名馬列伝 エイダンビターラ
- 2022/04/07
- 12:00
※この作品は未来日記 2022年4月6日～4月10日を元にしたネタです。
エイダンビターラは日本で最初にキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制した競走馬。
父はシンボリクリスエス、母父はメジロデュレン。毛色は鹿毛。好きな食べ物はニンジンとリンゴ。
馬主兼生産者は北海道沙流郡日高町にある東原牧場の東原牧夫氏。
東原氏は元JRA厩務員で父の死後に実家の牧場を継いだという異色の経歴の持ち主。
牧場長となった氏は実家の基幹牝馬であるエイダンマッキンリとシンボリクリスエスを交配させる。そして生まれたのが本馬であった。
東原氏はこの馬に大きな期待をかけていたが幼駒時代のエイダンビターラは気性が激しくなかなか馴致が出来ず、競走馬として大成するかどうかは疑問視されていた。セリの会場でも暴れた事で買い手がつかず主取りとなった。
しかし、競走馬としてデビューすると新馬戦こそブービーの6着だったが2戦目で初勝利を挙げ、その後は3連勝して皐月賞に出走し8番人気ながらも4着と健闘した。続く日本ダービーでは3番人気に支持されたが13着に敗れた。秋のセントライト記念でも掲示板を外して菊花賞への出走権を得る事は出来なかった。
その後、福島記念を勝利して有馬記念に出走するも11着に敗れた。ちなみにこの時エイダンビターラに騎乗したのは武豊であり、その武曰く「レースに集中出来ていない」状態であったと言う。東原氏はこのレースの事を後に「私の人生で一番つまらない競馬だった」と述懐している。
4歳になったビターラは春の天皇賞に挑戦。7番人気ではあったが最終直線に入ると大外から一気に追い込み、ゴール前で先頭に立つとそのまま他馬を押し切って優勝した。なおこの時の鞍上は横山典弘騎手であった。
次走は宝塚記念に挑戦し5着に終わったものの秋初戦の札幌記念では1分58秒5のレコードタイムで優勝し、さらにジャパンカップにも出走し3着に入った。
洋芝で結果を出した事から調教師の野崎昭二は海外遠征を計画し、オーナーの東原氏も了承。
5歳初戦はドバイへ遠征する事になった。ドバイシーマクラシックではレース中盤に馬群に包まれるも最後の直線で果敢に攻めて抜け出し、後続を引き離す圧勝劇を演じた。父シンボリクリスエスにとってはこれが産駒の初海外GⅠ制覇となった。
陣営はキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを目標に据え、まず前哨戦に選んだロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズステークスでは好位追走から直線で抜け出すと、後方から追い込んできたサーペントダンサーを一馬身半差退けて優勝。ヨーロッパにもその名を轟かせる。東原氏は「日本で走った時よりも遥かに強い。世界のトップレベルの中で鍛えられてきたんだから当然だね」と嬉しげに語っている。
そして本番のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでは道中後方待機策を採り、直線で内を突いて伸びると最後は他馬を突き放し完勝した（2着にはサーペントダンサーが入った）
この勝利は日本でも大きく報じられ、日本調教馬では初の快挙に「ジャパンマジック」という異名までついた。
その後、満を持して挑んだ凱旋門賞では道中中団に控える作戦に出たが直線で伸び切れず4着に敗れた。この後、脚部不安を発症したため現役を引退する事が決まった。
東原氏は「ファンからすると残念かもしれないが、私からするとビターラは十分すぎるほどに頑張ってくれた。やり残した事もない」とコメント。
引退後は種牡馬となり、初年度の種付け料は500万円。
ノーザンテーストやサンデーサイレンスの血を引く牝馬にも問題なく種付け出来る事から多くの肌馬を集め、初年度から二冠牝馬であるテイエムアクエリアなどを送り出したが、活躍馬が極端に牝馬に偏っていたためリーディングサイアーを経験しながらも後継種牡馬には恵まれなかった。
また種牡馬時代のエピソードとしてテレビ番組の企画でサーペントダンサーと共演した際に種付けと勘違いして5本足になったというのものがある。
なお重賞未勝利ながら種付け料が高騰したビターラの代替として種牡馬入りした全弟のウインファビアは零細牧場から重宝され、地方競馬やダート短距離路線で活躍した。
本馬について東原氏は「私の誇り」としながらも「気性が荒くて乗せるのが難しい馬だったが、一度乗りこなすとその強さを発揮するタイプだった。あの馬の敵は他馬ではなく自分自身だと思う」と評している。
また調教師の野崎氏も「我ながらあれほど気性の荒い馬を最後までよくぞ飼い慣らしたものだと思うよ。もちろんビターラはよく頑張った」と語っている。
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