ヴィジュアル系専門CD店の具合がよろしくないこと

ここんとこ、ヴィジュアル系専門のCD店の具合が悪いのです。

2018年10月18日、closet childが原宿CD店を閉店。closet childはアパレルやグッズも扱っていますが、2019年4月には横浜店でCD/DVDの買取を中止するなど、CD/DVDの扱いを微妙に縮小しているようです。

2019年3月24日、ライカエジソンの運営主体、(株)ライカロリーポップが破産。店舗は別会社に譲渡されましたが、原宿店については閉店に。

2019年4月14日、高田馬場ZEAL LINKが閉店。
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元々新宿のマルイワンにテナントとして入居していた新宿店から、高田馬場への移転の形でしたが、店舗は表通りに面さない場所であり、この時点で都落ち感がありまして。そしてその店も2013年の移転から6年で閉店。

で、2019年5月7日。池袋のサンシャインシティそばにあるV系専門店Brand Xが倒産しました。

ZEAL LINKはまだ渋谷・名古屋・大阪に店舗がありますし、2017年に全国展開を行ったlittleHEARTS.は今のところ全店頑張ってます。
ただ、何となく構造的にヴィジュアル系の専門店は普通のCD店よりも一層厳しいのではないかとも思うわけです。

まず前提として、ファン層の流入はどう考えても増える要素がありません。
相当なメジャーにならない限り深夜帯でもテレビに出るのは難しく、一度V系界隈を覗きに来ない限り各バンドの認知すら困難です。バンドのメンバーをアイドル的に捉える方も多いですが、そうであれば増加したK-POPや非ジャニ系の男性アイドルグループもライバルになり得ます。

そしてヴィジュアル系は専門店がまだそれなりの数あることが、現在ヴィジュアル系シーンの首を絞めることにもなっているのではないかと思うのです。

たとえば日本全国、アダルトやグラビアDVDのついでにアイドルCDも置くというような店を除けばアイドルグループの専門店はほぼないに等しいですが、その分流通を大手CD店やレーベルに委ねたり、それができない場合はライブ会場での物販に割り切った形でビジネスを組み立てます。
そして大手に委託し、CD店でインストアイベント等も行ったりすれば、まだある程度「面」を伴ったライト層との接触機会が得られます。

しかしヴィジュアル系はなまじ専門店があり、そこでCDの販売から接触イベントまで行えてしまうが故に、言ってみればそこに完全に「隔離」されてしまうことになります。
そこにはコアなファンしか集まらないとなれば、それその先にはもう先細りしかありません。
とはいえ、ここまでヴィジュアル系のシーンを支えてきたのも専門店であることは間違いないのでなかなか難しいわけですが、CDというパッケージの立場が変わりつつある中で、でもバンドという前提があって「音源」の比重がアイドル以上に高く、それでも結局接触に頼らないと生きていけないバンドも多いこのシーンの中で、どこまでその変化に対応できるのだろうかと考えると、正直悲しい気持ちにしかならない。

これをどうすれば打破できるかと考えると、とりあえずインストア受けを狙わず真摯に音楽を磨くバンドが増えることと、ゴールデンボンバーのようなライト層にも訴求でき、かつバンギャも熱く支持できるような存在があと2-3出てくれば何とかなるかもしれない。うん、ハードル高い。