姫の一族の初代が見た外国がやってきても、その時に生きている者達がなんとかすれば良いのだと語る。
「ま、改竄は失敗しても、改変ぐらいはできたでしょうから、百年後の連中もただ滅ぼされはしないでしょうねぇ。ちょっとは根性出してもらいましょう」
加賀に向かうという七花に、否定姫は加賀で軍資金の補給を提案する。
七花は軍資金の補給は否定姫に託す代わりに、追っ手がやってくれば自分が倒すと約束する。
「あ、ただしその頃にはあんたは八つ裂きになってるかもしれないけどな
「なんでぇ!」
その決め台詞はここで使う台詞じゃないから!
否定姫は将軍を殺したから、幕府から追われる身となっているのか。もちろん七花もでしょうが、七花がいる限りは到底手が出せないのは確かなんだろうな。
完成形変体刀も全部破壊されてるし、とがめを守れなかった七花は同じ過ちを繰り返して否定姫を守れないという事だけは避けようとする気もするしな。

その後、七花の行方を知る者は誰もいない……
だが七花は確かに生きていた。

復讐を果たせなかった者
目的を果たせなかった者
志半ばで倒れた者
思いを遂げられなかった者
負けた者
挫けた者
朽ちた者
一生懸命頑張って、他のあらゆる物を犠牲にしてまで踏ん張って、
それでも行為は全く結果に繋がらず
努力は全く実を結ばず
理不尽に、或いは不合理に
ただただ無惨に
ただだ無様に
どうしようもなく後悔しながら死んでいった者達の
夢と希望に満ちあふれた前向きな物語
『刀語』はここで、静かに幕を下ろすのでございます。


そんな訳で1年に渡って続いてきたアニメも終了です。
最初はイラストを見た時、この絵でアニメ化というのはどうかとも思ったのだけど、充分に良かったと思う。中の人たちの演技もこの作品を支えてくれていたのでしょう。
西尾維新の話はとにかく台詞が多いから大変そうでしたが。
とがめの死という形で迎えたことの終わり方をどう受け止めるかは人それぞれなので一概にはなんともいえないけど、これはこれでありなのだろうと、個人的には思う。
もちろん一番いいのはハッピーエンドで終わってくれる事ですが、あの状況下で実はとがめは生きていましたというのはもっとありえないし。
あえてとがめを殺してね否定姫を生かし、七花と旅をさせるラストを迎えさせるというのが印象的です。
この先どうやって生きていたのか、いろいろと気になりますし。



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