Shinzo Abe(Kantei, CC BY 4.0), Park Chung-hee(the Government of the Republic of Korea, Public domain), Dwight Eisenhower(IWM TR 207), Nobusuke Kishi(”The Sankei Graphic”, Sankei Shinbun Co., Ltd. 1954., Public domain), Sun Myung Moon(David Roberts, CC BY-SA 3.0), Illustration by The HEADLINE

統一教会とは何か?安倍晋三・岸信介元首相らとの関係は

公開日 2022年07月14日 15:54,

更新日 2023年09月19日 10:48,

有料記事 / 国内

この記事のまとめ
・統一教会は、1954年に韓国で創設された新興宗教。霊感商法や合同結婚式、勧誘・脱会のトラブルなどが社会問題化し、日本で得た膨大な資金が、韓国の活動を支えていたとされる。
・岸信介元首相や安倍晋太郎元官房長官ら、安倍元首相と所縁の深い人物と統一教会の関係は公にされており、その他の自民党政治家との関係も定期的に取り沙汰される。
・その関係性は、イデオロギーの共鳴ではなく、選挙の動員と宗教団体の保護という現実的な思惑の一致から理解できる。

安倍晋三元首相が奈良市内で街頭演説中に銃撃・殺害された事件について、「世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)」が11日、東京都内で記者会見を開いた。逮捕された山上徹也容疑者が、奈良県警の調べに対して「母親が宗教団体にのめり込み、恨みがあった。団体と元首相がつながっていると思ったから狙った」という供述を受けてのものだ。

山上容疑者の供述に対して、統一教会(*1)の田中富広会長は、山上容疑者の母親が信者であり、献金を受けていたことも認めたものの、安倍氏との繋がりについては「友好団体が主催する行事に安倍氏がメッセージを送ったことはある」が、「(安倍氏が)会員や顧問になられたことはない」と直接的な関係を否定した。

統一教会は、教団内での結婚制度である「合同結婚式」霊感商法、勧誘・脱会をめぐるトラブルでも知られ、社会問題として大きく取り上げられた時期もある。また反共主義(反共産主義)の政治的立場から、歴史的に自民党や日本の右翼との関わりが深く、安倍氏との接点もかねてより取り沙汰されてきた

統一教会とは、どのような宗教団体であり、政界や安倍元首相とどのような関係を持っているのだろうか?

(*1)統一教会は、1994年に世界平和統一家庭連合と名称を変更しているが、便宜上本記事では統一教会としつつ、必要に応じて変更後の名称を用いる。また旧名称の「世界基督教統一神霊協会」から「統一協会」とする場合もあるが、本記事では必要ない限り「教会」で統一する。

統一教会とは

統一教会とは、1954年に韓国で創設されたいわゆる新興宗教だ。現在は名称を変更して「世界平和統一家庭連合」と名乗っている。キリスト教から派生した宗教だが、その独特の教えや聖書の解釈から、新旧キリスト教各派からは異端扱いされている。

同教会の教理である「統一原理」は『原理講論』という書物で解説されており、その内容は聖書を引用しつつも、儒教や韓国のシャーマニズム的要素を取り込んだような独自の解釈から成り立つ

信者数は韓国に30万人、日本に56万人、アメリカに10万人程度で、世界全体では信徒が300万人程度いるとされる。ただしこれらは団体の主張などを元にしているため、日本の信者は1-2万人に過ぎないという指摘もあり、現在の実態については不明点も多い。

韓国で発生した宗教だが、広く世界に伝わっており、韓国よりも日本の信徒が多いことも特徴で、日本からの献金が多くを占めていると言われる

統一教会の歴史

では統一教会は、どのように誕生・拡大して、日本に定着してきたのだろうか。

 創設以前

統一教会の創設者は、文鮮明(ムン・ソンミョン、1920-2012年)氏だ。米・WashingtonPost 紙は、同氏を以下のように評している。

彼の野心は、世界を支配し、キリスト教を自らの信仰に置き換えることだった。その教えは、キリスト教と儒教、韓国の民間信仰の要素を混ぜ合わせたもので、1970年代米国におけるカルト戦争の主要な象徴となった。

