化物語 第拾弐話「つばさキャット 其ノ貳」 | 無限回廊幻想記譚 旧館 -アニメ・映画感想-

化物語 第拾弐話「つばさキャット 其ノ貳」

6/13のお昼休み。
阿良々木暦は戦場ヶ原ひたぎの手作り愛情弁当を食べようとしていた。
「デートをします」
「……はい?」
こよみの弁当には「I ドキドキ HIHAGI」
ひたぎの弁当には「I ドキドキ KOYOMI」
が描かれている。しかも実写ですよ、すげぇ。
ひたぎは制服の袖を腕まくりし、髪の毛をアップしています。
かなり暑いという事だろう。

驚いて卵焼きを落とした暦に、ひたぎはごはんを「あーんラブラブ
ひたぎというキャラクターとのギャップに暦は喜ぶどころか、むしろ恐怖感を感じる。
そのまま喉の奥に突っ込まれそうなぐらいの恐怖感でしょうか。
が、ひたぎはご飯をほっぺに押しつけて笑う。
自分で付けたごはんをとってあげるひたぎ。むそれを自分で食べるというシチュエーションかと思いきや、ゴミ箱ゴミ箱に投げ捨てた!

改めてデートに誘うひたぎ。
あれこれと言い方を考えているのは、この時点で翼ちゃん補正が入っているから?
散々言い方に悩んだ挙げ句、「デートしなさい」命令形に落ち着いた。
さすがひたぎさんです。
適当に理由を付けて先に帰るから、文化祭の準備が終わり次第家にやってくるように命令するひたぎに、暦は改めてデートするという実感で喜ぶ。
ひたぎは文化祭の準備を手伝う気ゼロなんですね。クラスメイトはひたぎには何も言えないのでしょうね。

――こうして、今日、6月13日は、恋人と初めてデートした
――僕にとって記念すべき日になるはずだった……
――のだが……


つばさの事件でデートどころではなくなったのか、それとも翼たちと話していたせいで遅刻した事で大変な事になるのか、それはこの後明らかに!

最終回の今回もつばさオリジナルオープニングは間に合わなかったらしい。
本来一回しか流れる予定のなかったひたぎのオープニングが何度も流れたのは、各話でオープニングの作成が間に合っていないから、という事らしい。


少なくとも。
一つだけ、はっきりと判ったことがある。
戦場ヶ原ひたぎ……
こいつ、相当に頭は良いし、常軌を逸して計算高い方でもあるのだろうが、然して、こと恋愛方面に関しては、戦闘能力ゼロだ。
完全にゼロだ。
あの母の日、付き合う事になった際のやりとりに於いてもそれは顕著だったが、とにかくこの女、猪突猛進というか、松明を持たずに洞窟に入ったRPGの主人公みたいだ。
自分の持ち札を全部晒して相手に決断を委ねるような、ある種の恫喝外交みたいな方法論を、惚れた腫れたの微妙な関係内で、使うべきだとでも思ったのだろうか?
情緒もへったくれもありやしない。
そんな迫り方をしたら、百人中九十九人までが、間違いなく引く。
それこそ怖いよ。そんなの、恋愛経験皆無の、僕だって判るぞ……
まぁ、これが、僕が九十九人を除いた、最後の一人だと見抜いた上での戦略なのだとしたら――
それはもう、帽子を脱ぐしかないけれど。

やっべえ。もの凄く萌える
洒落にならないくらい。

本来なら、このまま、勢いに任せて、戦場ヶ原に抱きつきたいくらいだったけれど、そんなことで戦場ヶ原を失うのは、僕にしたってゴメンだった。
晒せるような手札は、抑も僕にはないけれど……
戦場ヶ原との関係は、とりあえず、こんな感じで良いように思えた。いらないわけじゃないけれど。
一緒に寝転がって星空を見上げる。そんな恋人同士で、僕達はいい。


