2025年度入社の新卒社員の内定式も終わり、多くの企業では人事部を中心に新人社員の受け入れ態勢を整えていることだろう。全社員共通のスキルはもちろん、マーケターに必須の専門スキルをどのように新人に教育していくかは多くの企業にとって悩みの種だ。日経クロストレンドは、24年春に行われた博報堂の新卒社員の新人研修に潜入取材。全貌を明らかにする。
「私たちの班は、課題となったブランドを『いつでもどこでも溶け込める究極の『サブキャラ』」と位置付けました」
2024年5月15日、入社間もない新卒の新入社員が、緊張した面持ちでプレゼンテーションを始める。社則では服装は自由だが、プレゼンの代表者はこの日に備えたスーツ姿だ。
その眼前に座るのは、講師役の先輩社員、博報堂ミライの事業室ビジネスデザインディレクターの伊勢壮太氏。時折、プレゼン内容に愛想よく大きく相づちを打ちながらも、視線は鋭い。
「プレゼン終盤にあった、つまらない時間を幸せにできる商品だ、という仮説がとてもよかった」。新入社員が緊張のプレゼンを終えた後、伊勢氏が講評する。同班は優秀賞に選ばれた。
その一方、時間に間に合わず未完成の状態で、おちゃらけた雰囲気でプレゼンに臨んだ班に対しては、「聞く耳を持てない」といった厳しい指摘も飛び交う――。
これは、博報堂で半世紀以上続く新入社員研修の一幕だ。広告代理店では、実際のブランドを例にしてプランニングを考案しプレゼンする新入社員研修は、多くの会社で行われている。だが、博報堂のそれは一味異なる。
単にプランニングを考える研修ではなく、「KJ法を基にした博報堂独自の研修」として、「KJ法」という発想法にスポットを当てた研修を実施しているのだ。
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