G・エリオット・モリス「アメリカ人はトランプへの支持を撤回した」(2026年1月23日)

以上のデータが示唆するのは、アメリカ人は今や自らの選択を後悔しているということだ。有権者の目には、トランプ2.0は失敗だったと映っている。

ちょうど1年前の今週、ドナルド・トランプが第47代アメリカ大統領に就任した。FiftyPlusOne.newsの調査によれば、就任時のトランプの純支持率〔支持率から不支持率を引いた差し引きの値〕は+5だった。波乱に満ちた第1期(2021年1月6日の議事堂襲撃事件の後、過去最低の支持率を叩き出して終わった)にもかかわらず、有権者たちは彼に再びチャンスを与えようとした。

だが、アメリカの有権者たちはもはや彼にチャンスを与えようとしていない。現在の調査では、純支持率は平均で-16となっており、就任当初の+5に比べ大きく落ち込んでいる。この21ポイントの下落は、就任1年目の成績に対する世論の評価として、少なくとも1948年以来最低の記録である。再選を果たした歴代大統領の2期目の支持率と比較しても、第2次トランプ政権の1年目の成績は、調査史上ほぼ最低である。唯一の例外はリチャード・ニクソンだ(当時ニクソンの支持率が低かったのは、ウォーターゲート事件やその他の国家的危機に直面していたためであった)。

いずれにせよ、トランプは歴史的に見て最も評価の低い大統領の1人だ。

ニューヨークタイムズが今週報じたところによると、2024年にトランプが支持を取り付けることに成功した主要なグループ(とりわけ、若者、黒人、ラテン系の有権者)のトランプ支持率は、今や2020年の大統領選(このとき、トランプはバイデンに4.5ポイント差で敗れた)直前よりも低い水準に落ち込んでいる。

トランプの支持率はいかに変化したか

トランプは、自らをホワイトハウスに返り咲かせたグループから、大きく支持を失ったのだ。

というわけで、「今週のチャート」のテーマはこれだ。トランプの歴史的な支持率下落を、文脈に位置づけて整理していく。

I. ウォーターゲート事件後のニクソンを除き、史上最低の評価を得た大統領

絶対水準で見ると、16ポイントの支持率下落というのはひどい結果だ。だが、それがどれほどひどいかを理解するには、歴史的視点に置いて見る必要がある。現在のトランプを第1期目の大統領としてみると、〔1年目で〕これほど低い支持率を叩き出したのは、2017年の彼自身のみである。

第2期トランプ政権はハネムーン期間なしで、低支持率からのスタート

次に、トランプを他の2期目の大統領と比べるために、下のグラフを見てみよう。私は、ドワイト・アイゼンハワー就任以来の2期目の大統領の純支持率を計算した。

2期目に進んだ7人の大統領のうち、第2期の1年目でトランプよりも大きな支持率下落を経験したのは、ニクソンだけだった。ニクソンの純支持率は、ウォーターゲート事件の発覚後に54ポイント下落している(1973年の就任時点で+24だったのが、最後の年には-30となった)。ニクソンはその7か月後に大統領を辞任した。

トランプの21ポイントの下落は、このリストの2番目に来る。これは、以下の大統領たちよりひどい記録である。

  • ジョージ・W・ブッシュ(2005)。純支持率は+5から始まり、1年後には-11となった。この16ポイントの下落は、イラク情勢の悪化と、ハリケーン・カトリーナにより、政権の無能さが明るみになったためだった。
  • バラク・オバマ(2013)。+9から始まり、1年後に-11となった。オバマケア導入時の失敗の中で、19ポイントの下落となった。
  • ドワイト・アイゼンハワー(1957)。+60で始まり、1年後に+32となった。28ポイント下落したが、絶対水準で見れば人気を維持し続けた。

トランプの支持率下落を目立たせているのは、その下落幅の大きさだけでなく(トランプが不人気なことはここ10年近く分かっていたことだ)、むしろその推移である。大統領が時を経るごとに不人気になっていくというのは、歴史的な傾向ではあるが、必ずしもそうなる運命にあるわけではない。実際、レーガンとクリントンは、第2期の1年目に支持率が上昇した(レーガンは6ポイント、クリントンは2ポイント支持率が上昇した)。トランプの支持率の推移は正反対の方向に進んでいる上、彼の支持率はそもそもレーガンやトランプよりも低いところからスタートしている。