ひたぎが恋愛下手なのは確かですね。
もっとも暦も恋愛が上手とはお世辞にも言えないでしょう。
そんな不器用な二人だから、歩みはゆっくりだけど、互いに問題ないのだろう。


羽川翼と話し込んでしまったため、遅くなったと焦った暦だが、ひたぎは思ったより早かったと咎める事もなく、ひたぎの腕を引いてデートへと連れ出す。
が。
二人はとある男性の運転する車で移動することに。
それはひたぎの父親。
初デートで父親同伴というシチュエーションに嘆く暦だが、肝心のひたぎは何処吹く風。
凄いデートです。つきあい始めていきなり親を紹介されるのと、どちらが大変でしょうか? いきなり親を紹介は、年齢によって違うかな。ある程度年齢がいってると、結婚前提ですか、という感じになるしね。
「ねぇ阿良々木くん。
 私のこと……好き?」

突然訊ねて、執拗に答えを求めるひたぎに、暦は好きだとやむを得ず返答。
本気で楽しみにしていたのにと嘆く暦。
人に儚いと書いて……アララギアララギと読む新しい漢字が誕生した。
本当のところは、人に夢と書いてですよ、もちろん。
ひたぎがそんな凡ミスをするとは思えないので、おそらくはワザとではないだろうか。

戦場ヶ原と呼ぶと、父親と自分のどっちか判らないとか言い出して、名前で呼ばせようとしだす始末。
でもひたぎの方は名前で呼んでくれません。
ひたぎが何を企んでいるのかと訊ねても、答えようとはしないひたぎ。
「お前は、僕のどういうところが好きなんだ?」
「優しいところ。
 可愛いところ。
 私が困っている時にいつでも駆けつけてくれる、王子様みたいなところ」

「僕が悪かった」
少しばかり反撃を試みようとした暦だが、敢えなく玉砕
所詮、口でひたぎに対抗しようとしたところで無駄な足掻きでしかありませんね。そもそも父親の前で好きだとか言うことにも、抵抗がないキャラクターだし。

暦を一瞬ゴミ呼ばわりしたひたぎは、実力テストの結果を訊ねる。
思っていた以上の点が取れたという暦はお礼を言うも、「戦場ヶ原」と呼んでしまうと、またも父親の方に話題をふり、あくまで名前で呼ばせようとする。
てか、そもそも父親を呼び捨てにはしないだろう。
あれだけ勉強を教えたのに、いつもよりも点数が悪かったという展開を期待したのにガッカリだと宣うひたぎ。
まぁそうなればそうなったでひたぎに散々罵られているところですが。
父親はこの馬鹿な会話を聞きながら何を思っているのだろうか。

暦の太ももな撫でながら、褒めるひたぎは、もっと上を目指せるかもしれないと言い、暦さえよければもっと勉強を教えてやると申し出ると、願ってもない話だと受け入れる。
毎日勉強だと言い出したひたぎに、頭の良い奴は毎日勉強するのかと驚くが、それは暦用のプログラム。
「頭の良い人間は、勉強する前から頭が良いのよ」
ひたぎさんの明言は入りました。

しかし翼は毎日のように勉強していると指摘すると、ひたぎは彼女の勉強は自分たちとは世界が違い、翼は「本物」なのだと。
翼が試験で満点を取れないテスト問題の方が出来損ないなのだとまで言ってのける。
それがどれほどのプレッシャーになるのかと考えれば、素直に羨ましいとは思えないひたぎ。
或いは「ストレス」になる、と。
翼ネタへのヒキですが、今回はこれだけ。
翼の話ばかりする暦にひたぎがヤキモチを焼くかとも思ったけど、そういう事もありませんでしたね。
翼はひたぎが認める数少ない存在と言うところだろうか。

底辺にいる暦は毎日のようにコツコツと勉強するしかない。
毎日勉強を教えるというひたぎは、たまには神原駿河の家で勉強を教えると伝える。
駿河とたまには遊ぶという約束をしているから。

