アジア太平洋を中心に世界の国防当局者が集まるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)が2日、シンガポールで開幕した。これに合わせて、浜田靖一防衛相は4日、韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相と、日韓防衛相会談を行う予定だ。最大の懸案である、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件については、「収拾」が図られるとの見方と、「触れない」との見方に分かれている。岸田文雄政権はまさか、明確なケジメも付けずに、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領率いる韓国との関係改善を優先するのか。政界、識者からは、日本外交や安全保障に及ぼす影響に懸念が噴出している。
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「防衛交流再開を含む、日韓関係改善を望む韓国側の意向が示されつつあるのは、間違いない。だが、レーダー照射事件の真相を解明せず、『保留』『棚上げ』するのであれば、明らかに筋違いだ」
「ヒゲの隊長」こと、自衛隊OBで、自民党の佐藤正久元外務副大臣は、こう危機感を示した。
アジア安全保障会議には約50カ国の国防相らが参加し、4日まで3日間の日程で世界の安全保障について協議する。日韓防衛相会談は2019年11月以来、約3年半ぶりとなる。
この会談をめぐり、日経新聞は5月30日、《レーダー照射、4年半越し収拾探る 日韓防衛相が会談へ 韓国軍は指針撤回を用意》との見出しで、日本側は韓国側に事実認定の表明は求めない方向と、インターネットに配信し、31日付朝刊にも掲載した。
一方、産経新聞は2日夜、《レーダー照射、決着見通せず アジア安保会議開幕》との見出しで、「日韓関係改善を優先して触れない見通しだ」などとネット配信した。