トピック
ソーラーパネル設置から1年 電気代の大幅減と“意識”の変化
2025年10月7日 08:20
東京都の補助金なども利用して、筆者が自宅に太陽光発電システムを設置したのは2024年8月下旬のこと。それからあっという間に月日が流れ、1年が経過しました。そして、この1年の電気の使用量と料金も確定し、ついに年間電気代も明らかに!
設置直後の予測では14年かからずに元が取れる計算でしたが、季節が一巡したところで再計算すれば、より精度の高い数値を導き出せるはず。果たしてどんな1年になったのか、予定通りにコストを回収できそうなのか、発表したいと思います。
なお、設備の内容などこれまでの経緯は下記の過去記事をご覧ください。
年間の電気代と、節約できた金額は?
では、さっそく結論から言ってしまいましょう。まず年間の電気代がどうだったかというと、ソーラーパネル設置の翌月である2024年9月から2025年8月までの1年間で、実際の請求額は「7万3,227円」となりました。
その前の直近1年(2023年9月~2024年8月)の電気代実績は「21万5,667円」でしたので、差額は「14万2,440円」、およそ3分の1に削減できた計算です。当然ではありますが、太陽光発電システム導入の効果は絶大だったと言えます。
これらは前回、設置1カ月経過時点での年間電気代予測の数値とほぼ同じです。そのときは2023年(1月~12月)実績が約21万7,000円、2024~2025年予測が約7万2,000円としていましたから、かなり精度高く予測できていたのではないかと思います。
ただ、前回はそこに売電収入を含めていませんでした。蓄電池が100%になった後に売電する形にしていますが、どれくらいの頻度でフル充電になるのか予測が困難だったからです。しかし、1年が経過して売電収入も確定しました。その額、なんと「1万1,248円」。
もちろん年間での金額ですから、大金と言えるものではありません。とはいえ、そもそも売電収入に期待して太陽光発電を導入したわけではないので、年間で1万円以上になったのはラッキーだなあ、というのが率直なところ。ちなみに売電が開始したのは、国や東京電力の審査が完了した後の2024年12月~2025年1月でした。設置から4カ月ほどかかっています。
ともかく、これを計算に入れると年間電気料金は差し引き「6万1,979円」になり、最終的に「15万3,688円」の節約に。近頃は電気代が高止まりしているのに加え(国の補助による値引きはありますが)、夏は酷暑でエアコンが手放せない状況でしたが、それを経ても4人家族の戸建の年間電気代が6万円台で済んだのは上々の結果ではないでしょうか。
何年で初期コストを回収できそうか
そんなわけで、太陽光発電システム導入前後の電気代、および電気使用量の推移をグラフにまとめてみました。
これを見ると、エアコンをはじめ冷暖房を多く動かす真冬や真夏は電気使用量が増え、売電につながりにくいため電気代がかさむことがわかります。一方で、冷暖房をあまり使わない4~6月は、太陽光発電+蓄電池で1日に使用する電気の大半をまかなえています。
春は気温が上がらないため発電効率が高まっていることも理由かもしれません。それによって売電に至る確率も高まり、なかでも5月は売電が買電を上回って実質的に電気代がマイナスになるほど。「これが毎月続けばなあ……」なんて欲が出てしまうくらいです。
それはさておき、「15万3,688円」分の節約が仮に今後も続くとすれば、初期の投資コストを回収できるのはいつ頃になるでしょうか。
前回記事では、システムの購入額から東京都などの補助金を差し引いた純粋な支出が「200万円余り」としていましたが、正確に言うと「214万7,000円」です。
ここから単純計算すると「13.97年」、ギリギリ14年未満ということになり、以前のシミュレーションとも概ね合致しました。保証期間は太陽光パネルが25年、蓄電池が15年とされているので、それらの期限に達する前にコスト回収できることになります(屋内の一部機器の保証期間は10年となっています)。
もちろん、それでも仮定の域は出ません。発電量はその年の天候に左右されるので今後も同じペースで電気代を節約できるかどうかは運次第ですし、機材の経年劣化によって発電効率や蓄電能力がわずかずつ低下していくことも考えられます。また、電気代がこれからも上がり続けるのか、下がることになるのかも不明です。
が、今のところシミュレーション通り順調に電気代を減らせているのは喜ばしいこと。とりあえずは、ほっとひと安心といったところです。
発電システム導入で節電意識が高まった
シミュレーション通りの効果が得られたという結果にはなりましたが、そこには日々の「節電のための行動」が少なからず影響している可能性があることも触れておく必要がありそうです。
太陽光発電システムの導入前後で、節電に対する意識は自分でも大きく変わったと思います。発電量や蓄電量、宅内全体の消費電力量をリアルタイムに監視できるようにしたこともあり、何をすればどれくらい電力を使うのか、どうすれば使わずに済むのか、といったことを日常的に考えずにはいられないようになりました。
意味のない照明はすぐに消すようになり、食品を温めるときは電子レンジではなくガスコンロを使うことも(なのでガス使用量は前年比で若干増える月もありました)。冷暖房は健康に関わるので使うのは仕方がないとして、無駄に強めないよう調整するのは当たり前、という感じです。
また、生ゴミ処理機のように(消費電力量は多いが)使うタイミングが自由に決められるものは、発電量や蓄電量に余剰が出そうなところでオンにするなど可能な限り買電を避けるようにしています。さらにこういった原稿を書く際には、消費電力の小さなノートパソコンを使うことも増えました。
1つ1つの行動で節約できるのはごくわずかな金額に過ぎませんが、塵も積もればなんとやら。1カ月や1年という単位で見ていくと意外と無視できない節電量になったりするものです。太陽光発電システムの有無にかかわらず、こういった節電に向けた意識付けは大切ではないかなあ、と思ってみたり……。
おそらく13年後になってみないと、太陽光発電システムの導入が本当に正解だったのかは分からないかもしれません。が、現状、コスト減につながっていることは確かですし、発電・蓄電量などのリアルタイム監視や実績値を見ること自体が純粋に楽しくて、少なくとも損はしていないな、という気持ちです。