山野楽器 銀座本店がCD販売をやめること

いよいよ来ました。山野楽器銀座本店、CD/DVDの扱いを7月限りで終了します。

山野楽器銀座本店は、現存する日本最古のレコード/CD販売店、のはず。
しかもその取り扱い開始から建て替え等で仮店舗営業した時期を除いてはまさに銀座四丁目のあの場所で。

こちらに公式の年表がありますが、松本楽器店としての開業が1892年。
蓄音機が日本で販売開始されたのは1870年代ですが、その時はまだ音楽用途ではなく、音楽再生機としてレコードと共に販売されるようになったのが1903年。

いろいろ端折りますが、販売元はその販売代理店として楽器店に話を持ち掛けて、山野楽器は1920年にビクターの販売代理店になっていますので、そこまでには蓄音機及びレコードの販売を行っていたということになります。

で、その後ゼンマイ式の蓄音機は電化されて所謂「電蓄」になり、その販売の中心は徐々に電機店に移行していくわけですが、ソフトの方の販売は今に至るまで残ったということです。

山野楽器は更に、戦後の復興期に首都圏の百貨店にテナントとして入りまくることで業績を伸ばします。
今は亡き東急百貨店東横店がテナント支店第1号、大丸東京店や伊勢丹新宿店にも入っていたことがありますし、日本橋の高島屋と三越には2010年代まで入っていましたし、最近まで入っていた小田急百貨店や今も複数の地域の店舗に支店がある丸広百貨店もその流れです。

そんな感じで一時はえらい勢いだった山野楽器ですが、CDの販売不振に加えて百貨店という業態の衰退もあり、ここ数年はかなり目立つ感じに店舗数を減らしています。
ここ5年でこんな感じ。最大期でも40店舗には届かなかったチェーンなのでかなりのもんです。

2019/09/20:山野楽器 日本橋三越店(東京都中央区)
2020/08/09:山野楽器 そごう横浜店(神奈川県横浜市西区)
2020/09/20:山野楽器 丸広上尾店(埼玉県上尾市)
2021/02/28:山野楽器 そごう川口店(埼玉県川口市)
2021/07/20:山野楽器 成城コルティ店(東京都世田谷区)
2021/07/25:山野楽器 橋本ミウィ店(神奈川県相模原市緑区)
2021/08/29:山野楽器 西武池袋店(東京都豊島区)
2022/02/28:山野楽器 小田急新宿店(東京都新宿区)
2022/08/21:山野楽器 仙台店(宮城県仙台市青葉区・CD販売終了)
2023/03/12:山野楽器 府中フォーリス店(東京都府中市)
2023/06/30:山野楽器 ラスカ平塚店(神奈川県平塚市)
2024/03/31:山野楽器 本厚木ミロード店(神奈川県厚木市)

閉店していなくても恐ろしいほどCDの店頭在庫を減らしている店もありますし、実際銀座本店も2019年に路面での販売をやめ、山野楽器ビルのB1階から2階までをKDDIに貸し出し、CD/DVDは4階1フロアのみでの展開、しかも4階にはクラシックギターのスペースもあるという状況。

そして銀座本店でのCD取扱い終了に先駆けて、5月31日でオンラインでのCD/DVD販売を終了

これ、恐らく全店でのCD/DVDの取扱終了も視野に入っているのではないかと思います。
もちろんテナント元との契約や、その店舗単位での売上等もあるでしょうから、そんなバサッと逝くことはないと思いますが。
残りは17店舗。

銀座本店4階はCD/DVD販売終了後、どうなるかというと、既に店頭に貼ってありました。

ギターエリアを販売だけでなく「体験」にまで拡大するフロアにすると考えればよいのでしょうか。

コロナ禍以降、島村楽器がその時に楽器を手にした人にいかに演奏活動を継続してもらうか、というところでの「体験型」のコンテンツ・プログラムに滅茶苦茶力を入れて業績を伸ばしていて、山野楽器もそういう方面をキャッチアップしているようですが、この4階はまさにそのために供出された感があります。

とはいえ、会社を継続させていくために限られた資産をどう使って利益を最大化していくか、という点を考えればもうそれはやむを得ないことで。


で、山野楽器銀座本店がソフト販売から撤収した後、最古の現役「レコード/CD店」はどこかと考えてみたのですが、多分京都のJEUGIA三条本店。