暦はそこで、駿河が何故あんなに「エロい」のかと問いかける。
忍野メメですら、駿河をスポーツ少女ではなくエロキャラと認識しているらしい。
それは男性目線であり、ただ自分に正直なだけだと説明。
正直過ぎるというのもどうかと思われるけどな。なでこ編では完全に暴走していたし。
自分の可愛い後輩がエロいという価値基準で見られるのを感化できないというひたぎ。
「阿良々木くんの中の判断基準、価値基準を揺るがせおくのよ。
 そうすれば、神原の事なんてむしろ純真無垢な女の子に見えてくるわ」

暦の耳元で囁き、耳をはむっとアマガミしたひたぎに、暦は降参。
一体何を囁けばそうなるのか。

目的地に到着したひたぎは、先に行って準備をするから暦には父親と歓談でもしておけと言い残して去っていく。
気まずい空気の中、ひたぎの父親が声を掛けてくる。
「娘をよろしく頼むよ」
「ええ!?」
「なんちゃって」
ひたぎ父……
きっと普段冗談を口にしない人だから、冗談が得意じゃないんでよね。
唖然とする暦に、父親は自分が仕事人間であり、ひたぎと過ごす時間をとれていないが、あれほど愉しそうなひたぎを久しぶりに見たという。
ひたぎの母親や病気の事、そしてひたぎに構っていなかった自分のせいもあり、心を閉ざした人間になってしまったひたぎだったが、この間久しぶりに頼み事をされ、仕事を手伝わして欲しいと頼まれ、今回の一件もまた頼まれた。
どちらにも暦が関わっており、ひたぎを変えることの出来た暦をたいしたものだと高く評価する。
自分に対する高い評価に、暦はあくまで偶然でしかなく、ひたぎの怪異を直したのも彼女自身が行ったことで、ただ立ち会っただけなのだと答える。
しかし父親はそれで良いのだという。ただそこにいてあげるという事の重要性を語り、自分が必要とする時にいてやれなかったと悔やむ。
なんだかんだで娘の事を大切に思ってるパパさん。

ひたぎを自慢の娘だと思っている父親は、ひたぎに絶対の信頼をおき、ひたぎの連れてくる男ならば間違いないと確信する。
「娘をよろしく頼むよ、阿良々木くん」
父親に娘を託された暦は自信を持って任せて欲しいとまではまだ言えないのですね。

準備を終えたというひたぎが戻ってくると、これからは若い二人の時間だからと父親には2時間ほどしてから戻ると告げる。
「ありがとう、お父さん」
最後に口にしたこの一言が、ひたぎの気持ちを表していて、お父さんもこの一言だけで大満足なのでしょうね。きっとひたぎと同じで感情表現が苦手だから、素直に喜ぶ様子を見せないのでしょうけど。

何故か頭を地面に向けた姿勢のままで雑木林の中を歩かされる暦は、ここがどこかと訊ねても当然のように答えてくれない。
ビニールシートの敷かれた場所で目を閉じて、横になれと命じられた暦。
ようやく目を開けて良いと告げられて、目を開けた暦の視界に飛び込んできたのはひたぎのシークレットゾーン、はするがモンキー其ノ貳でやっていますので違います。

暦の眼前に広がる満点の星空。
暦は上手く言葉を口にすることも出来ない。
「あれがデネブ、アルタイル、ベガ。
 有名な夏の大三角、ね。
 そこからすーっと横に逸れて、あの辺りが蛇遣い座よ。
 だから蛇座はあの辺りに並んでいる星になるわね。
 あそこのひときわ明るい星が、スピカ。
 だから、あの辺りが乙女座よ」
星について説明するひたぎを横に、暦はひたぎの事を出会いから改めて思い返す。
ここでひたぎの歌に出てくる星に関する言葉も出てきましたが、どうしても今期は星の話題が出ると宙のまにまにが思い浮かぶ。ま、本家の方は、恋人同士にすらなっていませんけどね。
「これで全部よ」
「ん……何が?」
「私が持っているもの、全部。
 勉強を教えてあげられること、可愛い後輩と、ぶっきらぼうなお父さん。
 それにこの星空。
 私が持っているのは、これくらいのもの。
 私が阿良々木くんにあげられるのは、これくらいのもの。
 これくらいで全部」

