2025年1月4日(土)
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2025年1月1日 05:00 投稿
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<新年>令和7年 変化や複雑化…打開のカギに「対応力」
スイケイデジタルからの移行はこちらから 年末年始休刊のお知らせ

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<貿易>リスク多き中での‟争奪戦激化” 食卓の魚が消えていく―
2025年1月1日 locked-icon #スイケイマーケット #特集:新年号特集2025
 長く日本人の食卓を支えてきたメジャーな魚種の多くが消滅の危機に直面している中で、世界各国から輸入される水産物はますますその重要性が増している。にもかかわらず昨今は世界中で水産資源が怪しくなって、価格にかかわらず買い付け対象そのものがなくなるケースが増えてきた。世界を舞台にした水産物の争奪戦はどんどん苛烈になっている。主な輸入商材の昨年を振り返り、今年を展望してみた。 丸3年もの間、世界の経済を大混乱におとしめた新型コロナウイルス禍が明けた途端、世界中から訪れるインバウンド(訪日観光客)の賑わいもあって、日本の経済活動もようやく正常化に向かいつつあるが、一方ではおよそ30年ぶりのインフレを招き、次第にモノ不足が表面化してきた。 それは日本人なら日常的に食しているであろうサケや塩サバの切身や、スリ身を原料とするカニカマや特別食としての本物のカニ、あるいは輸出の花形ともいえるホタテ製品など、多くのなじみある魚の供給環境が激しく変化していることに、消費者がもっと注意を向けるべき時代が訪れているといえるだろう。 例えばサケ・マス製品は昨年、天然物の代名詞でもあるアラスカのベニが大きく減産し、自国の需要が賄えなくなって価格が高騰。それ以上にかつてない小型化が進んで、サイズと値段が極端に乖(かい)離したことで日本側は買い付けを断念、輸入量は3分の1に激減した。 北米ベニの小型化は筋子の減産にも直結し、伝統ある塩蔵ベニ子も低グレード化したうえに味付け筋子の原料となる冷凍筋子も減産高値に。それどころかマスやシロザケの不漁でイクラの原卵も世界的に不足し、秋サケの不漁が火に油を注いで国内外でとんでもない価格に行きついている。 ランチメニューの定番で庶民の味方だったサバも、韓国を含めて日本近海の不漁や大西洋の減産で世界的に需給が逼(ひっ)迫。日本は輸出の柱を失って円安を生かせなかったほか、輸入物も過去最高値でも中東・韓国に買い負ける始末。 大西洋では冷凍カズノコの親となる抱卵ニシンにシシャモも不安定で急減し、バレンツ海のシシャモは今季の禁漁が決まった。アフリカに目を向ければ、タコの価格決定権はスペイン勢に牛耳られたままだ。 エビやマグロ、ウナギなど持ち直したものもあるが、長引く円安環境と流通コストの高止まりで調達価格は高く、いったん落ち着いたかにみえた価格は再び底上げされつつある。 そして米国の禁輸で日本が優位に立っていた極東のカニの買い付けについても、トランプ大統領の再就任以後のウクライナ情勢次第では、大きく方向転換を迫られる可能性が高い。 したがって今年の貿易事業は、はなから(1)資源枯渇のリスクと(2)買い負けのリスクに加え、(3)トランプ2・0という未知数の3つの避けがたいリスクにさらされているといえるだろう。先が読めないトランプ2.0 日本の水産物輸入は昨年、辛うじて前年並みを維持できたと推定される。カズノコや鮭卵など高単価の商材が減る一方でサケ・マスやエビ、マグロなど大型商材が増えたためだが、ただ予想される年間217万トン前後のうち魚粉・ミールが20万5000トンほどを占める見通しで、これらを除くと2年連続で200万トンに届かなかった可能性もある。一方、輸入金額は海外市況の高止まりや円安で、3年連続で2兆円は超える見通しだ。 これに対して輸入大国の米国と中国は、昨年10月末の実績で米国が前年並みまで金額を伴い回復してきたほか、日本産の減少で中国は数量で6%減り、金額も1割ダウンしているが、中国は前年まで2年続きで高い伸びをみせていたことで、多少減ったからといって大きく落ち込んでいるわけではなく、年間400万トン超の高水準は維持したとみられる。 米国にしてもロシアの完全な禁輸、対中高関税でブレーキがかかったままだし、これが中・ロとも従前のように全く制裁が効いていなかったとするならば、昨年はおそらく過去最多の380万トン、およそ300億ドルというボリュームに達していた可能性さえある。 ただ今年の水産物貿易は、別掲の通り流動的要素が多い。中でも今月就任するトランプ米大統領の考え次第では、モノやカネの動きが劇的に変わる可能性がある。特に対中関税が水産物にも及べば、ただでさえ高騰している底魚類が中国国内に停滞したり、欧州へと加速する可能性もある。 また、公言している通りウクライナ情勢に終止符が打たれれば、対ロ禁輸が解けてカニや底魚類が再び米国に向かい、特にカニは日本の優位性が崩れて買い負ける可能性大だ。ちなみに禁輸前に米国がロシアから輸入していたカニ類は、タラバとズワイを合わせておよそ3万トン、10億ドルに達していた。 日米間では輸出向けホタテ製品の影響が心配されるが、例えば米国産牛肉の輸出拡大の駆け引きに使われる可能性も考えられる一方、中国向けに日本の禁輸が解ければ貝付き冷凍が再び中国を目指すようになるかもしれないし、輸出が止まれば国内市況に影響を及ぼす可能性もある。 目下のところ日本産水産物に高関税をかける話はなさそうだが、「トランプ2・0」は為替の動向を含めて全く予測がつかめず、直接・間接問わず、極めて流動的で複雑な流通の変化をもたらす可能性があることを想定しておく必要があるだろう。
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<貿易>サケ・マス ベニ買い付け減少で天然の切身消滅の危機
2025年1月1日 locked-icon #スイケイマーケット #特集:新年号特集2025
 数字上は前年を上回る順調な輸入を維持できているが、実情は生鮮も冷凍も厳しさを募らせて、高くて買えなかった分をほかで補うようにして、何とか体裁を保っている。 減少したのは年々市場シェアを落としている天然物のベニで、昨年はブリストル湾が小型化と高値で北米新物が激減し、ロシア産もサイズのよい東カムチャツカの不漁で減少した。北米ベニはすでに量的にまとまるブ湾以外、近年はほとんど買い付けの対象にはならなくなったが、そのブ湾がかつてない小型化に陥ったことで、自国消費も賄えなくなり価格が高騰。商品価値が見いだせなくなった日本は“土俵”から去らざるを得ず、多くが買い付けを諦めた結果、新物の輸入量は7~10月でわずか1300トンと前年同期の3分の1以下、ロシアも3600トン弱で4割減と激減し、“天然消滅”の危機にまた一歩近づいた。 このため切身の定番はすっかりチリギンの独走態勢が定着してしまったが、これとてアトランの相場次第ではその代用として日本以外に流出しており、高値をのまざるを得ない事態が固定化されつつある。数量確保がやっとといったところだ。
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<貿易>マグロ 消費停滞、供給過剰が招く悪循環
2025年1月1日 locked-icon #スイケイマーケット #マグロ類 #特集:新年号特集2025
 刺身マグロの市況は商材がもつ価値でなく、外的要因に影響されがちだが、それがより顕著な一年だった。2022年の秋にピークを過ぎた相場は、年末商戦の前後に一服する場面があったものの、24年の旧盆が過ぎるまで右肩下がりで続いた。 原因は超低温冷蔵庫の庫腹不足(満庫問題)にある。異常な高値で消費が落ちたまま、国内外から荷が集まり続けて在庫過剰に。運搬船は長期係船を強いられた。そのため運航スケジュールが狂い、外地で積みきれず冷凍コンテナ便で送られるマグロが増えた。デマレージ(超過保管料)の関係から運搬船の荷降ろしが遅延し、待機時間をさらに延ばす悪循環が発生したことで、生産者が強気に値決め交渉できない構図が続いている。 25年も国内および海外で消費が回復しなければ、同様の事態が続くと予想される。そのうえで日本近海を含む太平洋中西部において、クロマグロ漁獲が大型魚(30キロ以上)は1.5倍(8421トン)、小型魚(30キロ未満)は1.1倍(4407トン)の増枠が始まる。消費が変わらないまま生鮮の上場本数が増えれば、供給過剰が加速し、冷凍物は後回しになりかねない。
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<貿易>冷エビ 新興エクアドル産へ切り替え進む
2025年1月1日 locked-icon #スイケイマーケット #特集:新年号特集2025
 2024年10月までのエビ類輸入量は、財務省の発表によると前年同期比8.4%増の17万5544トン、7.0%増の2403億5900万円だった。23年に約40年ぶりに21万トンを切る記録的な搬入量の少なさとなった反動もあり、回復基調だ。 注目は何といってもエクアドル。24年夏過ぎには日本側各社によるパッカー詣でも相次ぎ、国別の輸入量では10月までですでにタイ国を抜き4位へ浮上。累計輸入量は128.0%増で10月までに初の1万トン超になった。 エクアドルからすると過半を振り向ける中国の影響が大きく、中国需要の低迷で生産は頭打ちとの声もある。現地からみると日本向けは全輸出量のうち国別で1%とわずかだが、日本では品質のよさと価格で切り替えが進んでおり、エクアドル産の流通量は25年も増加する見込みだ。 日本へ国別最多量を供給するインドは、エクアドルの増産などを理由に第2クロップの池入れ量は減少したとの声もあるが、むきエビなどに活路を見いだす動きから、現地発表の輸出実績は増加。ただ、25年は減少となる可能性も高い。
