横須賀・三浦半島の成長を支える基幹産業のひとつが「観光」であることは論をまたない。ただ、全国に認知されている観光資源の乏しいこのエリアでは、地域に眠る文化や歴史、豊かな自然を最新のトレンドと組み合わせて観光コンテンツに昇華させていくことが不可欠だ。猿島航路、YOKOSUKA軍港めぐりの運航会社で地域観光のリーディングカンパニーである(株)トライアングルの鈴木隆裕社長に新年の展望と抱負を聞いた。
地域連携が奏功経済効果14億円
──まずは、昨年1年を振り返っていただきます。エポックメイキングな出来事として、神奈川で初の「鈴木敏夫とジブリ展」が横須賀美術館で開催されました。
「開催委員会方式で実施した大型企画でしたが、当社もメンバーとして企画段階から運営に関与しました。世界を代表する数々のアニメ作品を世に送り出してきたジブリの軌跡を、プロデューサーである鈴木敏夫氏の視点を交えて紹介する内容でした。幅広い世代が注目する人気コンテンツなため一定の集客を見込んでいましたが、来館者数は当初の目標の11万人を大幅に上回る約17万人を記録しました。同美術館の歴代最高だそうです。単に来館者数を増やすだけではなく、回遊性を高めて滞在時間を増やすことで、地域全体の賑わいと経済効果を生み出していくことに主眼を置いていました。商店街や個店と連携して実施したスタンプラリーが大きな役割を果たし、市全体として約14億円の経済効果がありました」
──公益財団法人日本デザイン振興会が選定する「2024年度グッドデザイン賞」ベスト100の受賞もありました。
「4月にデビューした猿島航路の新旅客船『NEW KUROFUNE』が選ばれました。猿島の史跡と自然をモチーフにした特徴的なフォルムとともに、市民の協力で集めたアルミ缶を再資源化して作成したオブジェで環境保護のメッセージを発信する一連の取り組みが認められました。受賞を通じて猿島の魅力の発信につながることを期待しています」
猿島公園リブランディング
──「ジブリ展」の成功もあり、トライアングルの動向が注目されています。今年はどんなことを仕掛けていきますか。
「猿島航路が再開して30周年となります。記念事業として、島内各所にあるサイネージ(案内表示)などのデザインの統一化を図り、リブランディングしていきます。現在のものは、必要に応じて設置してきたため、全体としてコンセプトやデザインがバラバラな状態です。これを夜の猿島を舞台にした芸術祭『SENSE ISLAND』を監修する齋藤精一氏にプロデュースをお願いして新しいイメージを打ち出します。猿島を訪れる客層は新型コロナを挟んで変化しています。目的を持たずにのんびり歩いて自然を楽しむカップルが増えています。先の芸術祭などを通じてアートを愛でるような感性の高い若者らに猿島の存在が伝わっているのでしょう」
──「観光地域商社」を掲げています。これの具体化として「猿島航路」「軍港めぐり」に続く事業の柱に位置付けている広域観光ガイドについて聞かせてください。
「『猿島』『第二海堡』『浦賀ドック』など三浦半島の自然や歴史、戦跡などをテーマにしたガイドツアーを行っていますが、これをもう一段発展させてエンタメ要素を取り入れた特別な体験や地域の資源を活かしたツアーの造成に注力します。産業遺産、環境学習、平和学習などを切り口とした教育旅行の誘致も手掛けていきたい。受け入れ態勢を整えるためにガイドの育成も行います。地域や企業、商店街などとの連携も進めたいですね。当社をハブに様々な事業者や人がつながり、新しいビジネスが展開できたらと考えています」
──観光振興で神奈川県と連携・協力の協定を結びました。
「三浦半島には『観音崎公園』『城ケ島公園』などスケールの大きな県立公園があります。自然にあふれ、砲台跡などの歴史的遺構も魅力的。県の力を借りてこれを活かしたツアーを造成します。三浦半島の観光情報をピックアップしたWebメディア『三浦半島ポータルマガジン」で話題を発信していきます」
![]() 「グッドデザイン賞」受賞の船舶
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