デュラララ!! #17「有為転変」
それは偽り……
それは真実……
南池袋公演で罪歌の子供たちに操られた人間を次々とぶちのめしていく平和島静雄を見つめるセルティ・ストゥルルソン。
「強い……いや、怖い……
いや、格好いい。
こいつ、強い強いとは想っていたけど、ここまでとは」
出鱈目なほどの強さで暴れ回る静雄だが、罪歌の子供たちが突然何かに反応する。
本当に出鱈目な強さです。
セルティは静雄に自分の影で作り出した特製手袋を与えてその場を離れる。
そもそもセルティの鎌にはどんな効果があるのかハッキリ描写されてないんだよね。
人を斬りつけても相手は殺さず、意識だけ失わせているっぽいのだが。
罪歌の大元となる一降りの刀を手にした園原杏里に驚く贄川春菜は、彼女が自分を襲った相手であり、親も殺害したのかと問い掛ける。
杏里の持つ罪歌は戦い方も教えてくれるらしい。
杏里は春菜に他の罪歌の子供たちを止めるように春菜に頼む。
杏里が罪歌に操られているのであれば、杏里の言う事も聞くが、そうでなければ杏里の命令にも従うことがないという事。
春菜が自分の意識を持っているから、杏里でも彼女に操られている罪歌はコントロールできないのだな。という事は、自力であの状況から脱出してきたのか。
杏里は自分の中に響く罪歌の「愛の言葉」を教えてやる、と春菜にほんの少し切っ先を突き刺す。
春菜に流れ込んでくる罪歌の愛を告げる言葉。
暖かい両親に包まれて暮らす楽しい日々。だがそれは全て偽り。
真実は父親による虐待を受ける母と杏里。仕事が上手く行かない古物商であった父親は仕事の鬱憤を家族に対する暴力で晴らし、杏里は心を閉ざすようになった。
その頃になり、世間では切り裂き魔が現れるようになった。
「切り裂き魔の正体は、母だった」
罪歌に操られた母は父を殺し、自らも命を絶った。
一人残った杏里は罪歌を手に取った。
切り裂き魔の正体が母親だったという事は、やはり春菜を罪歌にしたのも彼女の母親だったのか。
罪歌に斬りつけられようと、罪歌に取り込まれる事無く自分の意思の力で戦い続ける静雄は、人々を次々と蹴散らしていく。
「勘違いしてるんじゃねぇぞ、テメェら。
みんなが怖がるから、俺は誰にも愛されない……
笑わせんな!
怖いのは俺の方なんだ。
テメェの力を抑えきれなくて、いつも何かしくじっちまうんじゃないかって。
そう、俺は世界一臆病もんだ。
だがそれがどうした。
俺が臆病なのと、テメェ等をぶちのめす事に、何の関係もありゃしねぇ。
それに俺のことを愛してくれる奴の前で、倒れる訳にはいかないだろう」
自分の強すぎる力故に、その力を怖がっていた静雄。
それにしても強さは出鱈目だな。斬りつけられても平然としているのは、罪歌の愛を耐えられるからなのか。
あまりに多い愛の言葉を耐える事が出来ている杏里は、自分には人として色々と欠けているから耐えられるのだという。
わざと春菜に斬りつけられた杏里。
「これから貴女に酷いことをします。
だから、これで貸し借り無しです。
あなたの心を、私の罪歌に乗っ取らせてもらいます。
謝りませんよ。ここでまた謝ったら、私の生き方を否定することになりますから。
私はずるいんだと思います。
貴女に酷いことをして、自分の平穏を守ろうとしているんですから……
でも、仕方がないんですよ……
寄生虫……ですから」
罪歌は寂しがり屋で、人間が本当に好きなのだという杏里は、春菜を僅かに斬りつけ、自らの支配下に収める。
一瞬だったのは、本家の愛情の濃さに春菜が耐えられないからなんだな。
酷いこととか言うから、もっと派手に斬りつけるのかと思ったわ。
春菜が杏里の支配下に入ったことで、罪歌の子供たちに操られて人々は我に返る。
彼らと戦っていた静雄は戦いを止めると、誰も死んでいない事を確認すると笑い出す。
「やっと……やっと俺の言うことを聞いてくれたな」
あれだけやって死人がまったく出ていない事実にビックリだよ。めちゃめちゃ人が吹っ飛んでたのに。
事態の飲み込めていない那須島隆志は、杏里に一緒に逃げようと言い出す。
どこまでも空気読めないな。一部始終見ていた筈なのに、話を半分も理解できていなかったのか。
そこに駆けつけたセルティ。