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<貿易>冷スリ身 数量前年並みでも募る価格上昇圧力
2025年1月1日 locked-icon #スイケイマーケット #特集:新年号特集2025
 冷凍スリ身は国内在庫がまとまる中でも前年並みの搬入が続いている。 主力スケソウスリ身の2024年1~10月の累計輸入量は、前年同期比0.4%増の8万6543トン。減産と新物の値上げによってメインの米国産の10月末時点のキロ平均単価は12.9%高の368円で、累計は5.4%減の7万884トンにとどまった。 一方、ロシア産は39.8%増の1万5659トン。米国とは対照的に前年を大きく下回る15.7%安の306円となって搬入量の増加が目立ち、米国の減産分をカバーする形となっている。 イトヨリスリ身についても1.8%増の1万1428トンとほぼ前年並み。米国スケソウと足並みを揃えて東南アジアの原産国でも減産に踏み切ったが、4.8%安の396円と、まだ前年同期よりも安いこともあってか数量が伸びている。 今後はスケソウ、イトヨリともに減産の影響が一層顕著になる可能性は高い。主力のスケソウは米国においては採算割れとなる業者が多く、ロシア大手も次期Aシーズンの値上げ見通しを発表するなど、価格上昇圧力は高まっている。
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大規模養殖サーモン 27年に3万トンの供給増
2025年1月1日 locked-icon #サケ・マス類 #特集:新年号特集2025 #陸上養殖
 増え続ける水産物需要に応えるためにも、養殖への期待はますます高まっている。中でもサーモンは、生産効率を向上させるために各社が大規模な計画を発表。単純計算で2027年には3万トンのサーモンの供給増が見込まれる。世界的な人口の増加とタンパク質需要の増加の現実がありつつも、消費マーケットのサイズと供給のバランスが崩れれば価格は急落しかねない。増え続ける日本産サーモンの勝機を探りたい。 発表されているサケ・マス養殖の大規模な生産拠点の中でも最多を計画しているのは、伊藤忠商事と極洋が販売契約を結んでいるソウルオブジャパン。当初、25年の初出荷を発表していたが、27年の出荷を予定。年間1万トンの生産量を発表している。 次いで大きいのが、丸紅が10年間の販売契約を結んでいるプロキシマー。27年にセミドレスで5300トンで、原魚換算すると6400トンとなる。 三井物産が50・4%を出資しているFRDジャパンは27年に3500トン、ニチモウ、九州電力、西日本プラント、井戸内サーモンファームが取り組むフィッシュファームみらいは24年の300トンの実績から3000トンまで増やす計画。マルハニチロと三菱商事が出資するアトランドは27年に2500トンとしている。 各社の生産計画の数量を単純に積み上げると、2027年ごろには陸上養殖だけで2万5400トンの供給がプラスになる。 加えて、青森を主な拠点として海面でトラウトサーモンを養殖するオカムラ食品工業では、26年に5000トンを見込む。アトラン市場拡大なるか 魚種はアトランティックサーモンが多い。ノルウェーではすでに140万トン超、次ぐチリでも70万トン超を生産。日本は切身や寿司種などで消費され、23年度の輸入量は2万6000トン程度。陸上でアトランを養殖するソウルオブジャパン、プロキシマー、アトランドの生産量を合わせると1万8900トンで、23年度の輸入量を消費量ととらえれば、マーケットをほぼ倍増させる必要がある。各社ともに輸入アトランティックマーケットを国産へ置き換え、さらに国内マーケットの拡大、近隣諸国への輸出を目指しているが簡単ではない。 現状では生鮮向けに空輸されるアトランだが、国内生産が実現すれば二酸化炭素(CO2)削減によるサステイナビリティへの貢献、周辺諸国へは日本産ブランドなどをアピールポイントとする戦略だ。 一方、日本国内での消費が主力のトラウトは陸上養殖6500トンとオカムラの海面養殖を合わせると1万1500トン。国内のサケ・マスマーケットの総供給量は23年は38万トン程度と試算され、陸上、海面合わせて3万トンの供給が増えると、マーケット全体への影響は計り知れない。 消費拡大の課題とともに、輸入原料が主力の魚粉が欠かせない餌と、やはり輸入に頼っている種苗の確保、加えて電気代などのランニングコストをどれだけ下げられるかも、大規模養殖事業の成功のカギとなっている。
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特徴は「国産」「サステナブル」「高鮮度」 プロキシマー、国産初アトラン初出荷 
2025年1月1日 locked-icon #サケ・マス類 #特集:新年号特集2025 #陸上養殖
 大規模閉鎖循環型陸上養殖(RAS)による国産初アトランティックサーモンが昨年10月下旬に出荷開始した。プロキシマー(株)(本社・横浜市)が富士山麓で養殖を行っている「フジアトランティックサーモン」は、ノルウェー資本だが日本法人として足かけ10年、ようやく出荷にこぎ着けた。 当面の生産量は少ないが、年明け以降、徐々に数量を上げていく計画で、フル稼働の2027年までには約5300トン(セミドレス)の生産を見込んでいる。 「国産」「サステナブル」「高鮮度」の特徴を兼ね備えたこの「フジアトランティックサーモン」は、これまで海外で進められてきたRASのノウハウを生かしながら、ノルウェーをはじめとした世界各国から集まった技術者が、日本人スタッフに技術移転を図りながら事業を進めている。 小山養殖場は敷地約5万7000平方メートル内にふ化・幼魚場棟と育成場棟があり、育成場棟には地下パイプを通して移動してきた魚を直径18メートル、深さ5メートルの巨大タンク22基と直径11メートル、深さ3・5メートルの小タンク12基が設置され、常時6万~7万トンの水が工場内を循環している。また浮遊物を沈殿させ、バクテリアによる生物ろ過により水質浄化する沈殿槽やバイオフィルター、嫌気性細菌処理槽など、各所に備える水処理システムは世界最高レベルの浄水化装置で、海外では実績の高いアクアマオフ製を使用している。 丸紅と10年間の販売代理店契約を結び、丸紅シーフーズの販売力を使いながら現在、首都圏を中心に展開しつつある。今後は富士山麓の足元である中部エリアや関西エリアだけでなく、販売エリアを徐々に拡大していく見込み。
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<重大ニュース>大規模RASによる国産初アトラン生産 
2024年12月25日 locked-icon #サケ・マス類 #陸上養殖
 プロキシマー(株)(本社・横浜市、ヨアキム・ニールセン最高経営責任者〈CEO〉)は今年9月末、富士山麓で行っている大規模閉鎖循環式陸上養殖施設(RAS)による日本初の国産アトランティックサーモンを初出荷した。「国産」「サステイナブル」「高鮮度」の特徴を兼ね備えたサーモンは「Fuji Atlantic Salmon(フジアトランティックサーモン)」と命名され、首都圏での販売を皮切りに年間4000トンペースから出荷をスタートしている。 富士小山養殖場にはふ化・幼魚場棟と育成場棟があり、直径18メートル、深さ5メートルの巨大タンク22基と直径11メートル、深さ3・5メートルの小タンク12基で養殖。浮遊物を沈殿させ、バクテリアによる生物ろ過により水質浄化する沈殿槽やバイオフィルター、嫌気性細菌処理槽などを各所に備える水処理システムは世界最高レベルの浄水化装置使用が特徴でもある。 出荷後、施設内にある加工場でセミドレスにして、生鮮出荷しており、年明け以降、徐々に出荷量を増やしていく計画。
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<魚食にっぽん>アトランティックサーモンも国産の時代へ vol.167
2024年12月23日 #サケ・マス類 #陸上養殖 #魚食にっぽん
