北見方の白髭神社 神輿を被災地へ寄贈 復興への想い託す
北見方にある白髭神社(長崎範城宮司)所有の神輿が東日本大震災の被災地に寄贈された。8月9日には同神社境内で、それまで神輿を管理してきた北見方町会(吉田豊町会長)による引渡式が行われた。
今回の寄贈は、川崎区にある稲毛神社の橋渡しで実現した。被災地から譲渡可能な神輿がないかとの打診を受けた稲毛神社が関係各所に話を伝えたところ、応じたのが白髭神社だった。
同神社では2009年に神輿を新調したが、以来、先代の神輿を大切に保存していた。
引渡式を前にした8月5日には町会役員や青年部、祭礼部の面々30人が約半日かけて神輿を清掃し、ペンキを塗った。寄贈にあたっては、神輿の一部を修復するための費用も添えた。
気仙沼の一景島神社へ
寄贈先は宮城県気仙沼市にある一景島神社(神山正志宮司)。神山宮司によると、津波により周辺の木造の民家はほぼ壊滅的な被害を受けた。神社の社も、1基あった神輿も流され、神事を執り行うことができない状態が続いたという。しかし、今年4月には仮の社を建て、5月頃には神輿寄贈という朗報が届いた。
神山宮司は「何もないところにご厚意を頂戴し、感謝の気持ちでいっぱい。復興への大きな力にしたい」と前を向いた。9月下旬には昨年断念した例祭を行う予定だ。
神山宮司はこの日、副総代長の猪狩栄寿さん、総代の熊谷義弘さんらとともに白髭神社を訪れた。引渡式で猪狩さんは「神輿を末永く大事にしたい」と謝辞を述べた。
大工による手作り
寄贈された神輿は57年前、地元有志の大工らが3年以上の月日をかけ作り上げたもの。仕事を終えてからの作業は夜間に及び、飾り物は浅草まで何度か足を運んで調達したという。
3年前の神輿の新調に伴い役目を終えた神輿だが、「手作りの神輿は、子ども達に継承したい地域の宝」(戸張重雄総代代表)として残された。戸張さんは「神輿が現地で活躍する姿を子ども達に伝えていきたい」とトラックに積まれる神輿を見つめた。
「神のおかげ」
長崎宮司は「一景島神社では神社の中心となるものが何もない状態と聞いた。大工が丹精込めて作った神輿が再び世に出ることになったのも神のおかげ。気仙沼の繁栄につながれば最高に嬉しい」と話していた。
吉田町会長は「地域にとって愛おしい神輿が、今後はきっと、復興の心の支えとなって役に立ってくれると思う」と気仙沼で現役復帰する神輿の活躍に期待を込めた。
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1月1日