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  デジタル・クワルナフ
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1931年に出版された世界各国の様子を書いた本。新光社『世界地理風俗大系』。当時の写真がいっぱい。
web拍手レス

>「北海ハイジャック」という映画を思い出してしまいました。大事に至らなくてよかった!
結局、何の意図でとかは報道されませんでしたね。

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さあ、ウマウマとマウマウを聞き違える馬頭がやってきましたよ。

アクセス女囚コマンド


なんか先月のアクセスで検索ワードのトップが「地獄の女囚コマンド」になってました。微妙に嬉しくないような、むしろ嬉しいような! アーッ!




そういや昨日は結局雪はたいして積もりませんでしたね。よかった。

友人に『今日の早川さん』(COCO著)なる漫画があることを教えられました。
これはなかなか楽しそうですね。ちょっと買ってみますか。

北海石油施設で爆弾騒ぎ=英(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008021100019
この女性がアドリエーン・ラルッサで、セガールが空軍のヘリでやって来るとかの超展開だったら笑いますが。

それはともかく。
昔の本はやり場に困ります。

世界地理風俗大系まとめ


『世界地理風俗大系』

(新光社。昭和六年=1931年)
8巻・サヴィエート・ロシア
9巻・北欧諸国編
11巻・ドイツ編
15巻・中欧諸国
16巻・バルカン及びポーランド
別巻・世界風景大観

現在の誠文堂新光社のことだと思われる新光社が、1931年という絶妙な年に出した地誌本。写真満載で各国の地勢・文化・風俗などを紹介しています。
古本屋の店頭で一冊100円だか200円だかで安売りしてたので、つい買ってしまった本。写真だけでも見てて楽しいです。



世界地理風俗大系「サヴェエート・ロシヤ」編01


これはロシア編の一部です。まだソビエト(ソヴィエト)ってのが定着してなかったのか、「サヴェエート・ロシヤ」編とか書かれてます。紹介される写真は、ソ連の「人民の国家」「変革された社会」「諸民族」「広大多様な領土」のイメージが前面に出てます。ロシア編は子供の写真が多いような気も。



世界地理風俗大系「サヴェエート・ロシヤ」編02


地図とかも少し挟んであったりします。
歴史に関してはこのロシア編だとはじめにこんなこと書かれてます。「ロシヤは決して生れながらの専制国家ではない。ルーリックの建国以来約一千年は、残忍酷薄な民族闘争を経(たて)とし、陰鬱悲惨な階級闘争を緯(よこ)として織り出した独裁専制と反逆陰謀との歴史である」とか。けど、この文はともかく、全体的にはそれほど偏ったこととか間違ったことは書かれてないです。(この本だとキプチャク汗のことを「欽察汗」と書かれてます。中国だと確かそう書いてましたね)
ちなみにこの本、総ルビ本である。完全に子供向けとかではないですが、全年齢対応、みたいな作り。



世界地理風俗大系「サヴェエート・ロシヤ」編03


写真はモノクロがほとんど。一部にこうした色で印刷してあるものもあります。
これは物作りや漁の写真。意外と軍事関連の写真とかは少なめ。

このページじゃないですが、赤衛軍の機動演習中の写真があって、「赤衛軍はなかなかモダーンで立派な風彩をしている。兵卒たちは鋼鉄ヘルメットやうのものをかぶるがフランス軍隊と非常によく似ている。軍規も厳しゆく旗麾鮮明なだけに最近次第に強大となって世界資本主義国家の頭痛の種」とあります。



世界地理風俗大系ドイツ編01


今度はドイツ編。これはハンブルクの市内の水路での写真のようです。ヴェネチアみたいな「裏路地が水路」な風景があって素敵。右の写真は古い荷揚げ場。



世界地理風俗大系ドイツ編02


左の写真は共産党かなんかの大規模デモ。背後の建物は「旧カイザーの王城」ってありますが、なんでしょうね。右下の写真はサイドカーに警官が五人も乗ってる!