 国産初養殖アトランティックサーモンの本格販売が10月下旬から始まった。富士山麓で大規模閉鎖循環式陸上養殖施設(RAS)によるアトランティックサーモンで、その名も「FUJI  ATLANTIC  SALMON(フジアトランティックサーモン)」。現在は首都圏を中心に各地への販売を行っており、今後は生産量の安定化を図るとともに販売数量を伸ばすために消費者の認知をどこまで広げられるのかが注目されるが、日本におけるサケ・マス供給の新時代到来といえる。鮮度抜群で歯応え、うま味が楽しめる アトランティックサーモンといえば遠い北欧から何時間もかけて空輸で運ばれてくるのが一般的だった。しかし、近年の養殖現場では病気発生のリスクなどを抱える一方で、世界的なシーフードの需要増や燃料費、資材、飼料の高騰などを背景に養殖サーモンの価格高騰と厳しい供給事情があった。そこへ登場したのが、世界のサケ・マスの中でも最も養殖が行われているアトランティックサーモンを大規模RASでしかも国内で生産を行うというものだ。 施設は日本の象徴的な山の麓に巨大な施設を構えているが、外見はまるで巨大な工業関係の倉庫にしかみえない。しかしれっきとした養殖施設である。 10月下旬からの本格出荷を開始したプロキシマー(株)では週に1~2回のペースで水揚げをし、養殖場のある工場内で一次処理して二次加工を行う業者に出荷、そこから量販店などに向け販売されている。「歯応えがよく、うま味もありノルウェー産空輸生鮮アトランティックサーモンと全く遜色がないと高評価を得ている。現在は北海道から西は中国地方辺りまで販売しているが、今後数量がまとまってくれば、ニーズに合わせた出荷体制も考えていきたい」と話している。商品力の高さに手応え 神奈川県を中心に48店舗を展開する相鉄ローゼン(株)(横浜市)では、試験販売時から商品力の高さに手応えを感じていた様子。同社ではセミドレスで搬入した鮮度抜群のアトランティックサーモンをインストア(一部除く)で捌き、寿司や刺身などで提供するスタイルを取っている。 10月下旬の販売開始時には、特設売場を設け自社で作成した販促ツールを使って売場を盛り上げた。生産現場も視察したという担当者は「他社も陸上養殖を始めているが、何年か先に商品が出てきた時にも、うちはフジアトランティックサーモン一本でいく心積もり」というほど魚にほれ込んでいる。「現在は生産数量もまだ多くはないので、チラシなどを使って宣伝をかけるのが難しいが、ハレの日に食べる上質なサーモンとして販売していきたい」としている。 年明けにはさらに生産数量が伸びる予定で、今後国産養殖アトランティックサーモンがどこまで認知が広がり、消費量を伸ばすのか注目される。
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ブランドトラフグ「ふぐの神」販売 JR西イノベと陸水、大阪・岬町で陸上養殖
2024年12月18日 locked-icon #関西 #陸上養殖
 【大阪】(株)JR西日本イノベーションズ(川本亮社長)と(株)陸水(奈須悠記社長)は、大阪・岬町で陸上養殖したブランドトラフグ「ふぐの神」の販売を開始した。両社は昨年12月に業務提携した。連携の一環としての本格的な販売は今回が初めてとなる。 「ふぐの神」は、仕上げにユズの粉末を練り込んだ餌を与え、淡泊な味の中にも爽やかな風味が味わえるのが特徴。 「縁起がよい魚といわれるフグ(福)を多くの人に食べてもらい、幸せになってもらいたい」という思いを込めて、「福の神」になぞらえて、「ふぐの神」と名付けた。 量販店や飲食店で、1~1・2キロサイズ、約4000尾を来年1月ごろまで販売する。両社は来期は約2万尾を販売する予定。陸水の運営する直営飲食店も順調で、同店でもフグが食べられる。大阪まで約1時間の距離で生産。圧倒的な鮮度を強みに拡販していく。 トラフグの出荷後には、トラウトサーモンの養殖に入る。
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2025管理年度ブリTAC意見交換会 1月17日開催
2024年12月27日 locked-icon #ブリ類 #資源管理
 水産庁は2025年から始まるブリの漁獲可能量(TAC)設定に関する意見交換会を、1月17日に東京・千代田区のAP市ヶ谷6階で、ウェブを併用して開催する。午後1時30分開会。 定員は会場参加が100人程度、ウェブに制限はなし。参加希望者は水産庁ホームページの専用フォームから申し込む。 ▽問い合わせ先・水産庁資源管理推進室=電話03―6744―2361
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大阪府 メバル1万尾を放流調査 効果的放流技術確立へ
2024年12月27日 locked-icon #資源管理 #関西
 【大阪】大阪府立環境農林水産総合研究所(環農水研)と大阪府漁業振興基金栽培事業場は17日、大阪・岬町周辺地先で全長約10センチ、体重約20グラムのメバル約1万尾を放流した。 メバルには標識を装着。継続的に標識個体の漁獲情報を収集・解析し、大阪湾での成長速度の推定や生息に適した放流場所の検討など、効果的な放流技術の確立を目指して調査研究を進める。 メバルはDNA解析ではアカ、クロ、シロの3種に分類されるが、今回は詳細な種名は公表していない。
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出漁減で漁獲量影響 24年千葉県アワビ類53・5トン
2024年12月26日 locked-icon #資源管理 #関東
 【千葉】千葉県水産総合研究センターは19日、2024年の主要6漁協(夷隅東部、御宿岩和田、勝浦、新勝浦市、鴨川市、東安房)におけるアワビ類の漁獲状況を公表した。総漁獲量は53・5トン(前年比26%減)で、20年に次ぐ低調な漁期となった。ただし、一日一隻当たり漁獲量(CPUE)に顕著な減少はない。7月ごろまでの低水温や8月以降に多発したシケにより、延べ出漁隻数が減少した影響だと考えられる。 種類別の漁獲量はクロアワビ26・5トン(26%減)、メガイアワビ27トン(28%減)だった。クロアワビは18~20年にかけて漁獲量が大きく減少し、その後は低迷している。キロ平均単価はクロアワビが1万7932円(前年比1%高、5年平均比6%高)でメガイアワビは7884円(15%安、11%安)だった。22年に最高値を付けたものの、多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出を受けた中国の禁輸措置により、単価は低下している。 一般漁場10地先のCPUEを指標とした、24年のクロアワビ資源水準は「低位」、資源動向は「増加」。メガイアワビは資源水準が「高位」、資源動向は「増加」と評価している。
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<重大ニュース>サンマ漁獲枠で新ルール NPFC合意
2024年12月25日 locked-icon #資源管理
 4月に大阪市内で行われた日本、台湾、中国、ロシアなどが加盟する北太平洋漁業委員会(NPFC)年次会合で、サンマ漁獲枠に新ルールを設定することで合意した。それに基づき行われた2024年漁期は、日本船によるサンマ水揚げが2年連続増となって4万トン近くまで伸び、資源回復の道筋を確かなものにした。 新ルールの内容は総漁獲可能量(TAC)を自動計算するもので、前年との変動幅を10%とした。全体のTACは23年漁期の25万トンから22・5万トンに縮小。うち公海は15万トンが13・5万トンへと削減された。 これにより公海の中国船・台湾船の先取り期間がさらに短縮され、日本船の漁獲の伸びにつながった。不漁年水準には違いないものの、小売店頭では秋の旬魚らしさを取り戻して売場を広げた。
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スルメイカ低加入の継続 TAC1・92万トンを提案 水産庁
2024年12月25日 locked-icon #イカ類 #資源管理
 水産庁は23日、都内でスルメイカ全系群の第6回資源管理方針に関する検討会(ステークホルダー〈SH〉会合)を開催し、2025管理年度(4月~26年3月)からの漁獲可能量(TAC)を1・92万トンとすることに、参加者の賛同を得た。当初配分は現行の約6割減となる1・15万トンだ。漁業種別の配分や留保利用のルールは、来年1月下旬を予定するTAC意見交換会で示される。 スルメイカは主に日本海を漁場とする秋季系群と、太平洋側の冬季系群の両資源が同時に減少している。とはいえ、どちらも漁獲が過剰なわけではない。直近年の漁獲圧は、最大持続生産量(MSY)を実現する水準を連続で下回っている。 水産研究・教育機構は「想定よりも低い加入が連続している」とし、再生産関係の下振れが続いていることを伝えた。親の量が少ないうえ、秋季系群は海流の変化を受け大陸側へ分布する割合が増し、生き残りが少ないという。こうした背景から引き続き近年の低加入が継続され、その後徐々に回復すると予測した。 10年後に50%以上の確率で目標管理基準値案を上回る漁獲シナリオ(ベースケース)を選択すると、25管理年度の生物学的許容漁獲量(ABC)は1・7万トンで、うち6割の1・02万トンが日本のTACとなる。 水産庁は(1)ベースケースとともに、単年生のスルメイカは環境次第で加入が上回る特性から、(2)過去の低加入期に発生した高い加入と、(3)再生産関係の90%範囲で発生する上振れも想定。さらに10年後に目指す親魚量の水準を、目標管理基準値の80~85%に当たる限界管理基準値(暫定管理基準値)とする漁獲シナリオも提示し、同様に(4)ベースケースと(5)高い加入も想定した5つの選択肢を提示した。 いずれも、TAC制度を導入した1998年以降で最低の数量であり、24管理年度の当初配分である2・9万トンをも下回る。だが、出席した漁業者および関係者の多くは、現在の資源状況と現場での調整を考慮したうえで目標を暫定管理基準値とし、近年の低加入が継続されるシナリオ(4)を支持した。TACは1・92万トンとなり、うち40%に当たる0・77万トンを留保、残り1・15万トンが当初配分となる。 とはいえ参加者からは、TACを下回る漁獲量を継続しても資源が減少する現状に「何を信じてよいのか分からない」とし、「再び資源が回復する頃には漁業者がいなくなる」と、待ったなしの状況が伝えられた。 これを受けて水研機構は、評価の改善に向けた取り組みに言及した。漁獲情報から冬季系群は深場への分布割合が増えており、沖合底びき網漁業のデータ収集などを開始、今後の資源評価に反映することを約束した。
