イラン首都で水が完全に枯渇する恐怖 衛星写真が捉えた壊滅的状況
(CNN) 約1500万人が暮らすイラン首都テヘランは水が完全に枯渇する恐怖に見舞われている。
ペゼシュキアン・イラン大統領は先月初めの演説で、12月までにテヘランに雨が降らなければ水を配給制にすると明らかにした。雨不足が続けば、住民は「避難しなければならない」とも述べている。避難は現実的でないと指摘する専門家が多くいる一方で、ペゼシュキアン氏の発言は同国の深刻な状況を反映したものといえる。
テヘランの状況に注目が集まっているが、この危機は同市をはるかに超える規模だ。カリフォルニア大学デービス校の植物科学准教授、モーセン・B・メスガラン氏によると、9月末に雨期に入って以降、イランでは約20州で一滴も雨が降っていないという。ロイター通信によると、同国のダムの約10%は事実上枯渇している。
イランの水問題の根底には、世界の多くの地域と共通点がある。数十年にわたる過剰取水、老朽化し漏水するインフラ、河川に建設されるダムの増加、不適切な管理、汚職疑惑などだ。これらすべてに気候変動が絡み合い、気温上昇と乾燥が進み、何年たっても干上がった貯水池に水が補充されることはない。
イランの現在の干ばつは少なくとも40年間で最悪規模だという。

イラン北部にあるセフィードルードダム。2024年11月10日時点/European Space Agency

イラン北部にあるセフィードルードダム。2025年11月20日時点/European Space Agency
おおむね半乾燥地帯にある同国で水不足は珍しくないが、富裕層や権力者の大半が居住するテヘランが水不足に見舞われることはほとんどない。
テヘラン州水衛生当局によると、同市に水を供給する主要なダムの貯水率はわずか11%程度にとどまる。イランのメフル通信が先月初めに報じた。

テヘラン近郊にあるラティヤンダム。2025年5月8日時点/Getty Images

テヘラン近郊にあるラティヤンダム。2025年11月10日時点/Getty Images
市街地から約24km離れたラティヤンダムの貯水率は9%ほどだ。5月以降、水位が著しく低下した結果、川床がほぼ完全に干上がり、わずかな水流が残るのみとなっている。
テヘラン以外でも、約300万人が住むイラン第2の都市マシュハドに水を供給する貯水池の水位は3%程度にまで落ち込んでいる。ISNAニュースが同市水道当局の話として伝えた。

テヘランに水を供給するアミール・カビールダム。2024年11月17日時点。/European Space Agency

テヘランに水を供給するアミール・カビールダム。2025年11月19日時点。/European Space Agency
イランの状況は短期的な災害ではなく、取り返しのつかない被害をもたらす長期的な大惨事だと、同国の環境省副長官を務めたカベ・マダニ氏は指摘する。
マダニ氏はイランが「水破産」の状態にあると表現し、河川や湖沼、湿地のほか、地下帯水層からの水のくみ上げ速度が、補充速度をはるかに上回っていると述べた。




