EPUB 3.3がW3C勧告に

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https://www.w3.org/ ー 2023å¹´5月25æ—¥ – W3Cは、2017年にIDPF(International Digital Publishing Forum)と合併したことにより誕生した、デジタル出版における活動の一環としてEPUB (Electronic PUBlication)の最新バージョンである、EPUB 3.3を国際ウェブ標準であるW3C勧告として公開しました。

Composite showing the epub logo and a diagram of the various containers that constitute an epub file: content document such as xhtml and svg and other resources such as CSS, png, mp3, mov which constitute the publication resources, nested within what constitute the EPUB publication that is made of a package document and navigation document, and all of this is wrapped within the EPUB container

EPUBはデジタル出版物や文書の配布と交換のためのフォーマットを定義しています。EPUBフォーマットは、HTML、CSS、SVG、その他のリソースを含む、構造化され、意味付けされたWebコンテンツを表現、パッケージ化、エンコードする手段を提供し、単一ファイルのコンテナで配布します。

EPUB 3.3は、前バージョンであるEPUB 3.2が同仕様としても有効であるという下位互換性を持ちます。つまりEPUB 3.2からEPUB 3.3へ移行しても、現在の出版ワークフローに変更は必要ないということです。

W3Cの標準化プロセスでは、国際化、セキュリティ、プライバシー、アクセシビリティ、他のWeb標準への準拠など、実装に与える影響の確認を含め、会員の専門家による仕様の徹底的な見直しが行われます。これらのレビューにより、本EPUB 3.3でも双方向テキストに対応する機能の追加や、スクリプトのセキュリティ関連の詳細をより正確に規定するなど、小さいながらも重要な技術的変更が数多く行われました。また本仕様には、起こりうるプライバシーやセキュリティの問題について、実装者向けの詳細なガイドラインも含んでいます。

EPUB 3ワーキンググループはまた、仕様のすべての規範的な機能を体系的にテストする包括的なテストスイートも作成しました。これはEPUBCheckの開発者との強い協力のもとで行われたものです。その結果、Epubcheckの最新バージョン(リリースされたばかりのバージョン5.0.1)はEPUB 3.3と完全に互換性を持ち、出版業者は即座にそれを使用することができるようになっています。

EPUB 3.3のドキュメントも、編集上の変更や再編成により大きく改善されました。出版社やクリエイター、あるいは著者が本当に関心のあるコンテンツ仕様と、実装者のみが主に関心を持つリーディングシステムの仕様は分離されています。また編集上の変更を行なったこで、文書がより読みやすくなりました。加えて、ほとんど採用されなかった機能(マルチプルレンディションなど)は標準テキストから削除され、別途公開されました。

EPUB出版物におけるアクセシビリティはEPUB 3ワーキンググループでの不可欠な要素として捉えられていました。その結果、EPUBアクセシビリティ仕様が更新され、EPUBの歴史上初めて、EPUB標準の一部として統合されました。それだけではありません。EPUBアクセシビリティ仕様は、今後のデジタル出版に大きな影響を与えるであろう欧州アクセシビリティ法とも互換性を持っています。

W3Cは本マイルストーンを超えてEPUB仕様を維持してゆくことを約束します。今後発足が予定されているメンテナンスに特化したワーキンググループでは、EPUB 3.0.1をベースとする現在のISOバージョンを更新するためにEPUB 3.3をISOに提出する可能性や、今回は見合わせた機能(例えばウェブトゥーンの標準フォーマットとしてEPUBを使用する業界慣習の標準化)などの課題を既に検討しています。現時点では大きな技術的な変更は想定していません。

最後に、今回のEPUBにおける成果は、EPUBの初期設計者の1人であり、これらの新しい仕様を作成したW3Cにおけるデジタル出版のワーキンググループ発起人であるGarth Conboy氏に捧げられることを皆様にご共有します。彼は非常に惜しまれる存在であり、今後もそうあり続けるでしょう。

World Wide Web Consortiumについて

W3Cの使命は、世界中全ての人がウェブをオープンな環境でアクセシブルに利用し、相互運用するための標準技術とガイドラインを策定してウェブを最大限に活用することです。今や多くの人が知るHTMLとCSSはウェブサイトが構築される基盤技術として広く認識されています。私たちはウェブアクセシビリティや国際化、セキュリティ、またプライバシーの領域で社会のニーズを満たすべく、W3Cが策定する全てののウェブテクノロジーの議論と開発を日々行なっています。またW3Cは、ウェブが使用されているエンターテインメント、通信、デジタル出版、金融サービスなどの分野でも、ビジネスのためのインフラとして世界標準の技術を提供しています。それらの技術はオープンに製作され、無償で提供され、W3C独自の特許方針の下で全ての人に公開されています。

400を超える会員と各産業の数千もの技術者が、W3Cのビジョンである「One Web」を創り上げています。W3Cはアメリカ合衆国に設立された公益法人であり、理事会が主導し、全世界にスタッフを要する非営利組織です。詳細はこちらをご覧ください。https://www.w3.org/

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