「全部……」
自分の持つ全てを差し出すほどの深い愛情だという事の表れ。
考えてみれば実際のところは凄く“重たい”愛情で、きっと半端な気持ちでは付き合えない。逆に言えば、暦がそれら全てを受け入れてくれると、ひたぎは信頼しているという事でもあるのだろう。彼女の毒舌にしても、信頼していない相手なら、あれほど言いたい放題には言えないだろうしね。
「まあ、厳密に言えば毒舌暴言があるけれど」
「それはいらない」
「それに、私自身の肉体というのもあるけれど。
 それもいらない?」
「えっ、あ、いや……」
昔、ゲスな男に乱暴されかけた事があり、それと同じ事を暦とするのが怖いというひたぎ。
そうして暦を嫌いになり、彼を失うのが怖いというひたぎの腕を握りしめる暦。
「でもね。
 これまでの私の人生は、あんまり幸福とは言えないものだったけれど。
 不幸だから阿良々木くんの気を引けたというのなら、それで良かったと思うの。
 それくらい私は、阿良々木くんに参ってしまっている。
 だから、絶対になんとかするから。
 少しだけ其れは待って欲しい。
 だから、私が現時点で阿良々木くんにあげられるものは、今のところは、この星空が最後。
 子供の頃、お父さんとお母さんと、私で来たことがあるのよ。
 私の宝物……」

改めて暦に「好き」かと訊ねるひたぎに、暦は躊躇無く「好き」だと答え、ひたぎもまた「好き」だと告げる。
ひたぎの全てが好きだという暦は、逆に自分のどこが好きなのかと問いかける。
「優しいところ。
 可愛いところ。
 私が困っている時にいつでも駆けつけてくれる、王子様みたいなところ」
「嬉しいよ」
車の中で言った台詞は、本音だったという事ですね。
基本的にこの娘の台詞は全て本音なのかもしれないな。そこに毒舌を混ぜることで、本音を隠しているだけなんだろうか。

ひたぎは自分に乱暴をはたらこうとした男が、ひたぎにキスはしようとしなかった事を語る。
ここですぐにひたぎの気持ちを理解して、自分からキスをしようと言い出せないところが暦のダメなところですね。もっともひたぎの方は暦から言い出すのを待つような女性ではありませんから、自分から口にしますけど。
キスキスマークをすると言い出すも、言い方がしっくり来なかったひたぎは、あれこれと言い方を考える。
「キスをしましょう、阿良々木くん」
「最終的に、そう落ち着くか」
命令形でなかっただけマシでしょうか。

――こうして、今日は。
――記念すべき日になった。
――僕たちにとって……


満天の星の下でのファーストキッスというムード満点さ。
なかなかの記念日です。


テレビ版最終回でした。
うん、まぁ最終回っぽいといえば最終回っぽいけど、つばさの話は何も片づいていないどころか、登場すらしませんでしたね。
キャストは僅かに3人という少数っぷりです。
今までの中で最小かな。
続きはネットで!
「つばさキャット其ノ參~其ノ伍」は公式HPにて順次配信予定です。
http://www.bakemonogatari.com/

(10/6 追記 「つばさキャット 其ノ參」は、公式HPにて10月28日配信予定


そういや、DVDのCMの台詞は全て本編で使用されていたものらしいけど、まだどれも出てきていないね。
この後の3話で明らかになるのかな。

次回 第拾参話「つばさキャット 其ノ參」




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