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紙子ってスゴイよね〜、いつも堂々としてて、かっこよくて憧れちゃう〜。私もそうなりたいけど〜、恥じらいが強すぎるから〜。あ〜、一度は女を捨ててみたい〜」

「えー!? でも私はユカリみたいに奥ゆかしいかんじにあこがれてるよ〜。ユカリの “一人じゃ何もできない” って雰囲気、イイよね〜。男の人がなんでもしてくれそう〜。何でも自分でやっちゃう私のムダな行動力とかホントいらないし〜」

こんな感じの、一見ほめ言葉なんだけど巧妙に自慢を差し込んでいるというか、褒めていると見せかけて相手をおとしめて「私の方が上!」と暗に示すような会話を繰り広げてしまったことはありませんか?

そう、それがマウンティング。この会話は漫画家の瀧波ユカリさんとコラムニスト犬山紙子さんが先日出版した『女は笑顔で殴りあう〜マウンティング女子の実態』に書かれているものです。

先日、この『女は笑顔で殴りあう〜マウンティング女子の実態』の出版を記念して、青山ブックセンターで瀧波ユカリさんと犬山紙子さんの対談があるということで、参加してきました! 

■マウンティングとは?

マウンティングとは、犬などの動物が下位の者のお尻に乗ったりして、自分の優位を知らしめること。人間は実際にお尻に乗ったりはしないけれど、会話を使ってマウンティング攻撃を相手に仕掛けることもあるのです。

イベントでは、瀧波さんと犬山さんのマウンティングのロールプレイから、おふたりが過去にマウンティングしてしまったこと、マウンティングされたこと、おふたりがtwitterで呼びかけて集まったマウンティング話が紹介されました。

そこで語られていたマウンティング事例をあげてみると……

・東京から仙台に帰郷して、「へえ、仙台にもこんなおしゃれなお店、できたんだ」と友達や家族に語った(=「東京にいる私」のおしゃれ度の高さを上から目線によってアピール)

「これを着たら絶対にかわいくなるよ! もっとお化粧はこうしなよ! ○子は元が良いんだから」とおしゃれレイプ(=相手が好きかどうかもわからないオシャレを上から目線で強要してレイプのように相手の尊厳を踏みにじる)

「あなたと私の仲だから言うけれど、仕事はこうしたほうがいい……」と自分のことを棚に上げて、教えを乞われてもいないのに講釈(=二人の仲という大義名分を振りかざして、上から目線でアドバイス)

ううう……。記者は身に覚えがありすぎて胸が痛いです……。皆さんはいかが?

■いろいろあるマウンティングのタイプ

相手を自分よりも下に位置づけようとするのがマウンティングですが、瀧波さんと犬山さんによると、マウンティングにはタイプがあるのだとか。

先の「へえ、仙台にもこんなおしゃれなお店、できたんだ」という発言は「事情通型」と呼ばれるタイプ。おしゃれレイプは「カウンセラー型」、「あなたと私の仲だから……」は「親友型」に分類されます。

その他にも、『女は笑顔で殴りあう〜マウンティング女子の実態』には様々なタイプや、そのタイプ別の得意技ともいえるマウンティング・テクニックが満載。イベントではその様々なテクニックを使って、マウンティングの実態が紹介されていました。

■マウンティングの回避策は?

イベントの最後には来場者からの質問が。「ナイスバディな姉に『細身の服が似合っていいねえ。私は胸が気になっちゃって』とマウンティングされて困っている」「後輩の結婚式でどうしてもマウンティング発言してしまう」と言った相談が寄せられました。

瀧波さんと犬山さんからのマウンティングの回避策アドバイスは……

・自分がマウンティスト(マウンティングする人)の場合、どんなタイプのマウンティングをしてしまうか把握し、少しずつやらないように踏みとどまる

・マウンティストに、そっと『女は笑顔で殴りあう〜マウンティング女子の実態』を手渡して理解を促す

・マウンティストが書籍を渡せない相手なら離れるか、離れられない相手(家族など)なら「傷つくからやめて」ちゃんと伝える

ということ。

■「マウンティングしないでよ!」と言える風土を!

瀧波さんは「『マウンティング』という言葉を浸透させて、『やだー、もうマウンティングしないでよ』と気楽に言える風土が作りたかった」ということがこの本を出版する理由になったと語ります。

確かに、みんなが「マウンティング」という言葉を知れば、「うわ、やだ私、マウンティングしちゃってたわ」と気づけるし、マウンティングバトルが激化する前に「やだ、マウンティングされるー」と冗談めかして言ってしまえる。そうなれば大きな問題に発展しなそう。

マウンティングの根底にあるのはコンプレックスなのです。コンプレックスがあるから、自分を大きく見せようとしてマウンティングしてしまうんです。だからマウンティングをすることは「私、コンプレックスを持ってるからねえ」とアピールすることになってしまう。恥ずかしいじゃないの。

みんなで脱マウンティング、しませんか?

【書籍情報】
書籍名:『女は笑顔で殴りあう〜マウンティング女子の実態』
著書:瀧波ユカリ 犬山紙子
出版社:筑摩書房

取材・執筆=FelixSayaka (c) Pouch