張間美香と同じクラスにしたのは隆志による配慮だった。杏里はその借りを返すため、切り裂き魔だと思っていたセルティに追われていた隆志を助けるため、セルティに斬りつけた事があった。
ああ、あの時の切り裂き魔だけは杏里本人だったのか。
隆志は杏里も春菜と同じく自分に斬りつけてくるのかと思うも、杏里は春菜と違って彼の事が嫌いだからそんな事はしないと否定。
隆志はその場から逃げ出してしまう。
ヘタレ男では杏里をどうこうする事は所詮無理だった。
杏里が彼のセクハラにも耐えていたのは、彼に対する借りがあったからなんだな。
静雄に壊された車のドアの修理を遊馬崎ウォーカーに頼んだため、渡草三郎のバンは痛車になっていた。
これは酷い……一般人にとってはただの拷問。なんで遊馬崎に頼んだ。彼はそっち系の仕事をしている人なのかな。
つーか、ダラーズの活動がしにくそうだな。
春菜に斬りつけられた傷から入院した杏里の事を知った紀田正臣に聞いて、見舞いにやってきた竜ヶ峰帝人は仕切りに心配する。
もう何も起こらない気がするという杏里は、春菜に襲われた何時間か前にも助けられ、静雄とセルティの事を格好いいとしゃべり出す。
杏里もセルティが女性だという事ぐらいは気付いていると思いますよ。格好いいというのは惚れたとかではなく、単純に格好いいというだけの話だろう。
彼らは自分たちとは違う世界の住人だと必死にしゃべる帝人に、杏里は本当の非日常とは何も変わらない日々の事だと語る。
セルティは春菜を新羅に見せる事とした。
以前に斬りつけた事を謝ろうとした杏里を、あの場で正しいと思った事をしただけだと制するセルティ。
「同情しているわけじゃないぞ。
戦っても勝てる気がしないだけだ。
もし納得出来ないというなら……
君が手に入れた力を、この町のためのボランティア活動に使ってくれ」
そう告げると、春菜を連れて立ち去る。
奇しくもそれはダラーズと同じ立ち位置か。杏里もまた組織のトップに君臨。
彼女は力を手に入れた。
百人を越える罪歌の集団を、意のままに操れる力。
その力を彼女は、重荷に感じた。
だがそれは彼女が望んでいた事でもあった。
宙をフラフラと浮かんでいた自分が、人の運命を握るという重圧によって、地面にしっかりと足を着けたような気がした。
その時、声が聞こえた。
あなたの事は愛せないけど、嫌いじゃない。
聞こえただけのような気がしただけかもしれない。
問い返しても、返事は無かった。
だが、それで良かった。
ほんの少しだけ嬉しかった……
杏里は帝人と正臣との日常に戻ってきたが、真実を話す事は出来ない。
全ての罪歌の集団を操る力を手に入れた杏里は、春菜の記憶から全ての背後で糸を引いていた黒幕の名を知った。
その名は、折原臨也。
もし彼が自分の日常を脅かすのならば、戦わなければならない。
全ての元凶たる臨也。
彼の秘書をやるようになった矢霧波江だけは、臨也が企んでいるという事を知っているのだね。そして静雄はそれを直感で感じ取る嗅覚を持っているのか。
全ては臨也の計算通り。
隆志があのタイミングで杏里の部屋を訪れた事さえも。
唯一のイレギュラーは隆志が臨也の金を持ち逃げしようとした時だけだった。
借金に追われていた彼はストーカーになっていた春菜の両親を揺すって金を取ろうとしたが、闇金の紹介で静雄のところへ来た時、彼の部屋にあった金を盗み出したが、それらも計算通りだった。
春菜が罪歌だという事を把握していた臨也は、彼を捕らえて春菜を利用するつもりだったが、杏里というオリジナルが出現した。
流石の臨也も杏里がオリジナルを持っている事は、彼女がセルティを襲うまでは知らなかったのだね。それは彼女が罪歌を抑え込み続けて、誰も斬りつけていなかったからなのか。
事件の後、逃げ出した隆志は静雄に金を出せと脅し、殴り飛ばされていた。
全ては臨也の思惑通り。
静雄が殺されていれば良かったという臨也ですが、あの程度の人間に静雄がやられるはずもない事は充分に承知の上でしょうね。大量の罪歌を相手に大立ち回りしていた人間が、隆志程度にどうこうされるわけもない。
町には警察が溢れ、ネットでは切り裂き魔の正体がダラーズだと騒ぎが起きていた。