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JFマリンバンク ルポ・JF一宮町漁協特集
 兵庫県は、北は日本海、南は太平洋、瀬戸内海に面していて、約4000人(2023年)の漁業者が多種多様な漁業を営んでいる。県下の漁業者らは日頃から漁場環境の保全、資源管理など、将来に向けた取り組みを続けてきている。 このうち瀬戸内海、淡路島西海岸の中央部、淡路市のJF一宮町漁協(石上敏弘組合長)でも将来にわたって漁場環境の変化に対応し、豊かな海の恵みを持続的に有効活用していけるようにと、豊かな海づくりへ向けた取り組みが行われている。  同漁協組合員が操業する地先には比較的浅い海が広がっている。また、季節ごとに変わる多種多様な魚介類に合わせた漁法が発達。船びき網、小型底びき網、ノリ養殖といった漁業が盛んに行われている。 海の栄養塩不足など課題 全国的にノリ生産量は近年大きく減少。その要因の一つとして海況の変化などが取り沙汰されている。同漁協もその例外ではなく、ノリ養殖に携わる若手生産者を中心に待ったなしの危機感をもっており、「将来にわたり漁場環境の変化に対応した豊かな海を有効活用していくために自分たちができることから取り組んでいこう」と努めてきた。  また、栄養塩類の供給については、ノリ養殖に限らず、海洋生物の植物連鎖の礎ともいえる、植物プランクトン、動物プランクトンの増殖、それを餌とする水産生物にも大きな影響があるとみられ、漁船漁業の低迷の一因ではないかと考えられ始めている。  漁場保全活動を継続的に取り組むにあたっては、JFマリンバンク漁場環境保全活動サポート事業も活用。同漁協では以前から取り組んできているマダコ資源増大の取り組みのほか、アマモ場の保全、アオリイカ人工産卵床の設置、栄養塩類(粒状発酵鶏ふん肥料)の補給などに努める。  昨年も、ため池の水をくみ出して泥をさらう「かいぼり」を行い、豊かな海づくりのために栄養塩類の補給などに取り組んでいる。 全国一のため池の数 一宮町漁協のある淡路市には1万3301か所の「ため池」があり、その数は全国市町村別で1位を占めている。  一方、少子高齢化による農業従事者の減少で、ため池を利用してきた農業関係者だけでは管理が難しくなり、安全面はもちろんのこと、環境への影響も配慮した管理の技術、文化の継承が課題になってきている。 漁協と農協が協力 里海交流で地域活性化 漁場環境の保全にあたっては、栄養塩の問題のほかにも、プラスチックゴミなどの陸(おか)で発生するゴミの問題も深刻になってきている。同漁協は、「海は河川などを通じて陸とつながっている。陸のゴミが海に流れ着き、海の生態系に悪影響を及ぼしている。  このため「海だけでなく、陸と一体となった取り組みが大切だ」という認識のもと、地域を支える農業者・農業団体や次代を担う子供たちといった多様な地域関係者も巻き込んだ取り組みを進めてきている。  一宮町漁協は今年10月、地元尾崎のため池「新池」で、ため池を管理する田主と共催でかいぼり(ため池の底泥清掃)を実施した。当日は地元のJA淡路日の出農協、消防団、(株)成田、淡路県民局洲本土地改良事務所、同局洲本農林水産課、ひょうご環境創造協会、兵庫県環境部水大気課、淡路市産業振興部、JF兵庫漁連、JFなぎさ信漁連、農林中央金庫、生活協同組合コープこうべなど約100人が参加。かいぼりによって、ため池に堆積した栄養豊かな泥は近くの新川を通じて海に流された。 かいぼりの実施 初めに一宮町漁協の石上組合長は「かいぼりにあたっては、田主の皆さんや関係者には草刈りをはじめご協力をいただいた。田主さんは人手不足、漁業者には海域の栄養塩が不足するといった課題がある。両者が協力してかいぼりを行うことで、池の泥が川を伝い海に流れ、泥に含まれる栄養で海の生物が育つ。池には空き缶などのゴミもあり、陸で回収して海に流れないようにしたい」と述べた。続いてかいぼりを支援する、洲本土地改良事務所農村計画第二課の尾崎展一課長があいさつ。  門康彦市長は「淡路市は全国一のため池の数を誇り、私は県のため池保全協会会長も務めている。かいぼりの管理は農業にとってだけでなく、漁業にもプラス要因が多く重要である。かいぼりを通して環境保全について理解してもらいたい」と述べた。  ため池では初めに漁業者が網をひき、フナ、ウナギ、ブルーギル、カメなどの生き物を捕獲。ゴミ収集をしたあと、ジョレンなどを使い人力で池の底を攪拌(かくはん)した。  作業の合間にはJAバンクのイメージキャラクターを務めるなど系統組織と関係の深い俳優・松下奈緒さんも見学、応援に駆け付けて、石上組合長らを激励した。  昼食は農協が新米を提供して塩むすびが作られた。また、漁協はおむすび用のノリ、マダイのフライ、タコのから揚げを提供。参加者は地元の食材を使った昼食を楽しんだ。  当日は親子の参加もあり、兵庫漁連は魚介類のクイズなどを実施。かいぼりの必要性や豊かな海づくりへの取り組みについても説明した。  最後に漁協の武田康裕副組合長が「無事に多くの(栄養がある)泥を海に流すことができた。漁協、農協によるかいぼりの作業は小さな一歩だが、この一歩が次の大きな一歩につながると思う」とあいさつ。かいぼりを終えた参加者は拍手で同日の作業をたたえ合った。 子育て世代 親子料理教室 一宮町漁協は淡路市内で12月、子育て世代親子料理教室を開催した。  当日は親子23組65人のほか、関係者を含め約100人が参加。初めに石上組合長があいさつ。環境保全や資源管理などに取り組んできている中で、本日のマダイやツバス、クマエビ、コウイカなどを食べられることを説明。このあと、門市長が来賓あいさつ。参加者に謝意を述べるとともに、海の恵みに感謝し楽しんでもらいたい旨を話した。  親子らはマダイやツバスの三枚おろしを体験。さらに、マダイのスリ身を使ったさつま揚げ作りなども行った。  続いて兵庫漁連指導部の西本広幸課長がジャンボ巻き寿司作りについて説明。親子らは地元のノリやご飯を使い、一丸となって、おいしく長い巻き寿司を作った。淡路市産業振興部の上林俊勝部長と相田邦光特命参事は、漁業・農業の成果で出来上がった巻き寿司が、長さ21・27メートルだったと報告。門市長が顧問の淡路市漁業振興協議会(9漁協で構成)認定記録になった。  親子らは地元で獲れたマダイやコウイカ、クマエビなど地元食材たっぷりの具材を農協が提供したご飯をノリで巻いたおいしい巻き寿司を楽しむとともに、改めて「自分たちの力で地域を元気にしていく、よりよい未来を創っていけること」を確認。漁業・農業が一丸となって協力連携していくことはそれぞれの産業振興のみならず、地域全体の活性化につながることを「食」を通して身をもって理解を深めた。  当日は抽選で、なぎさ信漁連、農林中央金庫が淡路島のノリなどをプレゼントした。
長崎発旨い本マグロ祭り品評会特集2024
 すっかり歳末の風物詩となった長崎発「旨い本マグロ祭り」品評会(主催・JF長崎漁連、長崎県まぐろ養殖協議会)が今年も14日、開催された。養殖マグロの黎(れい)明期の2013年にスタートした品評会は、当時最多量を養殖していた鹿児島県に「追い付け、追い越せ」の勢いだった。14年には数量で追い越し、時代は「量から質へ」と変化。天候や海況に左右されず、いつでも安定して供給できる養殖マグロの強みは、消費者の好みに合わせられることでもある。「サステイナブル」は、今やすべての事業者が対応しなくてはならない時代のキーワード。天然マグロの漁獲枠が増えても、養殖マグロの意義はますます高まっている。 品評会は今年も長崎市内のサンプリエール長崎で開かれた。  冒頭、JF長崎漁連の高柳成勝参事が代読した髙平真二会長のあいさつで「長崎産マグロはPRされている」と品評会の効果をアピール。  長崎県養殖協議会会長の小川広之(株)ニッスイまぐろ取締役常務は、関係者の協力で開催できることに謝意を述べたうえで「審査員の評価を通じて、消費者ニーズに合ったマグロづくりを進めている」と意義を紹介。相場については「10年ほど前には3500円(キロ当たり)を達成したが、中国の輸入禁止などの影響で現状は3000円(同)近くへ下がっている」とし、海水温の上昇や餌となるイワシ、サバの相場上昇などの厳しい状況を伝えた。「即売会では心待ちにしている人がいる。引き続き、『長崎の本マグロはうまい』と言ってもらえるようにしたい」と力を込めた。  第1回から審査委員長を務める元水産庁次長の宮原正典農林水産省顧問は、昨年は来られなかったため2年ぶりに長崎へ来て「即売会に長蛇の列ができていてびっくりした。第1回では『マグロって何だ』というような反応だった。マグロの価値が上がっている。皆さんの努力の結果」と関係者の努力をたたえた。  中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)での増枠が公表されていることから「(品評会が始まった)10年前にはマグロを絶滅危惧種にするかという議論があった。今や問題ないところまできた。餌が高くて生産者は大変だと思うけど、これからがまさに質の勝負。もう少しがんばってみましょう」とエールを送った。」  