地方の人口減少に伴うローカル線の巨額赤字が、鉄道会社に重くのしかかっている。
JR北海道は4月、令和6年度の赤字が合わせて147億円に上った8路線について、「上下分離方式」の導入を自治体に提案する方針を発表した。
上下分離方式とは、自治体などが線路や車両など設備を保有し、鉄道事業者は運営に専念する方法だ。対象の8路線は宗谷線や釧網線などで、JR北海道では「自社単独では維持が困難だ」と説明している。
大幅な負担増を迫られる自治体からは反発が出ている。北海道の鈴木直道知事は記者会見で「上下分離ありきではなく、沿線地域や関係者と目線を合わせ、経営自立に向け幅広い方策を議論してほしい」と述べ、JR北海道に再考を求めた。
確かに同社の経営努力は、十分とはいえない。だが、このまま赤字が増大すれば列車本数の削減、利用客のさらなる減少という悪循環に陥り、廃線となるのは必至だ。「赤字路線を維持するより、経費負担の少ないバス路線に転換した方がいい」という意見もあるが、安易な廃線は、地方の活力を削(そ)ぐ。
鈴木知事は北海道夕張市長時代、「攻めの廃線」と称してJR夕張支線の廃止を主導し、10億円以上かけてバスターミナルなどを整備した。平成31年の廃線から今年で7年、バスターミナルは札幌便などの廃止で機能しておらず、夕張市の人口は5707人(3月末現在)と廃線時に比べ約3割も減少した。
3月末に全線廃止されたJR留萌(るもい)線でも、3年前に先行廃止された石狩沼田―留萌間の大半を占めていた留萌市の人口が約1割減った。ローカル線の廃止が、沿線市町村の活力を奪っているのだ。
欧州では誰もが自由に移動し、生活に必要な交通手段を享受できる「交通権」が重視されている。フランスでは、高速鉄道の拡充とともにローカル線の再整備が進んでいる。日本でも鉄道やバス、タクシー、ライドシェアなどを組み合わせた公共交通の再整備が急務だ。
その前段階としての上下分離方式導入は、最善ではなくとも現実的な解決策である。ただし、負担を自治体のみに押し付けてはならない。国は、財政措置を含め前面に出て廃線を防ぐべきだ。