杏里が切り裂き魔に襲われたと、帝人は仲間に切り裂き魔についての情報を求める。
「落ち着け、帝人」
全てを知るセルティだけは帝人の心の焦りを感じ取る。
帝人は黄巾賊の事は興味ないけど、切り裂き魔だけはなんとしても捕らえようとか動き出してしまうのか。セルティも杏里が話さないのに、真実を教えるわけにはいかないだろうしね。
「それで、何が目的なの」
「これで町は、ダラーズと黄巾賊、妖刀軍団の3つに別れた訳だ。
しかも妖刀組はダラーズにも黄巾賊にも、それぞれ潜入しているときたぁ。
正直、妖刀組を作る事が出来れば、贄川春菜でも良かったんだけどさぁ。
でも、園原杏里のが面白いよねぇ」
「で」
「今は火種で十分だよ。
暫く放っておけば、その火種が燻って燻って……
俺はもう待ちきれないよ」
黄巾賊を作り出したのも中学生。
既に杏里が入院したという事実が火種となっているのですね。その友人2人が他の組織のトップだから、放置しておいても自然と動き出す事は承知の上という事か。
ただ日常を過ごしたかった正臣。
その日常を壊して杏里を傷付けた切り裂き魔を許さないと、将軍として黄巾賊に指示を飛ばす。
切り裂き魔の背後にダラーズがいるのならば、ダラーズをも潰すと決意する。
ダラーズ、黄巾賊、切り裂き魔による三つ巴の戦い。
3人の友人がそれぞれの集団のトップという
杏里が真実を話す事が出来ないが故に誤解が生じて男2人がそれぞれ、切り裂き魔を倒そうと必死。
みんなが他の2人がそれぞれのトップと知らず、すれ違いのまま、3つのグループが対峙していくことになるのか。
コミュニケーションの欠如が諍いを生む、という事の象徴。
人と人とが分かり合うには、コミュニケーションが大切なのです。
次回 #18「死生有命」
■トラックバックが飛ばない場合には別館(http://libra1974.blog86.fc2.com/)or別宅(http://adam666.cocolog-nifty.com/blog/)へお願いします。
アニメ 感想 レビュー 第17話
それは真実……
南池袋公演で罪歌の子供たちに操られた人間を次々とぶちのめしていく平和島静雄を見つめるセルティ・ストゥルルソン。
「強い……いや、怖い……
いや、格好いい。
こいつ、強い強いとは想っていたけど、ここまでとは」
出鱈目なほどの強さで暴れ回る静雄だが、罪歌の子供たちが突然何かに反応する。
本当に出鱈目な強さです。
セルティは静雄に自分の影で作り出した特製手袋を与えてその場を離れる。
そもそもセルティの鎌にはどんな効果があるのかハッキリ描写されてないんだよね。
人を斬りつけても相手は殺さず、意識だけ失わせているっぽいのだが。
罪歌の大元となる一降りの刀を手にした園原杏里に驚く贄川春菜は、彼女が自分を襲った相手であり、親も殺害したのかと問い掛ける。
杏里の持つ罪歌は戦い方も教えてくれるらしい。
杏里は春菜に他の罪歌の子供たちを止めるように春菜に頼む。
杏里が罪歌に操られているのであれば、杏里の言う事も聞くが、そうでなければ杏里の命令にも従うことがないという事。
春菜が自分の意識を持っているから、杏里でも彼女に操られている罪歌はコントロールできないのだな。という事は、自力であの状況から脱出してきたのか。
杏里は自分の中に響く罪歌の「愛の言葉」を教えてやる、と春菜にほんの少し切っ先を突き刺す。
春菜に流れ込んでくる罪歌の愛を告げる言葉。
暖かい両親に包まれて暮らす楽しい日々。だがそれは全て偽り。
真実は父親による虐待を受ける母と杏里。仕事が上手く行かない古物商であった父親は仕事の鬱憤を家族に対する暴力で晴らし、杏里は心を閉ざすようになった。
その頃になり、世間では切り裂き魔が現れるようになった。
「切り裂き魔の正体は、母だった」
罪歌に操られた母は父を殺し、自らも命を絶った。
一人残った杏里は罪歌を手に取った。
切り裂き魔の正体が母親だったという事は、やはり春菜を罪歌にしたのも彼女の母親だったのか。
罪歌に斬りつけられようと、罪歌に取り込まれる事無く自分の意思の力で戦い続ける静雄は、人々を次々と蹴散らしていく。
「勘違いしてるんじゃねぇぞ、テメェら。
みんなが怖がるから、俺は誰にも愛されない……
笑わせんな!