文氏は1920年、現在の北朝鮮(当時は大日本帝国統治下の朝鮮・平安北道)で、7男6女のうち5番目(次男)の子供として生まれた。

文鮮明氏
文鮮明氏(David Roberts, CC BY-SA 3.0

実家はもともと儒教を信仰していたが、15歳の時に姉と兄が重い病にかかり、それをきっかけとして、一家がキリスト教に改宗している。日本に留学できるほど裕福な家系であり、貧しい人が家に来れば無料で食事を与えたという。

1941-43年には、学生として日本の早稲田高等工学校(*2)への留学経験もある。卒業後は鹿島組(現在の鹿島建設)の京城支店(京城は現在のソウル特別市)に就職した。

早稲田高等工学校時代の文鮮明氏
早稲田高等工学校時代の文鮮明氏(Public domain

終戦後の1945年、ソウルにあるイスラエル修道院で奉仕活動をおこなった文氏は、宗教活動に身を投じていく。翌1946年、現在の北朝鮮における首都・平壌に移り、伝道活動をはじめる。当時の平壌は「東方のエルサレム」と呼ばれるほどにキリスト教信仰が厚い地域だった。

しかし新興宗教を取り締まる北朝鮮安全部によって、文氏は2度にわたり逮捕・投獄される。ただし1950年に朝鮮戦争が勃発したことによる混乱の中で刑務所を脱出、活動の拠点を釜山や大邱などに移した。

そして文氏が34歳となる1954年、ソウルで正式に世界基督教統一神霊協会(通称:統一教会)を設立する

(*2)財団法人・早稲田大学によって1928年に設置された学校。専門学校程度の高等教育を行うことを目的として、工業技術が教育された。

信仰の拡大

統一教会の特徴の1つとして、反共(反共産主義)的な政治的立場がある。冷戦という時代背景もあり、この立場から反共派の支持を集め、統一教会は韓国や日本、そして世界的に支持を拡大していった。

1954年の教会設立後、1957年にはすでに韓国全土に伝道師を派遣した。1961年には、同年の軍事クーデターで国家再建最高会議議長に就任し、軍事独裁体制を築いた朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領のもとで、反共産主義思想である「勝共思想」を展開したことで、政府から保護を受けている。

朴正煕元大統領
朴正煕元大統領(Public Domain

日本には、日韓国交正常化前の1958年(*3)に宣教師を送り込んでおり、1964年に日本で宗教法人の認可を受けた。66年には全国大学原理研究会(現CARP)(*4)が設立され、大学生や青年への伝道が活発化している。

1968年には、反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立した。国際勝共連合は、韓国の「勝共運動」の影響を強く受けた政治団体で、大学や労働組合、一般人を対象とした反共講演会を開催するなど、「勝共思想」の定着を目指して活動していた。

同連合の初代会長は、日本の統一教会の初代会長でもあった久保木修己が就任した。また、名誉会長には、「右翼のドン」として知られる笹川良一氏が就いている。さらに国際勝共連合の設立には、反共産主義という政治的立場の一致から、安倍晋三元首相の祖父である岸信介元首相らも協力した。後述するように、その後も統一教会は政界へ積極的に浸透しようとし、実際に自民党保守議員からの庇護を受け、勢力を拡散していった経緯がある。

1974年の文鮮明氏による晩餐会には、岸元首相や福田赳夫元首相、安倍晋太郎元官房長官ら政界のビッグネームが参加するなど、70年代を通じて統一教会と自民党の一部政治家との関係性は深いものとなる。

(*3)日韓国交正常化は、1965年12月の日韓基本関係条約発効により実現。
(*4)CARPは近年でも大学のオリエンテーションなどで注意を呼びかけられる存在である。

米国での活動

統一教会は、国際展開にも積極的だった。1959年にはアメリカにも宣教師を派遣し、1965年には世界40カ国を巡回している。さらに1972年には文氏が渡米し、活動拠点をアメリカに移した

1970年代、統一教会は米国での活動を活発化させることに成功する。この時期の米国は、1960年代後半のヒッピー文化の興隆やチャールズ・マンソンに代表されるカルトの勃興によって、新興宗教への関心が高い時期でもあった。統一教会はその流れに乗り、米国内で急速に信者を増やした。1976年にはNewsweek誌の表紙にも選ばれている。

