東京大学発のスタートアップが「金の鉱脈」を掘り当てた。サブスクリプション型のオンライン音楽レッスンサービス「Phonim」を事業化したフォニム(東京・千代田)である。既存の音楽教室が見過ごしてきた20代~50代前半の人々をターゲットにして、ユーザーにも講師にも使い勝手のよいサービスを提供するビジネスモデルをつくり上げた。
「2020年7月にオンライン音楽レッスンサービス『Phonim』を開始して以来、毎月加入する会員数が前月比20~30%増で伸びている。21年度中には累計会員数が2000~3000人に達する。その後も成長が確実に見込める」
フォニムの共同創業者の1人で代表取締役の宍戸光達氏はこう言って胸を張る。同社のビジネスの仕組みはこんな具合だ。
まず習ってみたいというニーズの多そうな楽器をフォニムで選定。その楽器の著名な演奏家1人か2人に講師を依頼し、スタジオを借り切って毎月1回程度のペースで演奏シーンを録画して独自の動画教材を用意する。その際、JASRAC(日本音楽著作権協会)と提携し、著作権使用料を支払っているので、はやりの曲や現代の曲を原則自由に教材に使えるのが特徴だ。そのうえでPhonimのWebサイトに当該楽器のオンラインレッスン講座を開設し、会員募集を始める。
その楽器を習いたいユーザーは、毎月1980円(税込み)の料金を支払ってPhonimに会員として加入。時間に余裕のあるときに、タブレット端末などを使い、Webブラウザーで動画教材を見ながら、楽器の演奏を練習するのだ。動画教材は、例えば5日ごとに、練習するのにちょうどよい1回10~20分の分量で、ユーザーの手元に送られてくる。
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