審査は市場や流通の関係者らの専門委員13人と、長崎大学の学生、長崎鶴洋高校の生徒らを含めた一般審査委員17人が味や見た目の基準で審査した。  品評会には県内を上五島、下五島、県北、対馬、壱岐の5つの海域に分け、下五島、県北からはそれぞれ2業者、それ以外からは各1業者の計7業者が出品。サイズは昨年に引き続き40~60キロに限定し、超過や未達の場合には減点するルール。今回は、1業者が60キロ超だった。平均は57・3キロだった。  並べられたマグロの生産者名は明かされず、アルファベットを表記。包丁捌きの優劣がマグロの質の評価につながらないよう、切り分ける作業までは協議会のメンバーの1人が全マグロをブロックの状態に切り出した。ブロックから刺身へのカットはホテルの料理人に任せることで公平性を担保した。  光の当たり方で審査ポイントである見た目が変わるため、すべてのマグロをパネル側へ寄せた。  専門審査委員はかがんだり遠のいたりしながら真剣勝負で審査。一般審査委員は試食のたびに「おいしい」「違いが分からない」と言いながらも笑顔で食べ進んでいた。  最優秀賞は双日ツナファーム鷹島、優秀賞はツナドリーム五島が受賞。トロフィーを受け取った双日ツナファーム鷹島の永田正実営業部長は「現場でおいしいマグロを目標に取り組んできた。うれしい」と喜びを表現。ツナドリーム五島の石山直良社長は「従業員のみんなに感謝したい」と仲間へ謝意を伝えた。  宮原審査員長は「今回、 味の差は非常に僅差だった。受賞しなかった方も決して落胆しないでほしい」と激励。「ドリップの出方に多少差があったので、次回以降、気を付けてもらうといいのでは」と示唆した。  最後は小川会長が「これから年末の出荷作業が忙しくなると思うけど、『長崎の旨(うま)い本マグロ』を全国へ届けましょう」と呼び掛けた。 水産庁が資源管理を説明 審査時間には、水産庁の資源管理部漁獲監理官の松島博英課長補佐が「マイワシ・サバ類およびクロマグロの資源管理の状況について」と題し講演。  クロマグロの餌となるマイワシ、サバのTACの決め方から配分方法、増枠が決まったクロマグロの配分についても説明した。  (株)SIX VOICEの土生修平代表取締役は、無人操作型の水中ドローンは水産、船舶、インフラ点検で導入が増えており、養殖関係では、ロボットアームを使った斃(へい)死魚の回収、電動ブラシを使ったイケスの掃除などにも利用されていると紹介。サポート体制をつくっているので興味があれば問い合わせてほしいとアピールした。
大阪市東部市場60周年特集
 大阪市東部中央卸売市場は、1964年11月に開業し、今年開設60周年を迎えた。去る11月12日には記念式典・祝賀会が行われ、24日には「60周年記念市場まつり」を開催、市民ら約3万6000人が来場した。特集では、式典や市場まつりの模様、同市場の沿革や取り組みを紹介する。 開設60周年を記念した大阪市東部中央卸売市場「市場まつり」が11月24日に開かれた。開始時刻の午前10時から終了時刻の午後2時まで、一般市民ら約3万6000人が来場した。  市場まつりのオープニングセレモニーでは、開設60周年記念事業委員会の田中洋二会長(大阪市東部水産物卸協同組合理事長)、大阪市中央卸売市場の釼持英樹市場長が主催者あいさつのあと、市場まつり実行委員会の松田英明委員長(大阪市東部水産物卸協同組合副理事長)の開会宣言でスタート。待ちわびた大勢の市民らが市場内になだれ込んだ。  水産関係では、大阪東部鮪部会がマグロのブロックやマグロ丼などを販売し、売場前は商品を買い求めようとする人で大混雑。大阪市東部水産物卸協同組合の鮮魚部は、タイ、ブリ、ワタリガニ、クルマエビ、同塩干魚部は、明太子、サケ、チリメンなどを廉売したほか、大きなイカ串焼きを販売、終始行列が途絶えなかった。大阪市水産物商業協同組合は、タコめしを販売したが、正午前には完売する人気ぶり。そのほか、野菜の特売、くじ引き、焼きそばの無料試食などに人々が殺到し、一時、会場内は人の波で埋め尽くされた。  今回は、落語笑隊モリアゲルンジャーの5人(桂鯛蔵、桂二乗、桂そうば、桂米輝、桂天吾の各氏)が「大喜利」オンステージなどに出演し、会場を盛り上げた。大喜利には、松田実行委員長も参加。来場者から出された謎かけのお題「市場」に対し、松田委員長は「市場とかけて、満塁ホームラン2本と解く。そのこころは『東部市場がますます発展(8点)するでしょう』」と述べ、はなし家顔負けの解答ぶりに拍手が沸き起こった。  メインステージでは、大阪東部鮪部会による「マグロ解体ショー(京都・伊根産畜養本マグロ約100キロ)」、市場ならではの豪華賞品がプレゼントされた「東部市場・なるほど!○×クイズ」や、阿波踊り&よさこい地域伝統芸能ステージ、セレッソ大阪トーク&バラエティーショー、パリパラリンピック卓球女子金メダリスト和田なつき選手のトークショーが行われた。  サブステージでは、大阪府立東住吉高校吹奏楽部オンステージ、当日参加者を募集し、子供の部と大人の部で開催されたカツオ節削り大会は、1分間に削った量を競うもので、各参加者の真剣さがみなぎり、白熱した。
海とさかなコンクール特集2024
 海とさかなの不思議や驚きを子供らしい発想で取り組む研究作品や絵や作文などで表現する創作作品を募集する、小学生対象の「海とさかな」自由研究・作品コンクール(朝日新聞社、朝日学生新聞社主催)が今年で43回目を迎えた。ニッスイは初回から協賛を続けている。応募作品は2万3005点で前年比微減だったが、個人応募は129.2%と増加、主体的に作品制作に取り組む家庭が増えていることがうかがえた。農林水産大臣賞とニッスイ賞の4作品の紹介と、コンクール事務局がどのような取り組みを行ったのかを紹介する。 応募促進のため、複数の小学校を同時につないで海とさかなの不思議を学ぶ「オンライン出張授業」を今年も開催。ニッスイ中央研究所大分海洋研究センターの山下量平氏による「おいしいサーモン養殖の秘密」やサイエンスエンターテイナーの五十嵐美樹さんによる「たまごのひみつ」、女子美術大学非常勤講師の守屋球子さんによる「クラスでひとつの色図鑑を作ろう!」の3講義をそれぞれ6月に実施、全国から過去最多となる合計61校の5107人が参加した。 応募作品の特徴 最終審査会では、「研究部門では前年に続けて同じテーマで応募する子供がいた。研究は追及していくことが大切だが、失敗しながらも探求していく姿勢が見られた」「自由研究は単に本やインターネットで調べたことを作品にまとめるだけではなく、五感を通して感じた情報が盛り込まれている作品が選ばれた」など、子供らしいアイデアや視点で自分なりの体験や学びを表現している点が評価された。 表彰式もオンラインで 今年もオンラインで行われた14日の表彰式には各賞のプレゼンターが出席し、16人の受賞をそれぞれたたえた。また受賞者16人からは得意とする分野でクイズが出題されるなど、飽きさせない工夫もみられた。  総評を行った審査委員長の猿渡敏郎東京大学大気海洋研究所助教は「今回受賞された方には、作品が完成するまでには家族や先生など、どれだけ周囲が助けてくれたか、感謝を忘れないでほしい。子供の頃に参加した方が親になり、そのお子さんが応募してくるほど歴史のあるこのコンクールだが、今後も“海とさかな”は地球全体の話になるし、これからも関心をもって次の世代にもつないでいってほしい」と述べた。  最優秀賞の入賞者には、賞状、楯のほか、副賞として図書カード5万円分、黒瀬ブリ1尾が贈呈された。また、応募者全員に「海とさかな博士号認定書」と参加賞が贈呈された。 主催/朝日新聞社、朝日学生新聞社 後援/農林水産省、文部科学省、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立研究開発法人水産研究・教育機構、公益財団法人海外子女教育振興財団、公益社団法人日本水産学会 協力/公益社団法人日本動物園水族館協会 協賛/(株)ニッスイ
片川隆市氏 叙勲特集
 北海道オホーツク地区・JF雄武漁協の組合長や北海道漁連理事などを歴任した片川隆市氏が、この秋の叙勲で旭日双光章を受章した。漁協経営ではホタテ漁場被害をはじめとした数々の危機・困難を乗り越え、経営基盤の立て直しを果たすなど優れた手腕を発揮し、「中興の祖」とたたえられる。片川氏のこれまでの功績や、受章記念インタビューを紹介する。 片川氏は雄武町出身。地元中学を卒業後、16歳で家業である漁業の世界に入った。以来、タコ漁やカレイ刺網、底建て網など漁業ひと筋に邁(まい)進。若くして船のかじ取りを任され、沖で活躍し、常に地域で水揚高トップを誇ってきたという、“生粋の漁師”だ。  漁業に対し深い情熱をもち、行動力と意欲にあふれ、またその温厚篤実な人柄から信望厚く、船を手放した現在でも地域の多くの漁業者から手本にされている。 雄武漁協 片川氏は1990年にJF雄武漁協理事に就任。99年に副組合長理事、2005年に代表理事組合長に就任し、6期18年間、力強い指導力のもと組合運営の安定、地域漁業の振興に尽力し、多大な功績を残した。  基幹漁業の一つであるホタテ漁業に関しては、93年から12年間、ホタテ運営委員長を務め、生産体制の整備・強化に取り組んだ。  2004年、オホーツク地区への「爆弾低気圧」襲来で放流資源の70%が消滅する甚大な被害を受けた際には、迅速に漁場整備対応策を打ち出し、道に「災害に強い漁場づくり」を要請。また、組合員への説明・調整を重ね、5年を費やして中間育成施設の沖出し、輪採漁場の再編成を実施。自ら沖へ出て現場に指示を出すなど、リーダーシップを発揮した。  