その政治的・社会的影響力も増していることから、1976年のThe New York Times 紙は、その活動を以下のように報じている。

急成長している文鮮明のグループは、米国内で韓国政府への支持を確立するため多くの努力を払っている。これらは、議会での集中的なロビー活動、著名な政治家や実業家、地域リーダーへの働きかけ、韓国で戦争が起こった場合に参戦することを誓う熱心な信奉者の育成、共産主義を攻撃して、韓国とアメリカの愛国的テーマを結びつける入念なPRキャンペーンなどの形式を取っている。

1981年、文氏は所得税の未申告による脱税疑惑から起訴・収監された。その際には、キリスト教右派団体やバプティスト教会、全米黒人カトリック聖職者会などの牧師が、文氏の無罪と釈放を要求するデモをおこなっている。

事業部門の発展

日本では1980年代以降、統一教会により高額な印鑑などが売りつけられる霊感商法が社会問題になった。

これは、同教会の資金獲得戦略の転換がきっかけだ。もともと統一教会は、1960年代からすでに資金獲得の方法として、花売りや福祉募金、廃品回収などをおこない、さらには多くの会社を設立して韓国の統一教会系企業から朝鮮人参茶などを輸入販売するなど、企業活動を広く手掛けていた

1980年以降、この事業部門の位置づけが肥大化したことで、霊感商法が手広くおこなわれるようになった

統一教会の霊感商法とは、姓名判断や人相鑑定を入り口として、祟りや因縁を説いて、韓国から輸入された高麗人参や大理石の壺などを法外な値段で売るという訪問販売の手法だ。霊感商法は各地でおこなわれたため、消費者センターへの苦情が多く寄せられ、報道も繰り返された。同時に、その他にも偽名勧誘やマインドコントロール問題、合同結婚式への強制参加など、多くの民事訴訟が起きている。

こうした問題に対応するため、1987年には「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(以下、全国弁連)という弁護士会が結成された。統一教会による霊感商法被害の根絶と被害者救済を目的として、全国約300名の弁護士が賛同して参加した会だ。

近年の衰退

近年、統一教会の動きはやや下火になっている。

最初に状況が大きく動いたのは、2007年ごろから始まった霊感商法会社の摘発による教団施設への家宅捜索だ。特定商取引法違反などで、統一教会系の出版社や印鑑販売会社への各地での検挙が起きて、事務所や教会に家宅捜索が入った。

これを受けて2009年には徳野英治会長(当時)が、教会員に対して「献金と先祖の因縁等を殊更に結びつけた献金奨励・勧誘行為をしない」「(献金は)教会員本人の信仰に基づく自主性及び自由意志を尊重」「献金先が統一教会であることを明示」「勧誘目的の開示」「法令遵守」などを求める指示を出している。同年、徳野氏は引責辞任により会長の座を降りている。

また2012年には、教会の創設者である文鮮明が死去した。これを受けて教会内では、教祖の妻である韓鶴子派、三男である顕進派、四男と七男である国進・亨進派に分かれるという内紛が起きているとされる。

さらに2015年には、宋龍天総会長(当時)が、教団の「五大危機」として、①礼拝参加者の減少、②信者の高齢化、 ③信者家族の困窮・自己破産者の急増、④二世信者の教会離れ、⑤社会的イメージの低下を指摘している。

しかし「あからさまな霊感商法は鳴りを潜め」たものの、集金手法が変化しただけで、信者への高額献金ノルマは現在も課されており、実際に2018年には年間300億円の献金目標を達成しているという指摘もある。二世信者として布教など活動の前線に立つ人がいる一方、金銭難や信仰・自由恋愛の制限(後述)など、信者として育ったがゆえの葛藤や苦難を背負う二世の存在も問題視されている。

「カルト被害」の社会問題化

同教会について、日本で一般的に知られているイメージは、霊感商法や教団内での結婚である合同結婚式、勧誘・脱会をめぐるトラブルなどの、いわゆるカルト被害だろう。

霊感商法

中でも、特に問題視されるのが霊感商法だ。霊感商法は、信者の間では「信仰実践」という扱いになっており、その内容としては、戸別訪問して印鑑・念珠などを購入させるビデオセンターやサークル会に誘う、街頭アンケートで個人情報を聞き出し手相などで誘う、 宝石・着物などの展示会に誘うなどがある。