II. おかしな優先順位、不人気な政策

トランプの支持率が史上稀にみるひどさなのは、彼が間違った問題に焦点を当て、不人気な政策を実行しているからだ。日曜日のエントリで述べたように、調査が示すところによれば、有権者は「トランプは労力の注ぎどころを間違えている」と考えている。そしてトランプは現在、その不適切な優先順位のせいで大きな痛手を負っている。

先週、CNNとSSRSが報じたところによれば、トランプの政策上の優先順位が正しいと考えている成人は、就任時には45%だったのに、今や36%まで落ちている。アメリカ人の64%は「トランプは物価高の問題に十分に注力していない」と回答している。CBSニュースとYouGovによる別の調査によれば、74%がこの点に同意している。

しかし、トランプが注力している領域においてすら、有権者はトランプの政策を好んでいない。私が平均値を集計したところ、トランプの経済政策に対する支持率は、就任時は+10だったのが、現在は-15にまで下がっており、26ポイントの下落となっている。インフレについては支持率がさらに急落しており、+6から-24まで下がっている(31ポイントの下落)。トランプの看板政策とされる移民政策すら、支持率は+9から-7に下落した。

トランプの支持率は全ての重要問題で低迷

有権者は、トランプが移民や強制送還、関税に関して労力を注ぎ過ぎだと考えている。だがそうした政策領域においてすら、有権者はトランプの政策を好んでいない。トランプの移民政策の支持率は、私の集計したデータの平均値でも、過去最低の値を叩き出しており、強制送還政策への支持率も昨年の夏以来の低水準に近づいている。有権者は現在、移民取り締まりにおける暴力に引いており、ICEを廃止するといった左寄りの政策がこれまでになく人気となっている。

医療政策への支持率も似たようなもので、現在は-12ポイントまで下がっている。要因としては、オバマケアの削減と上がり続ける医療費への懸念がある。貿易政策に関して言うと、製造業を復興させるはずだった関税は73,000人分の雇用喪失を生み出し、日用品の価格を高騰させた。トランプが一部の関税を引っ込めたため、貿易政策に関する支持率は、5月には-20だったのが、現在は-15まで回復している。それでも、政権開始当初からするとほぼ30ポイントの下落だ。

外交政策に関しても、現在の支持率は-10で、政権開始時から20ポイントの下落となっている。トランプのここ最近の行動は、事態を彼にとってますます不都合なものにする可能性が高い。今年1月のEconomist/YouGovの調査では、アメリカによる「軍事力を用いたグリーンランドの領有」を支持しているのはアメリカ人の9%だけだった。9%である。参考までに言っておくと、これは月面着陸が嘘だと信じているアメリカ人の割合にほぼ等しい。

こうした数値のどれをとっても、状況がトランプにとって有利になっているとは到底言えない。このパターンは、あらゆる領域で一貫して見られる。有権者はトランプに対し、物価を引き下げ、アメリカの国境を守るよう求めていた。だがトランプは、物価高を悪化させ、有権者が認めていた水準よりもはるかに大胆な強制送還政策を実行してきた。トランプは他の領域でも、誰も頼んでいないのに、自分が昔から温めてきたプロジェクトを追求し、有権者の声を完全に無視してきた。そうして、納税者を犠牲にして私腹を肥やしているのだ

III. トランプが不人気であるという事実はなぜ重要なのか

オンライン上では、トランプは一般世論を気にかけていないと言われがちだ。では、以上のことはなぜ重要なのだろうか? まず言っておくと、トランプが市民の意見を気にかけていないのかどうか、私にはよく分からない。トランプは、ときたま自分に都合の良い世論調査が出ると、それをしきりに強調するし、アメリカ人が自身の政策に賛同しているかのように偽装することも多い。世論を全く気にかけない人間が、世論を偽装するためにここまでエネルギーを費やすだろうか? こうした主張は大仰に言いたて過ぎであり、かえって説得力に欠ける [1]訳注:原文は“The lady doth protest too much, methinks”で、シェイクスピアの「ハムレット」におけるセリフ。