世界地理風俗大系ドイツ編03


ドイツ編で一番ふるってたキャプションがこの装甲車の。
「邁進する装甲自動車   近代科学の先端を行くものは軍器であらう。それには資本主義国家の魂と生命とが通っているのだ。ドイツもまた左翼の反対も物かは諸国の仲間から外れやうとはしない。列国にタンクの製造を禁止されれば装甲自動車と姿を変じさせて出現させる。」
いやー、一度でいいから言ってみたいですね。「それには資本主義国家の魂と生命とが通っているのだ!」って。



世界地理風俗大系ソ連ロシア編コーカサスの戦士


写真の中で一番かっこよかったのが、このソビエト・ロシア編にあったコーカサスの戦士たちの写真。「その性質は極めて勇敢で死を恐れずコーカサス兵の攻撃は敵をしておののかしめた。」


このシリーズは、なぜか16巻でバルカン半島と一緒にポーランドも紹介してます。中欧に入れればよかったような気もしますが、ページ数の関係とか?
ポーランドの歴史について、君主人名が「ミエスズロ太公」とか「ムシュカ(或はミセコ)」とかなってて奇妙。「ミエスズロ」と「ムシュカ(ミセコ)」はともにミェシュコ1世のこと言ってるみたいです。

ドイツ編の歴史の紹介の部分を読んでて面白かったのは、1930年の選挙で、ヒトラー率いる国家社会主義ドイツ労働者党(国粋社会党と書かれています)が躍進した後の状況について。
「殊に世界を驚かしたのは、これまで度々右翼の陰謀を策して問題を起してきたヒットラーが、公然、国粋社会党をして107名の大政党の首領として現れたことである。(中略)ここにおいてか、何人も発する疑問は、このやうな状態において、ドイツの憲政は遂にどこへ行くか、と。これは誰しも発する言であるが、何人もそれに答へ得ないであらう。或ものは答へるかも知れぬ。一見して、現在の状況は、ドーズ案施行前の混乱期に似ている。現在の世界恐慌の存続する限り、ドイツもまたその混沌から脱し得ない道理である。しかし、歴史は繰返す。再び安定の時期が来やう、と。けれども、何故にドイツでは、財界の混乱は右のやうな形態における政局の混乱を齎(もたら)すのであらううか。殊に今回のやうな国粋社会党及び共産党の如き左右両極の進出は、やがてはまた波浪の引くがやうに退くであらう、といって説くだけでは、何等ドイツの特殊事情を説くことにならぬ。これらの両党の指導原理は、中間諸党のそれと甚だしく異なっている。ドイツの大衆は、殊にその青年達は、少なくとも中間諸党の指導精神に不満なのではあるまいか。しからば、これら次の時代を形成する青年たちは、如何なるドイツを創造しようとするのか。それらに答へるためには、本項の課題を逸脱する。広く他の項目を参照して、読者自ら研究せられんことを希望するものである。」(P66より抜粋。)
意外と的確な分析してますね。まあ、これ書いた人にとって、第2次世界大戦が予想の斜め上を行く展開だったのかどうかはともかく、よもや、あそこまでやっちゃうとは想定外だったんじゃないかな。

写真も非常に楽しめるのですが、文章そのものもツッコミどころがあっていいです。あと、地図が当時の国境線なので興奮します。




藤田文庫蔵書」の印。


おまけ。
これ、奥付のとこ見てたら、なんかスタンプが押してある。
上の赤いのは「藤田文庫蔵書」の印。
左の青いのは「誠光教本院 昭6.3.21 藤田文庫」。
どうやらこれは宗教団体の図書室にあった本のようですね。

誠光教(RIRC 宗教教団情報データベース)
http://www.rirc.or.jp/data/output.cgi?id=99070226
福島正則に関係があった神社の系統らしい新興宗教(?)

最後に変なおまけがつきましたね。



参照サイト
誠文堂新光社
http://www.seibundo-shinkosha.net/
RIRC(財団法人 国際宗教研究所 宗教情報リサーチセンター)
http://www.rirc.or.jp/

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by xwablog | 2008-02-11 07:36 | 書庫
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