※日経トレンディ 2019年7月号の記事を再構成
Jリーグが盛り上がっている。強豪クラブはなぜ“強い”のか、本連載ではビジネス面から徹底解剖。集客力や売上高など8つのポイントからJ1、J2、J3、全55クラブのビジネスマネジメント力をランキング化した。浦和、鹿島、横浜FM……ビッグクラブが“強い”ワケを、各クラブの最新戦略からひもとく。
今、見ずしていつ見るか──。Jリーグがとにかく熱くなってきた。昨年からイニエスタにビジャ、トーレスと世界屈指のスーパースターが続々来日。17歳で日本代表に選出された、久保建英という日本人選手の超新星も登場した。多くのレジェンドが彩った黎明期の華々しさが、ピッチに戻ってきた。
発足当初よりも、Jリーグは格段に近い存在になった。クラブ数は10から、39都道府県55クラブに増加。2016年には英パフォーム・グループが運営するスポーツ映像配信サービスのDAZNと放映権契約を締結。スマホにPCと、スタジアム以外での観戦スタイルも自由になった。10年間で約2100億円もの契約金もJリーグを活性化。九州産業大学の福田拓哉准教授は、「発足当時は欧州主要リーグのクラブと同じか、それ以上に資金力があったので、海外の大物が呼べた。当時ほどではないが、DAZNとの放映権契約による資金流入で、選手獲得の競争力が戻りつつある」と分析する。
7月19日にはJリーグ連覇中の川崎フロンターレと、英国の強豪チェルシーの試合が日産スタジアムで開催されるなど、Jクラブが海外のビッグクラブと対戦する機会も増えている。
強いクラブには必ず“ワケ”がある。それを探るべく、ビジネス面からJリーグ各クラブを徹底解剖した。
各クラブの公開情報を基に、「平均入場者数」や「新規観戦者割合」「SNSフォロワー数」など全13指標をポイント化して、デロイト トーマツ グループが全クラブをランキングした「Jリーグマネジメントカップ」という資料がある。このうち8指標に絞って再計算し、独自の「ビジネスマネジメント力ランキング」を作った。17年度の情報に基づくため、今J1に所属していても、このランキングに載っていないクラブもある(J2、J3所属クラブの順位はクラブ名鑑内に記載)。
ビジネス力ランキングを公開、J1の1位は浦和レッズ
1位に輝いたのは、Jリーグのクラブ初のアジア王者で、昨年の天皇杯を制した浦和レッズ。2位はJ1最多優勝の鹿島アントラーズで、3位は03、04年に連覇した横浜F・マリノス。この2クラブは、発足以来一度も降格経験のない名門だ。4位にはJリーグ2連覇中の川崎フロンターレが入った。一方、下位に目を転じると、15~18位の4クラブはすべて降格し、今はJ2所属。チームの成績とビジネスマネジメント力ランキングを見比べると、密接な関連性も浮き彫りになる。
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