日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2021年ヒット予測ランキング」の4位に「Loop」が選ばれた。大手企業が容器のリユースに取り組み、自然な形で暮らしがサステナブルになる。
※日経トレンディ2020年12月号の記事を再構成
【4位】「Loop」
サステナブルプロジェクト始動
大手企業が続々参加。「ぜひ使いたい」容器が企業への愛着を生む
紙ストロー、マイボトル、植物肉バーガー……。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の重要性が叫ばれるが、大半の人の本音は「エコは大切だし実践したいが正直、ちょっと面倒」というもの。そんな日本人消費者をサステナブル消費へと向かわせる一大プロジェクトが2021年に始動する。
それが3月にスタートする「Loop(ループ)」だ。アース製薬、味の素、江崎グリコ、エステー、大塚製薬、キッコーマン、キヤノン、キリンビール、資生堂、P&Gジャパン、ユニ・チャームといった大手消費財メーカーやスーパーなど22社が大同団結する。取り組むのは、容器のリユースだ。
仕掛け人は、米国のスタートアップ企業テラサイクル。商品の入った容器を企業の財産と再定義し、使い終わったらメーカーに返却してもらい、これをメーカーが洗浄・再利用する循環ネットワークを提唱。「そもそも、捨てることになるプラスチック容器を不要にしてしまえば、廃プラ問題にけりを付けられる。そう考えて生まれたのがLoop」(テラサイクルジャパンの冨田大介ディレクター)。
多くのメーカーを引き付ける理由は、巧みなビジネスモデルにある。何回も使い回すために頑丈な必要である点を逆手にとり、ステンレスやガラス素材を用いて人に自慢したくなる個性的なデザインを採用していることだ。容器欲しさにサービスを使い始めると、自然な形で暮らしがサステナブルになる。結果、プラスチックゴミが家庭から減り、使いこなすほど社会のSDGs推進に一役買うわけだ。
こうした点が評価され、19年5月に先行スタートした米国やフランスでは、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や英蘭ユニリーバ、スイスのネスレなどグローバル・メガ・ブランドがこぞって参画。現在約200超ブランドの500以上の商品がLoopのネットワーク上を行き交っている。契約を待つ利用希望者が一時、数万人に膨れ上がるほど人気になっている。
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