陸山会公判 指定弁護士が控訴趣意書を提出 「虚偽記載への故意」立証焦点

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120621-00000119-san-soci

控訴趣意書に対し、小沢被告の弁護側は、高裁の指定する期日までに提出する答弁書で反論する。控訴審では被告の出廷義務が定められていないが、関係者によると、小沢被告は出廷の意向を示しているという。
指定弁護士側は「違法性の認識については1審の争点ではなかったので小沢被告に質問していなかった。控訴審でも被告人質問が必要になるかもしれない」としているが、弁護団の一人は「1審で全て話しており、必要はない」と反論。指定弁護士側から請求があっても同意しない方針を示している。

私の予想では、控訴趣意書の提出期限が今秋か今年末くらいではないかと思っていたのですが、高裁による提出期限の指定が早く、指定弁護士も延長請求をせず控訴趣意書を提出したことで、公判は、おそらく今秋には始まり、判決も、早ければ今年中には出そうな状況ですね。
高裁としても、小沢氏をいつまでも被告人の座にさらしつづけている、といった批判をかわしたいといった思惑もあったのかもしれません。
高裁での被告人質問を実施するかどうかはケースバイケースですが、指定弁護士が被告人質問を事実取調べの一環として請求した場合、採用されるかどうかは、高裁がこの事件をどう見るかによるでしょう。無罪は動かない、と見れば実施ないでしょうし、そこに疑問を持つようであれば(その可能性は低いと思いますが)、被告人、弁護人に弁明の機会を与えるという意味も含め、被告人質問を行う可能性はあります。その点を含め、指定弁護士が請求する事実取調べ請求への裁判所の対応で、ある程度、裁判所の心証は見えてくるのではないかと思います。

2012年06月20日のツイート

違法ダウンロードの罰則化法案成立 ユーチューブやニコ動は大丈夫なのか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120620-00000008-jct-sci

ユーチューブやニコニコ動画では、動画を一時ファイルとして保存して再生するプログレッシブダウンロードの方式が採られているため、「アクセス出来ない様にしないと我が家でも逮捕者出ちゃう」といった疑問さえ上がった。

なお、ユーチューブなどのプログレッシブダウンロードやストリーミングについては、「2年前の法改正時と同じで、視聴するだけなら違法には当たりません」と説明する。ただ、一時ファイルを別のソフトで視聴したり、別の記録媒体に保存したりする場合は違法になるという。

罰則がないと実効性が伴いませんので

上記のようなプログレッシブダウンロード等が、処罰の対象となる違法ダウンロードにあたらない、というのは、文化庁が言っているだけで、裁判所がそのように判断しているわけではありませんから、刑罰法令の解釈、適用の最終かつ決定的な判断権者である裁判所によって、そういった行為が違法であり処罰されるものである、と判断される可能性はあるでしょうね。
違法ダウンロード罪は親告罪になっていますが、そもそも、権利者等が告訴しようと思っても、違法ダウンロードを、いつ、誰が、どこで、どのようにして行っているのか、捜査してみないとまったくわかりませんから、誰が、という点は氏名不詳でも告訴状が出せるとしても、その他の点が皆目不明では、告訴事実が特定できず、告訴は不可能です。結局、警察捜査の結果により違法ダウンロードをした者やその行為内容が判明し(ログの解析等により)、その結果を警察から「教えてもらって」、はじめて告訴できる、という流れになるはずです。親告罪、といっても、実態は、何をどの程度立件するかは警察のさじ加減と権利者等との談合次第、という、実効性どころか、恣意性や不公平さ、不明朗さが大きな、巨大なグレーゾーンができてしまい、大多数の善良な一般国民が「刑罰」という威嚇の中で怯えながらインターネットを使わざるを得ない(ごく少数の悪質な違法ダウンロード者は捜査の対象にならないよう巧妙に痕跡を残さないでしょう)、まことに不幸な世の中になってしまった、ということでしょう。