14年冬に同様の災害に見舞われ、陸側漁場の資源が消滅した際には、雄武町に協力を求めて資金を借り受け、稚貝を購入。足しまきする方策で、資源の早期回復と組合員の経営基盤の立て直しを図った。  水産流通の高度化に対応し、雄武漁港、元稲府漁港両港への屋根付き岸壁建設など衛生管理型漁港の整備を推進したほか、流通加工部の施設にはEU・HACCPにも対応可能なクリーンルームを増設。漁協全体の衛生機能を強固なものとし、組合および漁業者の収入向上に寄与した。 北海道漁連 北海道漁連では13年に理事に就任、23年の退任までの10年間、会長を補佐し、山積する北海道の漁業の課題解決に奔走した。  北朝鮮によるミサイル発射問題に対しては、漁船の操業の安全確保、漁業者への連絡体制の構築に向け、国への要請活動を実施。道内無線局の無線設備情報通信体制の強化にも尽力した。  18年の北海道胆振東部地震で、道内全域が停電に陥る被害が生じた際には、関係機関に水産加工場の冷凍在庫に対する支援を要請、以後の災害時の備えとしての電力供給体制の整備も求めた。  21年に道太平洋沿岸で発生した大規模な赤潮被害時には、国・道に対する、被害地域の水産資源の早期回復に向けた緊急要請を提言。ウニなどの資源回復に向けた長期的な支援事業の必要性を主張したほか、支援事業を被害地区が円滑に活用できるような支援、弾力的運用を申し入れた。22年、知床遊覧船の沈没事故が発生した際には、人道的に探索・救助活動を行う漁業者の身分保障と負担軽減に向けた、公的支援制度の創設に尽力した。  資源管理面では、国が重点資源管理対象とした「ホッケ道北系群」について、関係漁業者が実効性ある管理手法を協議するための場として、ホッケ部会の設立を主導。漁獲圧力削減などを基本とした自主的な資源管理スタイルの実現を提言した。  オホーツクの毛ガニについて、19年に道から網走管内の許容漁獲量の大幅減枠を示された際には、網走管内側の代表として管内漁業者に資源管理の重要性を説き、意見集約へと導いた。新型コロナウイルス禍の中、道内基幹魚種の秋サケ、ホタテ、コンブを主体に、関係団体と連携して各種流通対策事業を推進し、魚価・流通の安定に貢献。植樹運動推進など環境保全活動にも尽力した。 北海道信漁連 北海道信漁連では10年から13年まで理事を務めた。決算・体制整備モニタリングや、信用事業実施漁協を対象とした事務点検の継続実施などにより、不祥事未然防止・健全性確保を推進。「マリンバンクセミナー」を通じた各種集合研修や、通信研修受講および資格取得への助成を実施するなど、支援・相談機能の強化にも寄与した。  積立貯金の獲得や、貯金残高の純増に貢献するなど貯蓄運動を推進。貯金に社会貢献への取り組みを加えた「海の子応援マリンちゃん定期」を通し、教育活動にも尽力した。融資推進では、資金需要の的確な把握と迅速な融資対応に努め、漁業経営の安定化に積極的に取り組んだ。11年の東日本大震災発生時には、被災した組合員向け相談窓口の設置や、関係機関との連携による「東日本大震災対策資金」の創設に貢献した。  片川氏はこのほか北見管内さけ・ます増殖事業協会監事、日本漁船保険組合北見支所運営委員長、北見管内漁協組合長会副会長、北海道水産物検査協会理事、北海道定置漁業協会理事、北海道漁業信用基金協会理事、北海道漁業共済組合理事など、要職を歴任。雄武町のみならず、全道・全国の漁業の振興・発展に多大な功績を残した。
海のふるさと館20周年
 水産の町・長崎県松浦市の道の駅「松浦水軍の郷・海のふるさと館」が、2025年4月、開業20周年を迎える。水産庁の「新漁村コミュニティ基盤整備事業」と長崎県の「水産振興奨励事業」を活用し、地元農水産物を販売する物販施設と、都市部と漁村地域との交流・共生を促進する漁村学習施設を併設し、05年にオープンしたもので、松浦市に欠くことのできない重要な施設として存在感を高めている。 全国各地の特産品を販売し、身近な観光スポットとして親しまれている道の駅だが、松浦水軍の郷・海のふるさと館は、指定管理者制度、独立採算制を導入し、開業以来、増収増益を重ね経常利益を計上するなど、順調な経営を続けている。  かつて炭鉱の町として栄えた松浦市だが、国のエネルギー政策の転換による閉山などで過疎化が進行。目立った観光施設もなく、近隣の観光地・平戸市に向かう観光客が素通りする一寒村といった趣だった。  こうした地理的ハンディを克服しようと、吉山靖幸松浦市長(当時)が地元の農水産品を販売する物産館の設置を検討。構想実現に向け、吉山市長から経営手腕を見込まれた、当時の西日本魚市の宮本啓史専務に白羽の矢が立てられた。  要請を受けた宮本氏は▽赤字が出ても市は赤字補填しない▽市は経営に関与しない▽経営は指定管理者に委ねる―ことなどを条件に開設準備室長の重責を引き受け、開設資金の調達、用地買収などの開設準備に奔走した。  国、県の補助事業で開業した海のふるさと館は、松浦物産(株)を指定管理者に、地元の農水産品を販売する店舗と、都市部と漁村地区の交流促進を図る漁村体験学習施設を併設。店舗内には、全国一の養殖トラフグ産地であるJF新松浦漁協や、周辺漁協が出荷する旬の活・鮮魚、煮干、塩干品をはじめ、松浦市を本拠とする日本遠洋旋網漁協が製造販売する水産加工品、さらには地元生産農家が持ち込む野菜、果物や、菓子類、土産物、手作りの手工芸品などの特産品が一堂に集められ、所狭しと並んでいる。  開業前は、地元資本の小規模スーパーや小売店しかなく、食料品などは近隣の佐世保市、伊万里市などでまとめ買いしていたことから、海のふるさと館は文字通り、「松浦市民の台所」としての役割を果たすこととなった。  開業2年目には、自らの営業努力で平戸観光の大型バスの誘致に成功。松浦市は福岡市、平戸市の中間に位置するため、これまで平戸観光の通過点にすぎなかったが、広大な駐車場と清潔なトイレが完備されたことを機に、観光バスが休憩に立ち寄る「お土産センター」に大変身。  05年夏には、国土交通省の「道の駅」に認定されたことから、平日にはツアー客やビジネスマン、休日には家族連れ、行楽客など、連日多くの客で賑わいをみせるようになった。  海のふるさと館では、公的施設の管理運営を民間の団体・企業に委ねる指定管理者制度と独立採算制を導入。商品の絞り込みと人件費の圧縮で経営のスリム化と、経営責任の明確化に努める一方、生産者と消費者とのコミュニケーションを重視。消費者が望む商品作りと品揃え、高品質でリーズナブルな商品の安定供給に努めている。  こうした経営努力により、初年度こそ初期投資と営業日数の不足で赤字を計上したものの、2期目以降は増収増益の黒字経営を続け、前期(23年度)は売上高5億2700万円、経常利益1380万円、当期利益1040万円を計上している。 名物はブリ丼とあじフライ 海のふるさと館がメニュー提供する「ぶり丼定食」と「アジフライ定食」が、県内外から訪れる観光客に大人気の名物メニューとなっている。  海のふるさと館を立ち上げた宮本啓史全国養殖魚輸出振興協議会長が、地元生産者の漁業所得向上を目的にメニュー化を提案、地元養殖業者から朝獲れの養殖ブリを仕入れ、その日のランチメニューとして一食400円で提供している。  平日は松浦市民、ビジネスマンなどで開店早々売り切れるほど。土・日曜、祝日には県内外から訪れる観光客を中心に500食以上を売り上げる名物メニューとなっている。  「アジフライの聖地」として知られる松浦市だが、同館も新たなランチメニューとして「アジフライ定食」を追加し、一食500円で提供。土・日曜、祝日にはテイクアウトにも対応しており、アジフライ単品でも店頭販売している。 松浦商工会 「遊・YOU タウン松浦」を提案 松浦商工会議所(稲沢文員会頭)は、道の駅「松浦水軍の郷 海のふるさと館」の背後地にある水産種苗生産施設用の遊休市有地に、体験型複合施設を整備する「遊・YOU タウン松浦構想」(仮称)を提案している。  構想は、志佐漁港の埋め立て地にある市水産種苗生産施設の遊休地に小型船舶用マリーナ、全天候型アスレチック、トレーラー宿泊施設、飲食店、テントサイト、RVパーク電源サイト、バーベキュー広場、飲食店、遊歩道、駐車場、トイレなどを複合的に整備することで、陸路はもちろん、プレジャーボートやヨットが接岸できる「海の駅」として、松浦市の魅力を県内外にアピールする。  海のふるさと館には年間約100万人が来場。市観光の中核施設となる中、2025年度の西九州自動車道の開通に伴い、松浦インターチェンジを利用した観光客の増加が見込まれることから、遊休市有地を活用した観光拠点の開発で松浦市が観光の目的地として選ばれ、滞在日数が延びることで得られる経済効果に大きな期待が寄せられている。 県内トップクラスの道の駅松浦市長 友田吉泰氏友田松浦市長 開設20周年を前に、先人たちの努力で設置された道の駅「松浦海のふるさと館」が県内トップクラスの道の駅に成長した。  松浦の農水産品、加工食品、商工・工芸品など幅広い品揃えで、地元産品の消費拡大や、都市部との交流拠点としての大きな役割を担い、当初の目的を十分果たしているものと考えている。  開設以来、市に対して指定管理料の申請もされず、独立採算制の運営で毎年黒字を計上。収益の一部を市に寄付され、藻場造成に活用されるなど、これまでのスタッフの並々ならぬご労苦と松浦市への貢献に深く感謝している。  近年は、市の「アジフライの聖地宣言」を機に、県内外から訪れる多くの観光客に市内の各飲食店がアジフライを提供。