怖いのは俺の方なんだ。
テメェの力を抑えきれなくて、いつも何かしくじっちまうんじゃないかって。
そう、俺は世界一臆病もんだ。
だがそれがどうした。
俺が臆病なのと、テメェ等をぶちのめす事に、何の関係もありゃしねぇ。
それに俺のことを愛してくれる奴の前で、倒れる訳にはいかないだろう」
自分の強すぎる力故に、その力を怖がっていた静雄。
それにしても強さは出鱈目だな。斬りつけられても平然としているのは、罪歌の愛を耐えられるからなのか。
あまりに多い愛の言葉を耐える事が出来ている杏里は、自分には人として色々と欠けているから耐えられるのだという。
わざと春菜に斬りつけられた杏里。
「これから貴女に酷いことをします。
だから、これで貸し借り無しです。
あなたの心を、私の罪歌に乗っ取らせてもらいます。
謝りませんよ。ここでまた謝ったら、私の生き方を否定することになりますから。
私はずるいんだと思います。
貴女に酷いことをして、自分の平穏を守ろうとしているんですから……
でも、仕方がないんですよ……
寄生虫……ですから」
罪歌は寂しがり屋で、人間が本当に好きなのだという杏里は、春菜を僅かに斬りつけ、自らの支配下に収める。
一瞬だったのは、本家の愛情の濃さに春菜が耐えられないからなんだな。
酷いこととか言うから、もっと派手に斬りつけるのかと思ったわ。
春菜が杏里の支配下に入ったことで、罪歌の子供たちに操られて人々は我に返る。
彼らと戦っていた静雄は戦いを止めると、誰も死んでいない事を確認すると笑い出す。
「やっと……やっと俺の言うことを聞いてくれたな」
あれだけやって死人がまったく出ていない事実にビックリだよ。めちゃめちゃ人が吹っ飛んでたのに。
事態の飲み込めていない那須島隆志は、杏里に一緒に逃げようと言い出す。
どこまでも空気読めないな。一部始終見ていた筈なのに、話を半分も理解できていなかったのか。
そこに駆けつけたセルティ。
張間美香と同じクラスにしたのは隆志による配慮だった。杏里はその借りを返すため、切り裂き魔だと思っていたセルティに追われていた隆志を助けるため、セルティに斬りつけた事があった。
ああ、あの時の切り裂き魔だけは杏里本人だったのか。
隆志は杏里も春菜と同じく自分に斬りつけてくるのかと思うも、杏里は春菜と違って彼の事が嫌いだからそんな事はしないと否定。
隆志はその場から逃げ出してしまう。
ヘタレ男では杏里をどうこうする事は所詮無理だった。
杏里が彼のセクハラにも耐えていたのは、彼に対する借りがあったからなんだな。
静雄に壊された車のドアの修理を遊馬崎ウォーカーに頼んだため、渡草三郎のバンは痛車になっていた。
これは酷い……一般人にとってはただの拷問。なんで遊馬崎に頼んだ。彼はそっち系の仕事をしている人なのかな。
つーか、ダラーズの活動がしにくそうだな。
春菜に斬りつけられた傷から入院した杏里の事を知った紀田正臣に聞いて、見舞いにやってきた竜ヶ峰帝人は仕切りに心配する。
もう何も起こらない気がするという杏里は、春菜に襲われた何時間か前にも助けられ、静雄とセルティの事を格好いいとしゃべり出す。
杏里もセルティが女性だという事ぐらいは気付いていると思いますよ。格好いいというのは惚れたとかではなく、単純に格好いいというだけの話だろう。
彼らは自分たちとは違う世界の住人だと必死にしゃべる帝人に、杏里は本当の非日常とは何も変わらない日々の事だと語る。
セルティは春菜を新羅に見せる事とした。
以前に斬りつけた事を謝ろうとした杏里を、あの場で正しいと思った事をしただけだと制するセルティ。
「同情しているわけじゃないぞ。
戦っても勝てる気がしないだけだ。
もし納得出来ないというなら……
君が手に入れた力を、この町のためのボランティア活動に使ってくれ」
そう告げると、春菜を連れて立ち去る。
奇しくもそれはダラーズと同じ立ち位置か。杏里もまた組織のトップに君臨。
彼女は力を手に入れた。
百人を越える罪歌の集団を、意のままに操れる力。
その力を彼女は、重荷に感じた。
だがそれは彼女が望んでいた事でもあった。
