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車椅子の正しい介助方法とは?よくあるシチュエーションの介助方法を解説
車椅子を利用していると、段差やきつい斜面に遭遇したり、車椅子からベッドや車への移乗をしなければいけない場面が出てきます。
それぞれの場面で介助方法が異なり、難しく不安を抱えてしまうかと思います。
車椅子の介助で事故が起こると、利用者と介助者が共にけがをしてしまう恐れがあります。
本記事では、様々なシチュエーションに対して安全に介助できる方法を解説していきます。
安全な介助をして、楽しい外出ができるようにしましょう。
まず車椅子のパーツと点検のポイントをチェック
車椅子を使用する前に、チェックするポイントが3つあります。
- 介助ブレーキと駐車ブレーキの効きを確認
- タイヤに空気が入っているか確認
- 背折れ金具のレバーがしっかりロックされているか確認
ブレーキは消耗品なので、徐々に効きが悪くなってきます。また、車椅子を長期間使用していない場合は、タイヤの空気が抜けてブレーキが効かない場合もあります。
背折れの金具がしっかりロックされていないと、背シートに背中を預けた時に後ろに倒れ込む恐れがあります。利用前は必ずチェックしましょう。
車椅子の広げ方、たたみ方
車椅子を広げるには5つの工程があります。
- 駐車ブレーキをかける
- 肘掛けを持ち両側に広げる
- 手のひらで座シートを下へ押す
- 手押しハンドルを上げる
- 背折れ金具が完全にロックしているか確認
手のひらで座シートを下げる時にシートのパイプを握ってしまうと、手を挟む危険があるので注意しましょう。
車椅子をたたむには3つの工程があります。
- フットレスト(足を置く板)を上げる
- 背折れ金具のレバーを傾け、ハンドルを下げる
- 座シートの前方と後方の中央部を同時に持ち上げる
車椅子に付属しているクッションなどがある場合は、外した方が折りたたみやすく、よりコンパクトになります。ただし、クッションを紛失しないように注意してください。
車椅子の押し方
車椅子を動かす時は利用者に声掛けをしましょう。車椅子利用者は、介助者に身体を完全に預けている状態なので、不安を抱いているかもしれません。声掛けは不安解消につながるので必ず行いましょう。
車椅子は、小石や小さな段差でもキャスターが引っ掛かったり、意図しない方へ振られたりします。ゆっくりと安全を確認しながら押しましょう。
さらに、砂利道や柔らかい芝生などの悪路では、ハンドルを取られて思うように動かなくなることがあります。平地といえども、悪路はなるべく避けて進みましょう。
斜面での押し方
道路は水はけしやすいように、ドーム状に少し傾いています。自然と左右にハンドルを取られてしまうので、車椅子を押す時は注意しましょう。
また、あまりにも傾斜している道は転倒・転落の危険があるので、避けることも大切です。
上り坂
上り坂では車椅子の重量とと利用者の体重がのしかかってきます。介助者はハンドルをしっかりと持って、自分の身体を少し前に傾けてゆっくりと一歩一歩押し上げます。もし押し負けそうになってしまったら無理に上らず、ハンドルブレーキで速度を調節しながら坂を下りましょう。利用者と介助者が大きな事故にならないようにすることが重要です。
女性が男性を介助するなど体格差がある場合は、特に注意する必要があります。坂道を楽に進むアシスト付き電動車椅子など、車椅子を見直すことも1つの方法です。
下り坂
下り坂では、後ろ向きで介助者が利用者を支える形で下りていきます。ハンドルブレーキを握って、速度を調節しながら下りることが大切です。緩やかな下り坂でやむを得ず前向きで下りるときは、車椅子を引くようにしながらゆっくり下ります。利用者が前に飛び出して転落しないように注意しましょう。