海のふるさと館では揚げたてのアジフライ定食やブリ丼を格安のワンコインで提供しており、ふるさと館の名物メニューとなっている。  こうした中、市の商工団体が海のふるさと館の有効活用策を提案している。内容は、トレーラーハウスなどの宿泊施設、全天候型アスレチック施設、マリーナ造成などで、松浦市での滞在時間を延ばしてもらうのが大きな狙い。  2025年度には、西九州自動車道の松浦―平戸が完成予定で、観光地の平戸までの延伸により、松浦インターが単なる通過点となることが危惧されることから、いかに松浦インターで降りてもらうかを第一に考え、市議会とも協力して構想実現に努めたい。 遊・YOUタウン松浦構想松浦商工会議所会頭 稲沢文員氏松浦商工会議所会頭 稲沢氏 かつて炭鉱の町として栄え、人口6万人超を数えた松浦市だが、2024年2月現在、約2万人に減少するなど、少子高齢化の影響が顕著に表れている。  松浦市は元寇(こう)遺跡、蒙古軍と戦った松浦党の歴史など地域資源に恵まれているものの、飲食店、娯楽・宿泊施設などの受け入れ態勢が十分ではなく、一大観光地である近隣の平戸市に一歩リードされているのが現状だ。  そこで、当商工会議所は「人と人がつながり、起業や新たな発見・体験を目指す複合施設」をコンセプトとした「遊・YOU タウン松浦構想」(仮称)を策定し、松浦市に提案している。  同構想の核となるのが、道の駅「松浦水軍の郷 海のふるさと館」だ。海のふるさと館は観光客向けの物品販売のみならず、地元で水揚げされる新鮮な魚や農産品を買い求める「市民の台所」として、なくてはならない存在となっている。  構想では、海のふるさと館の背後地にある水産種苗生産施設用の遊休市有地を活用し、▽憩いのマーケット▽トレーラーハウスHOTEL▽全天候型遊戯施設▽オープンガーデン▽パーキング▽バーベキュー施設―などを整備。  これらの施設整備と人的交流により、新たな働き方や雇用を創出。松浦の将来を担う人材の確保、育成や、人口増への起爆剤につなげたいと思っており、市民に親しまれている海のふるさと館は極めて重要な役割を担っているものと考えている。 行政視察の受け入れも松浦物産(株)専務 宮本啓史氏松浦物産(株)専務 宮本氏 開設以来20年、右肩上がりの堅実経営で毎年黒字を計上し、無借金経営を続けている。近年は利益金のうち年間100万~150万円を松浦市に寄付しており、指定管理者が運営する全国道の駅の多くが、自治体から指定管理料を受け取っているのに対し、当社は指定管理料は受け取っておらず、逆に寄付するなど、全国道の駅の中でも特異な成功事例といえるだろう。  好調な業績を続けられるのは、当時31歳と若手の支配人を採用したことが大きな要因。全国公募で最終面接に残った数人のうち、いちばん熱心で実務経験もあり、報酬は「業績次第で結構です」と控えめだったことから、「この人しかいない」と直感。期待通りの働きに感謝している。  こうした道の駅の運営が県外でも注目され、今年10月には福岡・筑紫野市の関係者が行政視察に訪れ、品揃え、財務状況などについて調査。こちらも可能な限り対応したところで、観光資源が乏しい松浦市での道の駅の成功体験を伝えることで、全国自治体の活性化につながればありがたいことだ。  観光資源に乏しい松浦市だが、養殖フグ・トラフグやアジフライなど海の幸が豊富で、元寇(こう)船の引き揚げや、蒙古軍と戦った松浦党など、歴史にまつわる観光コンテンツも整いつつある中、次の30年に向けた新たなビジョンと施設整備の実現を目指していきたい。  その一つが「遊・YOU タウン松浦構想」の実現だ。
鯨フォーラムin太地
 「くじらのまち」「古式捕鯨発祥の地」で知られる和歌山・太地町で11月2、3日の両日、「全国鯨フォーラム2024in太地」が開かれた。北は北海道から南は沖縄まで、全国から120人が集まり情報を共有。同町での捕鯨文化について改めて理解を深め、さらに捕鯨文化について討議し途絶えさせることなく発信していくことを確認した。(一財)日本鯨類研究所(日鯨研)、(一財)太地町開発公社、捕鯨を守る会全国自治体連絡協議会、太地町、JF太地町漁協が共催した。サミットからフォーラム 捕鯨文化の継承・普及啓発を主眼に行われてきている同フォーラム。捕鯨の歴史的検証を主眼に、2002年から日鯨研と開催地の自治体との共催で行われてきた「日本伝統捕鯨地域サミット」に端を発する。山口・長門、長崎・生月、高知・室戸、山口・下関、和歌山・太地と、5年間にわたって開催された。  このサミットを引き継ぎ、07年から捕鯨を守る全国自治体連絡協議会に加盟の自治体が主催者となり、フォーラムは北海道・釧路をはじめ、沖縄・名護まで各地で行われてきた。  新型コロナウイルス感染症対策などから22年、23年は開催されず、今回は3年ぶりの開催となった。  初日は、地元三軒一高町長が開会宣言をしてスタート。  主催者を代表して日鯨研の藤瀬良弘理事長は、「3年ぶりのフォーラム開催となった。対面での話に勝るものはない。捕鯨文化、鯨食文化について話を聞き、今後の取り組みに生かしたい」などとあいさつ。  来賓として下宏県副知事は「今年は新鯨種としてナガスの捕獲が認められるなど、捕鯨文化継承は明るい」などと述べ、さらに「くじらとともに生きる太地町」の環境保全などについても紹介した。 2つの基調講演 基調講演は「鯨の町太地の30年構想について」(和田正希同町主査)と、「太地町の捕鯨と食文化の現状について」(貝良文日本小型捕鯨協会会長、太地町漁協専務)の2つが行われた。 町の過去・現在・未来 和田主査は、三軒町長が04年に初当選して以来20年。今年7月には6回目の再選を決めた町長のこれまでの町政を紹介。  平成の大合併に反対。単独で町政を進めてきたが、根底にはいつの時代も「海の幸の恵みを町民に享受」してきたことを説明した。  古式捕鯨とそれに続く沿岸・南極海の捕鯨など、クジラ関係に多く依存してきた町だが、今後は捕獲が難しくなると予想。捕獲だけではなく、見せることで観光に生かしていこうと博物館を建設。さらに将来に向けて、学術研究都市として整備を進めていこうと取り組んできた。  住民向けの施策としては、「公園の中に住むような町づくり」を推進。  公衆トイレを整備し19か所で温水洗浄便座にも対応、疲れた時に休めるようにベンチ340基を設置、さらに植栽、集会所の冷暖房の設置や福祉政策などにも積極的に取り組んできたことを説明。「80歳になっても恋愛ができる」「年金で生活できる」といった町づくりをしたことを報告。  町の外の人向けの施策としては、森浦湾の一部を仕切り、無料で160メートルの海上遊歩道を歩ける、鯨類を放養した「森浦湾鯨の海構想」を実施。整備にあたっては漁協や区画漁業権漁業者と交渉したことも説明した。  将来に向けて取り組みを進めている「鯨の学術研究都市構想」では、国際鯨類施設を整備。日鯨研太地事務所の誘致ができたことも報告。今後も古式捕鯨の時と同様に「鯨の恵みを住民に分配していく」姿勢を示した。 太地町の捕鯨と食文化の現状について 貝会長は、太地ではイケスでイルカを蓄養していることなどを説明。  「400年以上前から太地では古式捕鯨を行っている。1675年に網で絡めて突いて獲り、沈むクジラが獲れるようになり、漁獲量が増えた」。  「1878年、不漁が続きシケの気配がある中、子連れのセミクジラを捕獲。シケになり数人は助かったが、100人以上が帰らぬ人になった。それから太地では子持ちのセミは夢にも見るな」と言われるようになった。  太地の名字には、クジラ漁に絡んだ名前が多い。背古、漁野、海野、網野、遠見、汐見、筋師、由谷、梶という名前はいずれも捕鯨に関係していたことによる。  「私は、『貝』という名字は、かつてクジラ発見時にほら貝を吹いて連絡していたことに由来するのではないかと思っている」と話した。  現在、太地では鯨類の追い込み網漁をしている。イルカは9月1日~2月末。ゴンドウクジラは9月1日から4月30日までが漁期。「海が血で赤くなることのないように流血防止に努めている。追い込み後は太地市場へ搬送。市場は衛生管理型として認定も取得している」と述べた。  小型捕鯨の全盛期、1951年には町に小型捕鯨船は23隻あった。現在は全国で5隻。このうち今年は4隻が操業した。  漁協の第7勝丸(32トン)は乗組員5人。全長20メートル。今年は3月に町を出港し、10月末に操業を終えた。ミンククジラ34頭、ツチクジラ4頭、今年小型捕鯨では新たにニタリクジラ1頭を捕獲したと報告。  食文化については、「道の駅『たいじ』で、おいしいクジラを味わってもらい、広めてもらえるように取り組んでいる。若い女性、欧米の人も食べている。ライスをクジラの形にした鯨カツカレーは目にグリーンピースを使っている。かつては太地ではクジラ・イルカの肉ですき焼きを食べた。このほかにもメニューはあるので、おいしいと思うのでよかったら食べてもらいたい」。さらに「漁協スーパーではクジラが獲れると鮮魚コーナーのクジラが売れて、畜肉類の売り上げが減る。このほか漁協では学校給食用のクジラ加工をして町開発公社が販売。昨年は20トンを出荷、まだまだ販売していきたい」と述べた。  毎年、鯨供養祭を行っていることも紹介。「命あるものをいただき感謝する。クジラ漁は自然と対話しながら、再生産可能な範囲で漁獲する。資源は持続的に有効利用していくのがいい。われわれの代で捕鯨をやめるわけにはいかない。ますますがんばっていく」と述べた。 