いずれも、その特性としては「目的を隠して近づき、巧妙に長時間説得し、ことさら不安感をあおる」こと、「法外な現金を支払わせること」がある

先述の全国弁連によれば、集計を始めた1987年から2021年までの34年間で、関係弁護士や消費生活センターが受けた相談だけでも、被害件数は約3万4,500件、被害金額は約1,237億円のぼる

合同結婚式

合同結婚式とは、統一教会に特徴的な教団内婚制度だ。結婚相手が教祖によって選ばれ、信者は面識がない相手と交際期間も恋愛感情もないまま結婚することになる。その信者らが集団で挙げる挙式が、合同結婚式だ。

合同結婚式は「祝福」と呼ばれることもある。合同結婚式に参加する信徒は、参加費として140万円を統一教会に納めることが求められており、献金としての性質も持っている


現在の合同結婚の様子

なお「祝福」のうち、最も理想的なのは韓国人男性と日本人女性のカップリングである「韓日祝福」だ。なぜなら日本人女性は韓国人男性と「祝福」を受け、韓国で夫やその家族に仕えることで、かつての日本の朝鮮半島侵略や慰安婦問題を抱える両国の恩讐が清算されるからというロジックがあるからだ。

統一教会の教義では、エバはアダムよりも位が低い。これは国家間の関係にも比喩的に適用され、日本は人類堕落の原因をつくったエバ国家であり、アダム国家である韓国に負債があるため、日本は韓国に対して、できる限りの人的・財的な協力をすべきという解釈が、これらの儀式の背景にある。

なお、上述の霊感商法も同じ論理で正当化されており、そのため霊感商法は、韓国ではおこなわれていない。その意味で、信者の多さも含めて、日本は教団の経済基盤的な存在となっている。こうした信仰の実態について、北海道大学の櫻井義秀教授と大阪公立大学の中西尋子研究員は以下のように指摘する。

統一教会は高度経済成長下にあった日本を打出の小槌として使い、世界宣教の布石を打った。統一教会の事業体で生活の糧を得ているのは一部の幹部に限られ、日本において青年信者の多くは合同結婚式まで数年間ただ同然で使用され、壮婦と呼ばれる既婚婦人達は自己破産や家族崩壊の瀬戸際まで資産を献金するよう迫られている。統一教会の信者は、地上天国の実現、霊界の解放という宗教的理念のために生活の安定、家族の扶養、老後の保障といった問題を一切度外視して、文鮮明をメシヤとして信奉し、配偶者選択から家族の将来を含めて一切を委ねきる。このような信仰や組織のあり方を構築してきた統一教会の責任は韓国のみならず、日本の幹部にも問われるべきものだ。

被害者による訴訟

1980年代後半以降、統一教会は、こうした悪質商法や献金要求によって多額の金銭的損失を受けた被害者から、数多くの訴訟を起こされている。そして実際に、民事訴訟では霊感商法について最高裁による違法認定判断が何度も下されており、刑事事件として摘発されて有罪判決を受けた例もある。

しかしながら、このような判決が下されたのは1990年代末以降のことで、霊感商法の手口を用いた契約の取り消しが法的に保証されるようになったのは、2018年の消費者契約法改正以降のことだ。

1980年代後半には、統一教会による霊感商法の金銭的被害の状況が報道され、社会問題化していたにもかかわらず、違法性の認定が90年代後半にまでずれ込んだ理由の1つは、こうした司法による違法性の判断が、憲法で保障される「信教の自由」を犯しかねないという緊張関係にあるからだ。

居住移転の自由や職業選択の自由など、日本国民が等しく享受できる基本的人権は、「カルト」視される宗教団体の信者にも適用されなければならない。統一教会側も、自身に向けられる批判に対しては長年「信教の自由」を盾に強く牽制してきており、例えば統一教会信者の生徒に対して脱会を勧めた大学教員が「信仰の自由を侵害された」として訴訟を起こした事例などの報道もある。