下り坂の方が、利用者と介助者が共に転倒や転落するリスクが高まります。体力に自信がない場合は、介護サービススタッフに一任することも考える必要があります。
段差の進み方
段差を進む前にまずは、自身の力量で乗り越えられる高さなのか、また昇降した先に障害物が無いかなどを確認します。近くにスロープがあれば活用し、障害物は撤去しておきましょう。
段差を昇る時は、まずはティッピングレバーを片足で踏みハンドルを押し下げ、前輪を段差にしっかり乗せることに集中します。その後少し前進して後輪を段差につけて、段差に沿って後輪を滑らせるように押し上げます。
段差を降りる時は、後ろ向きでハンドルをしっかりと握り、後輪から段差に沿ってゆっくり降ります。前輪を下ろす時は、段差に足をぶつけないように、車椅子の傾いている角度を一定に保ちながら少しバックします。その後ゆっくりと前輪を地面につけて下ろします。
ブレーキのかけ方
利用者が立ち座りする時に車椅子のブレーキがかかっていないと、転倒してしまう危険があります。利用者がブレーキをかけることができるなら、声掛けをして後輪付近にある駐車ブレーキをかけましょう。
駐車ブレーキは左右にあり、レバーを前もしくは後に傾けるとブレーキがかかります。必ず左右のブレーキをしっかりかけましょう。ブレーキレバーが短く持ちづらい場合は、延長レバーやサランラップの芯を使うなどして長さを調整する方法もあります。
階段の昇り降り
階段の昇り降りは危険を伴います。まずは、スロープなどで段差解消できないか考えましょう。どうしても階段の昇り降りをしなければいけない場合は、絶対に1人で介助してはいけません。車椅子の前後左右に最低3〜4人で介助を行います。車椅子は、フットレストや肘掛けが取り外しできないタイプの物を使用しましょう。
段差の斜度に合わせて車椅子を傾け、角度をキープしながら介助者同士で連携を取り、階段を昇降していきます。階段を降りる時も、角度をキープして後ろ向きで降ります。階段を後ろ向きで降りることは恐怖を感じるので、利用者に声掛けをしてフォローをしましょう。利用者および介助者ともに転落や転倒の危険があるので、慎重に行うことが重要です。
車椅子とベッドの移乗
車椅子とベッドの移乗は、車椅子を極力ベットに近づけて、車椅子とベッドの間に落ちるなどの事故を予防します。フットレストは移乗時に引っ掛かるリスクがあるので、取り外すか上げておきます。車椅子の座面の高さとベッドの高さを合わせておくと、介助が楽にできます。利用者と息を合わせて、介助スピードが早すぎず、またドスンと座らせないようにゆっくりと介助をしましょう。
介護全般に言えることですが、無理のない範囲で利用者の残っている力を最大限に活用することも重要です。利用者は、生活リハビリを行うことで体力維持につながります。介助者は、腰痛や関節痛など介護負担を軽減することができます。
車椅子と車の移乗
車椅子から車への移乗は、2段階で行います。一気に行おうとして座席から滑り落ちないよう注意しましょう。
車椅子のブレーキを掛け車のドア付近に駐車し、肘掛けやフットレストを取り外します。車椅子に浅く座ってもらい、身体を密着させて腰を低くし、介助者の背中に腕を回してもらいます。しっかり立っていることを確認後、利用者のお尻を車の座席に向けて座ってもらいます。その時、車の天井に頭をぶつけないように注意します。
しっかり座ったら足を車内に入れ、シートベルトなどをして出発の準備をします。
福祉車両を利用する場合は、車椅子をベルトでしっかり固定します。
まとめ
車椅子を利用していると、坂道や段差、ベッドや車への移乗など、様々な環境や場面に遭遇します。それぞれ介助の方法が異なるので、難しく感じることがあるかもしれません。車椅子の介助は、利用者そして介助者の大きな事故につながる危険があります。介護全般にいえることですが、1人で無理をしないようにしましょう。
担当されているケアマネジャーに相談して、時には介助を手伝ってもらえるように調整することも大切です。