6人が登壇しパネル討議 パネル討議では、町立くじらの博物館名誉館長で日鯨研の加藤秀弘顧問をコーディネーターに、同町水産専門委員で農林水産省の森下丈二顧問、日鯨研の藤瀬理事長、(一社)日本捕鯨協会の谷川尚哉理事長、太地町漁協の小畑充規組合長、貝会長がパネリストとして登壇。  登壇者はそれぞれ、森下顧問は「捕鯨に限らず、最大の課題が次世代への継承である」とし、「太地では海の恵み(利益)が町全体にいきわたる仕組みがうまくいっていると思う」などと述べた。  日鯨研の藤瀬理事長は「捕獲枠の算出など、捕鯨業の安定のため科学的に支援してきている。太地町がつくった国際鯨類施設で4月から太地事務所を開所した。有効利用を図っていく」と抱負を述べた。  捕鯨協会の谷川理事長は「今年6月に就任。捕鯨産業の維持・発展には皆がクジラを食べないといけない。活用しやすい缶詰を食べること。学校給食でもおいしいクジラを食べさせるべきだと思う」と話した。  小畑組合長は「地球温暖化の影響を受けてか冬に来ていたカマイルカが来なくなった。また、数百、数千という群れを構成していたスジイルカが数十頭単位になった」と環境の変化を紹介。さらに「コビレゴンドウやハナゴンドウの追い込み漁が難しくなってきており、日鯨研と研究し取り組んでいきたい」と話した。  貝会長は「今年初めて捕獲したニタリクジラについて、大きいことから安全な捕獲について数年かけて検討してきた。安全に捕獲することができたので今後も安定して捕獲していきたい」と述べた。  関連して三軒町長は、「(ニタリを安全に獲れる大きさの捕鯨船を)太地町漁協が新造したいと要望した場合には全面的に協力したい。漁協内にも大型新造船の議論があるようだ。協力できることは協力する」と発言。多くの参加者が拍手でこれをたたえた。  会場からは、三軒町長が進めてきた「クジラを生かした町づくり構想」が、この20年、着々と進んできたことを称賛する声が上がり、「引き続きがんばってもらいたい」という意見があった。  このほか故・大隅清治日鯨研元理事長がかつて夢見た「ミンククジラを捕獲して飼育してもらいたい」という意見について、藤瀬理事長は、「森浦湾の海況を周年モニタリングしている。構想を進めている」と報告した。 来年は石巻市で開催 懇親会では、捕鯨を守る全国自治体連絡協議会副会長で長崎・新上五島町の石田信明町長があいさつ。「2008年に開催した全国鯨フォーラムには多数の皆さんに参加いただいた。町長の思い、クジラを基軸とした町づくりの考えに触れて参加者一同、深く感銘を受けた。国際鯨類施設と日鯨研太地事務所の開設をお祝いし、国内外から多数の研究者が集う拠点となることを祈念している」と述べた。続いて小畑組合長が乾杯の音頭を取り、参加者は和やかに歓談、懇親を深めた。閉会にあたって宮城・石巻市産業部の中村恒雄部長は「来年11月に鯨フォーラムを開催するので、石巻に来ていただきたい。当地は漁協と町が一体となりクジラを生かした町がつくられていることをうらやましく思った。また、パネル討議は加藤顧問のむちゃぶりで楽しかった。可能であれば来年もお願いしたい」と述べ、フォーラムの成功を祈って、参加者は三本締めで中締めした。 2日目はエクスカーション 2日目はエクスカーション(視察)が行われ、国際鯨類施設と同所内の日鯨研太地事務所を見学。  同所では、藤瀬理事長が「今年4月に、町の国際鯨類施設内に太地事務所を開所した。各種研究に取り組み、さまざまな分野をカバーしている」とあいさつ。参加者はグループごとに、順番に各分野の説明を聞いて回った。 町の国際鯨類施設 国際鯨類施設には、90人収容の研修ホール、鯨類関連を中心とした3万冊超の蔵書を誇る図書室、3つの会議室なども整備されている。日鯨研は施設の運営も担う。施設は高台にあることから、予想される津波災害など、万一の場合の町の災害拠点としての役割も付与されている。  図書室は、事前の利用予約制。利用者カードに必要事項を記入すれば、閲覧、学習は自由。図書の貸し出しはしていないが、有料コピーサービスが利用できる。開室は、月曜―金曜の午前10時~午後4時(正午~午後1時を除く)。土・日曜、祝日、年末年始は休室。一部、調査研究のため臨時休室される場合がある。 日鯨研太地事務所遺伝子で個体・グループ管理 遺伝解析室では、クジラの組織からDNA情報を解析し、種、性別のほか、個体やグループ情報を管理し、現場の目視調査などのデータも生かして資源の構造を解明。グループ間関係まで把握し、資源構造や系統進化・分類まで調査する。  このほか国内で流通するほぼすべてのクジラのDNA多型情報を保有。密漁の監視などができる体制を整え、適正な資源管理を担保する。 年齢査定や有用成分研究など 化学分析室では、海洋環境の変化が鯨類資源に与える影響を解明。海洋の水銀やPCBなど化学汚染物質調査のほか、採取したクジラの内臓や組織から年齢査定や妊娠状況、健康状態を分析。ヒトにとっての有用成分の分析研究なども行う。  また、鯨類の年齢査定で従来行われてきた耳垢(こう)栓の成長曲線を数える代わりに、眼球の水晶体中のアスパラギン酸ラセミ化を指標とした年齢査定を開発。耳垢栓査定では誤差が生じやすかったが、水晶体の活用で高精度の査定ができるようになってきたことなど説明した。 繁殖年齢なども解析 生物解析室では、海洋環境変化が鯨類資源に与える影響を解明。鯨体から採取した耳垢や内臓、組織などから年齢査定、繁殖年齢なども解析。持続可能な捕鯨産業を支えるために、資源状態を確認し続けている。 貴重な標本を保管 標本保管室ではこれまでに採取した貴重なサンプルを管理。冷凍ストッカーなどのほか、近隣の冷凍庫を活用して持続可能な資源管理のために生かしていく。 森浦湾の見学など 国際鯨類施設の見学後には、参加者は森浦湾の見学、くじらの博物館見学、古式捕鯨史跡巡りなどを行い、改めて同町の捕鯨文化、鯨食文化、捕鯨業について理解を深めた。
カキ特集2024
 今年の秋口も海水温はなかなか低下せず、冬の味覚の代表・カキの生育が遅れ、かつてと比べ出荷時期も遅くなっている。濃厚なうま味が味わえて、グリコーゲンや各種ミネラルなど栄養面も豊富。カキの摂取は健康への期待もできる。冷凍カキや三倍体のカキの普及で一年中おいしさを楽しめるようになってきた。旬の味わいとして生鮮のカキも楽しみたい。全国各産地および消費地、メーカーの動向を紹介する。
ニッスイ短期養殖本マグロ特集
 養殖事業を強化しているニッスイグループでは、国内の本マグロ養殖事業の拡大を図りながら、短期養殖本マグロの比率を2030年までには約55%(現在、約26%)に高めようと現在取り組みを強化している。 ニッスイグループの本マグロの養殖および短期養殖事業を効率的に運営するため、今年4月に金子産業(事業本部=佐賀・唐津市、木村知己社長)により設立されたのが(株)ニッスイまぐろ(本社=長崎・佐世保市、木村知己社長)。事業環境が激変する中、ニッスイのグループ会社である金子産業と西南水産の両社の養殖本マグロ事業を吸収分割して同社が継承した。  養殖本マグロの養殖場は13か所。うち短期養殖場は、今年新たに加わった2拠点の甑島、黒島に伊根、隠岐、対馬の全5か所。短期養殖では、さらに日本海北部も視野に新漁場の開拓を進めていく計画だ。今後、共和水産と連携し、海洋環境保全や資源管理の取り組みを推進しながら、海洋資源への負荷低減といった短期養殖の優位性をアピールしていく。  10月から稼働した同社では、次の3つの施策((1)短期養殖本マグロ事業のさらなる拡大(2)本マグロ加工製品の生産を金子産業唐津工場に集約、拡大(3)金子産業と西南水産が実施していた本マグロ養殖事業の一元管理による効率的な運用)を行っていく。 三大リスクを軽減 短期養殖により三大リスクである赤潮、台風、魚病のリスクを軽減させ、漁獲規制緩和が見込まれる短期養殖本マグロを増産していく。通常の養殖本マグロの場合は、500グラムから3キロまでのヨコワを採捕し、3~4年かけて養殖し、50~70キロで出荷となる。一方、短期養殖本マグロの場合は80キロから120キロの成魚を採捕し、6~9か月養殖して1シーズン内に100キロから150キロで出荷するため三大リスクが避けられる。  短期養殖本マグロは、「伊根まぐろ」や「隠岐まぐろ」「対馬まぐろ」「甑島まぐろ」「黒島まぐろ」といったブランド化により他社との差別化ができるほか、天然本マグロ資源の有効活用にもなる。  本マグロ加工製品の生産を金子産業唐津工場に集約、拡大させることで得られる効果としては、消費地の人手不足と輸配送便減少への対応や唐津での加工拡大による収益の向上が図れ、ロングライフチルド(LLC)加工マグロの販売を拡大することで、外食顧客への販路拡大が図れる。  本マグロ養殖事業の一元管理による効率的な運用で得られる効果としては、設備投資の一元管理で生産効率を追求できる事業所へ集中投資が図れる。出荷事業所が13か所あることで顧客オーダーに臨機応変に対応ができ、天候に左右されやすい出荷の選択肢が広がる。国内養殖マグロ市場の約20%のシェアとなり、業界でのプレゼンスが高まることなどが上げられる。  今後、ニッスイまぐろとしては、短期養殖への移行を進め、事業リスクの軽減を図り、養殖体制のさらなる整備や人材の確保などに努める。金子産業としては、唐津での加工事業を拡大し、長崎県産養殖本マグロの産地加工の中心的存在を目指す。またロイン、ブロック、サクなどの加工について出荷尾数に対し50%以上を目指す。福岡空港経由でアジア各地に販路を拡大していく計画としている。

2025年1月1日 05:00

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