そのため統一教会の布教方法をめぐる一連の民事訴訟も、当初は和解や敗訴に終わるものが多かった

違法判決の増加

しかし徐々に、統一教会の手口である正体を隠した勧誘方法(偽装勧誘)が、むしろ国民(勧誘される側)の信教の自由を侵害しており、違法であるという判決が増えることとなった。

例えば、2000年9月の広島高裁岡山支部では、元信者の男性による訴訟に対して、「(統一教会側が)正体を偽り勧誘するなど宗教選択の自由を奪い」「虚偽を欺罔で困惑させ入信させた」という判決が下っている。

また2001年6月の札幌地裁の判決では、統一教会の入信・献金勧誘は、元信者の「財産収奪や無償労働の提供、被害者の再生産という不当な目的」のためにおこなわれ、「統一教会であることを秘匿した上で、人の弱みに巧みにつけ込み、不安を煽りながら誘導」するものであったため、「憲法が規定する信教の自由を侵害するおそれのある違法な行為と判断される」として、布教方法や布教目的の不適切さを断じている。

さらに2002年8月には、合同結婚が婚姻の自由を侵害しているという初めての認定も下された。こうした裁判に対しては、「国家と宗教をめぐる信教の自由ではなく、特定教団の伝道方法が国民の信教の自由の侵害であり、違法であるという裁判は、日本の宗教史においては初めて」という指摘があり、その判決からは「宗教団体の布教活動が違法行為となる場合」の基準が示されたという評価がある。

刑事事件として摘発も

刑事事件としての摘発とは、先述した2007~2009年の教会関連会社への検挙のことだ。統一教会系の出版社や印鑑販売会社に対して、特商法違反や薬事法違反で計13件の容疑がかけられた。実際に有罪判決を受けたのは渋谷区の印鑑販売会社2名のみ(2009年の「新世」事件)であるが、懲役2年、執行猶予4年、罰金300万円という判決が下されている

90年代は、松本サリン事件(1994年)や地下鉄サリン事件(1995年)など新興宗教やカルトに対する社会的関心と批判が強まった時期でもあり、こうした背景もありながら統一教会にも厳しい目が向けられていく。

2009年以降もトラブル

11日に記者会見をおこなった世界平和統一家庭連合の田中富弘会長は、徳野英治会長(当時)が引責辞任した2009年以降、コンプライアンスの徹底によりトラブルはなかったことを強調している。確かにここまで見たように、90年代から2000年代初頭の訴訟・トラブルの多さに比して、近年は統一教会などの新興宗教やカルトに関する問題を耳にする機会は減ったように思える。

しかし事実は異なる。統一教会の問題に取り組む全国弁連は「霊感商法や献金の問題はいまだに続いていると」指摘した上で、最近でも裁判になった事例や被害相談があると強調する。2017年から2021年までの5年間に限っても相談件数は約580件、被害総額は約54億円だという。

また全国弁連の紀藤正樹弁護士は、2020年に統一教会の献金違法が認められた東京地裁の判決を紹介しつつ、田中会長による「『2009年以降の案件で、そのようなトラブルはありません』の嘘がよくわかります」と批判している。

統一教会の組織・財務

統一教会の日本における信者は1-2万人に過ぎないとも言われる。しかし韓国や米国など国際的に展開される統一教会にとって、日本が経済的に重要な位置づけを持ってきたことは間違いない。

現在も膨大な献金を集める統一教会とは、どのような組織実態にあるのだろうか。

組織

少し古い情報となるが、以下は1972年の名古屋地裁での裁判で提出された組織図を簡易化したものだ。(*5)

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この記事の特集

安倍元首相銃撃事件

新興宗教(統一教会)と政治

✍🏻 著者
シニア・エディター
早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社マイナースタジオの立ち上げに参画し、同社を売却。その後、The HEADLINEの立ち上げに従事。関心領域はテックと倫理、政治思想、東南アジアの政治経済。
編集長 / 早稲田大学招聘講師
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。日テレ系『DayDay.』火曜日コメンテーターの他、『スッキリ』(月曜日)、Abema TV『ABEMAヒルズ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジアなど。
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