だが、トランプが世論調査を本当に全く気にかけていないとしても、私たちはそうであるべきではない。合衆国憲法の起草者たちは、政府は「被治者からの同意からのみ正当な権力」を得るというラディカルな思想に基づいて、アメリカの政治制度を設計した。これは1776年のジェファソンの言葉であり、今もアメリカの民主的正統性の要であり続けている。世論調査は、被治者による同意を測る道具だ。そして、私が自著で述べたように、世論調査をウォッチしている人間は、政府と被治者の繋ぎ役となる責任を負う。そうすることで、市民はさもなくば持ちえなかった影響力を得るのである。

合衆国憲法の起草者たちは、行政権力と公的な説明責任の緊張関係を理解しており、だからこそ行政権を抑制するシステムを設計したのだ。

これを現在のトランプの状況に引き付けて考えてみよう。憲法起草者たちは、行政府の行き過ぎた行動を強く懸念しており、3つの部門が権力を共有するという形で政府を設計した。『フェデラリスト』第70編でハミルトンは、〔大統領という〕1人の長を持つ行政府は、権限が分散している議会に比べ、市民から「より厳しく監視され、より疑われやすい」だろうと論じている。説明責任は、専制への防御壁だというわけである。マディソンは『フェデラリスト』第47編でこの点をもっとハッキリと述べている。「立法、行政、司法の権力全てを同じ人間の手に集中させることは、まさに専制の定義そのものだろう」。彼らは、大統領選挙よりも議会選挙の頻度を多くすることで、統制が利かなくなった行政府を立法府が抑制できるようにしたのだ。

トランプ2.0が発足して1年経った。この1年を振り返ると、私たちが目撃したのは、ほとんどあらゆる機会で、被治者の願いに反した行動をとる大統領の姿であった。トランプが行っていることとアメリカ人が望んでいることの乖離は、民主主義の根幹に関わる中心的な問題である。為政者が国民の選好に明確に反した統治を、一般市民に多大な犠牲を強いる形で繰り返し行うならば、社会契約は破棄されたと言える。

世論が60対40、70対30で割れている争点において、大統領が常に間違った側につけば、普通は政治資本を失い、選挙での敗北という代償を払うことになる。トランプは、自身の行動が他ならぬ自分に多大な代償をもたらすことを承知している。だからこそ、中間選挙をキャンセルするという「ジョーク」を飛ばしているのだ。トランプは、今日選挙が行われればどんなことになるのか分かっている。共和党の敗北である。

2024年、深刻なアフォーダビリティ問題に直面し(そして、第1次トランプ政権とバイデン/ハリスの実績に関するたくさんのデマを信じ込んで)、アメリカ人はトランプに、問題を解決させるチャンスをもう1度与えた。だが以上のデータが示唆するのは、アメリカ人は今や自らの選択を後悔しているということだ。有権者の目には、トランプ2.0は失敗だったと映っている。それはトランプにとっては重要なことではないかもしれないが、私たちにとっては重要であるはずだ。

* * *

追記:トランプは自らが市民の支持を失っていることに気づいている、という主張を裏付けるさらなる証拠として。

ドナルド・トランプ:詐欺的な世論調査は事実上、犯罪とすべきだ。例えば2020年の選挙期間中、反トランプのメディアはわざと間違った世論調査を報じていた。メディアの人間は自分たちが何をしているのか分かっていた。選挙に影響を与えようとしていたのだ。だが私は一般投票で勝利し、7つのスイングステート(激戦州)全てで勝利し、選挙人団で圧勝し、郡においても2750対525で勝利した。これ以上ないほどの結果だが、斜陽のニューヨーク・タイムズ、ABCフェイクニュース、NBCフェイクニュース、CBSフェイクニュース、低視聴率のCNN、あるいは今や消滅したMSDNCを見てみると、世論調査はいずれも詐欺的で、最終的な結果とはかけ離れていた。詐欺的な世論調査には何らかの行動を起こす必要がある。FOXニュースやウォールストリート・ジャーナルの世論調査でさえ、長年にわたってひどいものだった! 選挙結果を正確に予測する優れた調査会社は存在するが、メディアはどうしてもそうした調査を使おうとしない。アメリカのジャーナリズムにこんなことが起きているのは悲しいことだ。だが私は、世論調査の詐欺がこれ以上進行するのを止めるために、できることを全てするつもりだ!

[G. Elliott Morris, The consent of the governed has been withdrawn, Strength in Numbers, 2026/1/23.]

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1 訳注:原文は“The lady doth protest too much, methinks”で、シェイクスピアの「ハムレット」におけるセリフ。
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