宙をフラフラと浮かんでいた自分が、人の運命を握るという重圧によって、地面にしっかりと足を着けたような気がした。
その時、声が聞こえた。
あなたの事は愛せないけど、嫌いじゃない。
聞こえただけのような気がしただけかもしれない。
問い返しても、返事は無かった。
だが、それで良かった。
ほんの少しだけ嬉しかった……
杏里は帝人と正臣との日常に戻ってきたが、真実を話す事は出来ない。
全ての罪歌の集団を操る力を手に入れた杏里は、春菜の記憶から全ての背後で糸を引いていた黒幕の名を知った。
その名は、折原臨也。
もし彼が自分の日常を脅かすのならば、戦わなければならない。
全ての元凶たる臨也。
彼の秘書をやるようになった矢霧波江だけは、臨也が企んでいるという事を知っているのだね。そして静雄はそれを直感で感じ取る嗅覚を持っているのか。
全ては臨也の計算通り。
隆志があのタイミングで杏里の部屋を訪れた事さえも。
唯一のイレギュラーは隆志が臨也の金を持ち逃げしようとした時だけだった。
借金に追われていた彼はストーカーになっていた春菜の両親を揺すって金を取ろうとしたが、闇金の紹介で静雄のところへ来た時、彼の部屋にあった金を盗み出したが、それらも計算通りだった。
春菜が罪歌だという事を把握していた臨也は、彼を捕らえて春菜を利用するつもりだったが、杏里というオリジナルが出現した。
流石の臨也も杏里がオリジナルを持っている事は、彼女がセルティを襲うまでは知らなかったのだね。それは彼女が罪歌を抑え込み続けて、誰も斬りつけていなかったからなのか。
事件の後、逃げ出した隆志は静雄に金を出せと脅し、殴り飛ばされていた。
全ては臨也の思惑通り。
静雄が殺されていれば良かったという臨也ですが、あの程度の人間に静雄がやられるはずもない事は充分に承知の上でしょうね。大量の罪歌を相手に大立ち回りしていた人間が、隆志程度にどうこうされるわけもない。
町には警察が溢れ、ネットでは切り裂き魔の正体がダラーズだと騒ぎが起きていた。
杏里が切り裂き魔に襲われたと、帝人は仲間に切り裂き魔についての情報を求める。
「落ち着け、帝人」
全てを知るセルティだけは帝人の心の焦りを感じ取る。
帝人は黄巾賊の事は興味ないけど、切り裂き魔だけはなんとしても捕らえようとか動き出してしまうのか。セルティも杏里が話さないのに、真実を教えるわけにはいかないだろうしね。
「それで、何が目的なの」
「これで町は、ダラーズと黄巾賊、妖刀軍団の3つに別れた訳だ。
しかも妖刀組はダラーズにも黄巾賊にも、それぞれ潜入しているときたぁ。
正直、妖刀組を作る事が出来れば、贄川春菜でも良かったんだけどさぁ。
でも、園原杏里のが面白いよねぇ」
「で」
「今は火種で十分だよ。
暫く放っておけば、その火種が燻って燻って……
俺はもう待ちきれないよ」
黄巾賊を作り出したのも中学生。
既に杏里が入院したという事実が火種となっているのですね。その友人2人が他の組織のトップだから、放置しておいても自然と動き出す事は承知の上という事か。
ただ日常を過ごしたかった正臣。
その日常を壊して杏里を傷付けた切り裂き魔を許さないと、将軍として黄巾賊に指示を飛ばす。
切り裂き魔の背後にダラーズがいるのならば、ダラーズをも潰すと決意する。
ダラーズ、黄巾賊、切り裂き魔による三つ巴の戦い。
3人の友人がそれぞれの集団のトップという
杏里が真実を話す事が出来ないが故に誤解が生じて男2人がそれぞれ、切り裂き魔を倒そうと必死。
みんなが他の2人がそれぞれのトップと知らず、すれ違いのまま、3つのグループが対峙していくことになるのか。
コミュニケーションの欠如が諍いを生む、という事の象徴。
人と人とが分かり合うには、コミュニケーションが大切なのです。
次回 #18「死生有命」
■トラックバックが飛ばない場合には別館(http://libra1974.blog86.fc2.com/)or別宅(http://adam666.cocolog-nifty.com/blog/)へお願いします。
関 連 商 品 | ||
---|---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|